IBDPを活かして大学へ進学できるIB入試とはどのようなもの?IB入試の仕組みや進学できる大学、倍率などについて徹底解説!
IB生は、一般的な日本のカリキュラムとは異なるカリキュラムのもと高校2年間の学習を進めていきます。そのため、IB生は大学入試において一般入試以外の制度を活用する生徒が多いです。今回は、そんなIB生が是非検討しておきたい「IB入試」受験形態について解説していきます。
IB入試とはどのようなもの?
Univ-it!では、IBDP 取得者のみを対象とした入試を「IB入試」と称しています。最終試験及び内部評価を通じて45点満点中24点以上を取得するなどのDP取得の条件を満たし、無事IBDPを取得することが出来た生徒を対象とした入試制度がIB入試です。IBDPの合格結果が通知される前に受験することとなるので、Mock Examの結果等をもとに算出されるPredicted Scoreが入試に利用されることが多いですが、実際の獲得スコアはPredicred Scoreよりも下がったり、IBDP自体を取得できないと、合格が取り消しとなることもあります。
また、IB入試を実施する大学や学部によっては、履修科目 (SL / HLのレベル指定も) や取得スコアについて追加で条件※を定めている所もあります。そのため、実際にIBDPが始まる前に行きたい大学の募集要項を確認しておくことが大切です。
※ 傾向としては、文系はGroup 1「言語や文化」やGroup 3「個人と社会」、理系はGroup 4「理科」やGroup 5「数学」でHL必須であったりスコア条件を課される場合が多いです。
IB入試のメリット
IBDPでは日頃の学習に加えてCAS活動やIAの執筆等、やるべきことが多くあるため非常にハードな2年間であることは既に知られている通りです。DP取得に向けた勉強も多くの時間を要することになりますが、そんな中で、IB生はIBDPの取得と大学受験を両立させる必要があります。
IB入試では、大学入学共通テストを課さないことに加えて、入試方法が書類審査と面接のみであることが多いため、DPの資格を活かし、DP2年間で学んできた成果をそのまま評価される点が最も大きなメリットだと言えます。また、IB入試はIBDP取得者のみが対象なので、総合型選抜や帰国生入試と比較するとライバルが少なく、倍率も低めであることもメリットです。
IB入試のデメリット
一方で、IB入試で進学できる大学や学部はかなり限られており、自由に大学を選択することはできない現状です。第一にIB入試を採用している大学自体が少ないことに加えて、採用している大学でもIB入試を用いて入学することのできる学部は限られていることがほとんどです。自分が学びたい学問や大学が見つからないかもしれない点はデメリットと言えます。
IB入試の入試内容・評価内容について
IB入試における入試の流れ
IB入試での入試の流れを大まかにまとめると、以下のようになっています。
STEP 1:受験学部の募集要項を確認 | チェックすべき項目
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STEP 2:出願書類の提出 | 出願期日に余裕をもって提出書類を早めに用意しましょう。(IBスコアの送付・推薦状など) |
STEP 3:試験対策 | 筆記試験や面接がある場合は、先輩や過去問を頼りに練習を繰り返しましょう |
STEP 3.5:ホテル・移動手段の確保 | 一般入試より受験者数が少ないとはいえ、大学周辺のホテルは満室になりやすいです。キャンパスでの試験が確定し、遠方から受験する場合はホテルや飛行機・新幹線などの手配も早めにしておきましょう。 |
STEP 4:試験当日 | 時間には余裕をもち、落ち着いて試験に臨めるようにしましょう。 |
STEP 5:合否発表 | ほとんどの場合、大学のWebシステムで確認できます。 |
STEP 6: Diplomaの提出 | 出願時にPredicted Scoreを提出した場合は、DP取得後に獲得したスコアやDiplomaの証明書を提出します。 |
IB入試のスケジュール・受験時期
国内大学のIB入試は、4月入学※を対象とした場合は、8月~12月に実施されることが多いです。一般入試よりも早めな総合型選抜や推薦入試と似たようなスケジュール感となっています。ただし、11月試験の高校の場合(主に一条校)は、IB入試の選考日と被っていないかの確認を必ずしておきましょう!
※9, 10月入学の場合は英語学位プログラムの場合が多く、入試時期は1月~5月の間が多いです。
IB入試の入試内容
IB入試で課される試験の内容は大学によって差がありますが、多くの場合は下記に示すような書類をもとに選考されます。
- IB修了証明書 (Diploma) のコピーやIB成績証明書 (Transcript)
- 高校卒業証明書や成績証明書(調査書も含む)
- 志望理由書・IBや高校で行ったことの成果を示す書類
- (大学によって)高校の先生からの推薦書
総合型選抜や推薦入試、帰国生入試でも必要となる志望理由書に加えて、DPのスコアやIBDPでの取り組みが評価されます。もちろん、より高いスコアを取得できればその分評価も上がるので、DPの成績を向上させることが重要です。また、大学によってはIBや高校で取り組んできた成果をレポートとしてまとめることが課されます。CAS活動等も利用しながら客観的にアピールできるような成果や課外活動等を充実させることも大切です。
また、大学の偏差値から進学先を検討する方も少なくないですが、偏差値はあくまで一般入試の難易度を示しています。IBスコアが高い人ほど偏差値が高めな難関大学に進学している傾向はあるものの、偏差値がIB入試の難易度を示す指標とはならないため、参考程度にしていただければと思います。
IB入試の枠を設けている大学
IB入試を実施する主な大学は次のとおりです。
上智大学
関連記事:【インタビュー記事】上智大学のIB生にとっての魅力とは?IB入試や英語学位プログラムについて聞きました!
筑波大学
関連記事:【IB生体験談】筑波大学国際バカロレア特別入試(IB入試)合格への道!
国際基督教大学 (ICU)
関連記事:【2022年度版】IB生必見!国際基督教大学(ICU)の総合型選抜入試の紹介!
岡山大学
関連記事:【最新版】国内IB生必見!岡山大学のIB入試を合格者が徹底解説!!
横浜市立大学
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広島大学
実際にIB生はIB入試を活用して大学進学している?
IB入試を実施する国内大学は増加傾向にありますが、実際どれくらいのIB生が受験し、合格しているのでしょうか?
そこで、56人のIBDP取得者※を対象としたアンケートを基に解説します。次の表では、アンケート回答者が第一志望で利用した入試形式と、その形式で合格した割合を示しています。
※2021年9月末に実施されたアンケート結果です。
入試形式 | 第一志望受験者数 | 第一志望合格者割合 |
IB入試 | 11 | 55 % |
AO入試・総合型選抜 | 15 | 80 % |
帰国生入試 | 17 | 71 % |
指定校推薦 | 2 | 100 % |
海外大学入試 | 10 | 70 % |
出典:【最新版】IB生に人気の大学は?大学に合格するために必要なIBスコアは?IBDP経験者の56人に聞きました!
IB入試よりも総合型選抜や帰国生入試などIBDP取得者以外も対象とした入試形式を利用した人が多く、第一志望をIB入試で受験した人の合格率は約50%と他の入試形式よりも低いことがわかります。IB入試はIB生に有利な入試制度であるものの、IB生が志望する全ての大学でIB入試が導入されていないこと、さらに合格率があまり高くないことも事実です。IB入試でなくても、AO入試や帰国生入試でIB生にとって有利な入試を課している場合も多いため、IB入試のみに頼るのではなく、他の入試形式も同時に検討することをおすすめします。
最後に
IB入試は、IBDPでの努力を直接評価される入試形態であり、IB生にとって大きな選択肢の一つとなります。しかしながら、進学先が限られるなど全員にとって最適な入試形態という訳ではありません。だからこそ、志望校の入試情報を早めに確認し、IB入試だけでなく総合型選抜や帰国生入試など他の形式も視野に入れた上で進学計画を立てることが重要です。このようなことも踏まえて、IB生としての特性を活かせる、自分に最適な進学方法を見つけて頂ければと思います!