適当人間のケンブリッジへの道 パート1・出願編

2019年10月4日

ネット上でどんな情報でも手に入るこの時代、世界的難関校の受験攻略法を見つけるのもそう難しくはありません。現にちょっと英語で「Cambridge application」と検索すれば、「面接では正解を導き出すよりも思考過程を見せる事が重要だよ!」などのアドバイスが載っているサイトが何百とヒットします。しかし、これらのサイトで描かれる、いわゆる理想的なオックスブリッジ受験生に、あまり人間味を感じないのは私だけでしょうか?アカデミックなPersonal Statementを書き上げ、完璧に近いPredicted scoreをひっさげ、学校の課題も抜からずこなしていく。あたかも有名大学への道を切り開く人間は、1タイプしかいないような言いぐさです。

もし読者のみなさんの中でオックスブリッジ受験を考えていて、これらの攻略サイトをたくさん見ている方が居ましたら、是非ともこの記事の続きを読んで頂ければと思います。この記事は筆者がケンブリッジ受験を通して得た経験を出来るだけ主観的に記していくものです。ですので、いわゆる合格率が上がるようなアドバイスは載っていません、が、しかし、攻略サイトには無い、受験者の率直な感想や、実際に受けてみて得られた反省などを書いていきます。私が思うケンブリッジ受験の、正解のない、多種多様な本質というものに少しでも触れていただけたら幸いです。

また、タイトルにある通り筆者はかなり適当です!ケンブリッジ入学後も周りの勉強熱心でマジメな生徒たちに感化されることもなく、ハッピーな学生生活を送っています!今すぐに受験を考えていない読者様も、ケンブリッジではちょっと異端なお気楽者の目線を通して、愛すべき本校の事を知っていただけたらと思います。

はじめに

まず最初に筆者のバックグラウンドを紹介したいと思います。生まれは日本ですが、四歳の時イタリアに引っ越し、それ以来ずっとインターナショナルスクールに通っていました。そして、2018年のMay ExamにてIBDPを修了しました。

周りの生徒の大半がイギリスを受験するというので何となく私もそうしようと思い、どうせならという事でケンブリッジを目指すことにしたのが高校三年生の初めのほうでした。当時模擬国連(MUN)にハマっていた私は政治学を勉強したいと思い、ケンブリッジのHuman, Social, and Political Scienceという学科を受験することに決めました。

Predicted Score引き上げのススメ

イギリスの大学を受験するとき、高校の最終学年(私の場合は四年)を本番とするならば、その前の一年は下積み時代と言えます。確かにPersonal Statementや面接でのパフォーマンスも重要ですが、内申点から割り出されるPredicted Scoreほど直接的な学力のアピールは無いですし、スコアが低すぎるとそもそも面接まで進めない事もあるからです。出願時期の関係で、スコアは最終学年の前の年の成績から割り出されます。

さて、高校三年時の成績の重要性を一応理解していた私でしたが、それで一年間マジメに勉強してしまっては適当人間の名が廃るというもの。三学期目を終えた時点での成績は、例年のケンブリッジ受験者の平均以下の数字でした。しかし、私は焦っていませんでした。Predicted Scoreの計算法は学校によって違います。私の高校の場合、三年時の三学期の平均が50%、そしてなんと一回きりの最終試験が50%の割合でカウントされていたのです。つまり一年間怠けていた、もとい英気を養っていた私にも、最後にスコアを引き上げるチャンスが残されていた訳です。

そうとなってはこのチャンスをものにしなければ、という思いで勉強の傍ら過去問を分析し、傾向と対策を練り上げた甲斐あってか、試験の結果はオール7。面接や筆記試験が待ち受ける本番の4年目に向けて、少なくとも門前払いはされないであろう程度のスコアを出すことに成功しました。

意外に一番面倒くさい?ケンブリッジへの書類提出

試験を突破し、そこそこ自信をつけて高4に進級した私は、出願用の書類を用意するという一見地味な作業をこなしていく時期に入りました。オックスブリッジの出願期限は毎年10月15日、他のイギリスの大学より3か月程早いのですが、夏休み中まったく準備を進めていなかった私は9月の新学期が始まると同時に大変な思いをすることになったのです。

まず第一に、最終学年の一学期目はIBのデッドラインが多く重なる時期でもあります。ざっと思い出すだけでも

  • TOK Presentation
  • 歴史のIA
  • 言語系のwritten assessment
  • Extended Essay

などの課題が一挙に襲ってきました。それと並行して

  • 自己アピールの要とも言えるPersonal Statementを一から書く
  • 先生方に推薦文執筆のお願いをする
  • 筆記試験と面接の練習
  • 学校で書いたエッセイのサンプルを先生の認可付きで郵送する(なぜスキャンしたのをメール送るのではダメなのか、いまだに分からない)
  • 過去四年分の成績表の用意

などの作業も行わなければならず(最後の3点はオックスブリッジ特有)、非常に大変な思いをしました。同級生でオックスフォードを目指していた友人は「Personal Statementを書くから」と言って学校を休んでいました。私も後日同じ理由で学校を休み、「デビルマン ~Crybaby~」 をnetflixで一気見しました。非常に実験的な作品で、原作をあまり知らない身でも楽しめました。

そんな感じで非常に忙しい日々を強いられましたが、頼りになるカウンセラーの助けもあり、山の様にあったタスクも少しずつ消化されていき、出願期限の5時間前に全ての書類を提出出来たのでした。

将来的にオックスブリッジを受けられるIB生の方には、重なる課題のデッドラインをしっかりと把握し、夏休みから計画的に作業を進めていくことを強くお勧めします!

特に何もないからこそ油断できない、オックスブリッジの筆記試験

書類提出から目玉の面接までの間に、プチ山場である筆記試験があります。内容は受ける学部によって違いますが、自分の場合は2時間の試験で読解と論文の2パートに分かれていました。この試験に関しては、正直特筆すべきことは無いように思えます。ケンブリッジのサイトに過去問が載っているので、それを何回かやれば得点も自然と伸びます。一応外部のテストセンターで受ける事が出来るのですが、基本的にはカウンセラーが学校で受けられるように手配してくれるかと思います。私も当日ペンを忘れたこと以外は特に何も起こらず、満足のいく回答ができたと思っています。

しかし、影が薄いからと言って油断している痛い目を見ます。先ほど申し上げたオックスフォードを受験した友人は、IBの最終試験で45点を叩き出した猛者でしたが、筆記試験での得点が低いのが不合格の理由の一つでした。しかも、ある程度地力が試される論文パートではなく、練習すれば得点が伸びるであろう選択式のパートでイマイチな結果を残してしまったのです。やはり大学側がわざわざ自主的に行っているアセスメントなので、軽視しないよう気を付けましょう!

~出願編~の終わりに

筆記試験のおよそ2週間後、時期にして11月の中旬に、私を面接に招待する旨と、面接を担当する教授の名前が記された簡素なメールが、ケンブリッジより送られてきました。

ケンブリッジに入るような人は皆完成されていて、常日頃から教科書とともに生活しているような人ではないといけない、という一般的なイメージに疑問があった私は「やっぱり適当な性格でも面接まで行けるんじゃん」と思ったのを覚えています。

そもそも大学側の評価基準が絶対ではない時点で、理想的な学生像を作り出すのは無理があると思います。例えばですが私と知能、性格がそっくりな生徒が別の高校に居たとして、その高校のPredicted Scoreの算出法が最後の一発逆転を許さないようにできていたら?その生徒は面接までたどり着けたでしょうか?どんなに完ぺきに準備したと思っていても、制度上のちょっとした違いや本番でのコンディションなど、自分ではどうにもならない要素が合否に影響してくるのは仕方のないことです。出願が終わり面接に臨むにあたって、「落ちるときは落ちるからしょうがない」位の気持ちで挑むのがイイかもしれない、と思うようになっていました。

これは合格して確信に変わったことですがケンブリッジに来る生徒たちは歩んできた道のりも性格も非常に多種多様です。受験攻略サイトのアドバイスを参考にするのは確かに合格への近道かもしれませんが、「コレは必ずこうしなければならない」という一つの正解を作り出してしまうのは間違いだと思います。

さてマジメな話はこの位にして、次回はパート2、「面接編」になります。家に着替えとパジャマを忘れて、2日間着た服で面接を受けることになった私の運命はいかに?乞うご期待ください!