【IB生体験談】慶應義塾大学(法学部)を国際バカロレア入試で受験したKさんの受験体験談
慶應義塾大学はIB生だけでなく、多くの高校生が憧れる私立大学のひとつではないでしょうか。そんな慶應大学ですが、法学部でのみIBDP取得者を対象とした入試を実施していることはご存じでしたか?
今回の記事では慶應義塾大学法学部の国際バカロレア入試の概要と、実際に受験・合格を掴んだ先輩の体験談インタビューをお届けします!ぜひ最後までご覧ください。
- 1. 慶應義塾大学の国際バカロレア入試(IB入試)とは?
- 2. 慶應義塾大学(法学部)IB入試を受験したK先輩の体験談
- 2.1. K先輩のプロフィール
- 2.2. Q:どのように受験する国内大学を選びましたか?
- 2.3. Q:実際に受験してみて感じた国際バカロレア入試の魅力はなんでしたか?
- 2.4. Q:出願書類はいつ頃から準備しましたか?
- 2.5. Q:志望理由書を書く上で気をつけたポイントはありますか?
- 2.6. Q:他大学のIB入試だと「IBと大学での学びの繋がり」を尋ねる書類などが求められる印象がありますが、慶應法学部のIB入試はどうだったでしょうか?
- 2.7. Q:二次試験(小論文)について教えてください。
- 2.8. Q:小論文対策はどのように行いましたか?
- 2.9. Q:面接について教えてください。
- 2.10. Q:面接対策のアドバイスはありますか?
- 2.11. Q:時事問題への応答のための準備はどの程度必要だと感じましたか?
- 2.12. Q:大学受験の際、IBをやっていてよかったと感じたことはありますか?
- 2.13. Q:合格するにはどのようなことが重要だったと感じていますか?
- 2.14. Q:IBDP資格を活用して慶應大学法学部を受験する後輩へのアドバイスがあれば教えてください。
- 3. 最後に
慶應義塾大学の国際バカロレア入試(IB入試)とは?
慶應義塾大学は法学部でのみ「国際バカロレア入試」(以下IB入試)を実施しています。この入試は「日本国内の高等学校または日本国内のインターナショナルスクールで国際バカロレア(IB Diploma)を取得済みの方が対象となっている点が特徴です。また、取得見込(Predicted Grades)では出願できないことにご注意ください。
慶應の法学部には法律学科と政治学科がありますが、出願後の学科変更は認められていないため、出願時までにどちらの分野を学びたいのか明確にしておく必要があります。
また、本IB入試を受験する場合、「帰国生対象入学試験」や「外国人留学生対象入学試験」とは併願できません。
出願から試験・最終合格発表までの期間は7月上旬〜9月上旬ごろとなっており、入学時期は9月/4月が選択可能です。
IB入試概要(表)
入試名称 | 国際バカロレア入試 |
実施する学部 | 法学部 |
選考方法 | 第1次選考:書類 第2次選考:論述試験、面接 |
募集定員 | 帰国生対象入学試験と合わせて20名 |
出願資格
※詳細は募集要項をご確認ください。 |
・日本国内の高等学校または日本国内のインターナショナルスクールで国際バカロレア(IB Diploma)を取得済みの者 ・TOEFL iBTもしくはIELTS Academic Moduleを受験し、試験結果を提出することができる者 ・これまでにIB入試に出願していない者 など |
募集要項 | https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/docs/ib_youkou.pdf |
慶應義塾大学(法学部)IB入試を受験したK先輩の体験談
ここから先は実際に法学部(政治学科)をIB入試で受験・合格したKさんのインタビュー内容をQ&A形式でご紹介していきます。
募集要項だけではわからない、経験者から見た慶應法学部IB入試について見ていきましょう。
K先輩のプロフィール
所属大学 | 慶應義塾大学 |
所属学部 | 法学部 政治学科 |
出身校の区分 | 国内インター |
Q:どのように受験する国内大学を選びましたか?
国内大学だと、ある程度の知名度があり、かつIB入試を実施していることを基準に受験校を選びました。
慶應であれば合格した場合行きたいなと思っていましたし、当時は他学部はAO入試などの選択肢があることを知らなかったので、慶應でIBDPを利用できる国際バカロレア入試(法学部)で受験しました。
Q:実際に受験してみて感じた国際バカロレア入試の魅力はなんでしたか?
個人的な感覚としては「結果の出る速さ」が大きな魅力だと思っています。そもそも最終スコアが出てからの受験ということもありますが、7月の出願で9月には結果が出ていました。それに加えて、第二次審査(面接・小論文)の次の日くらいには合格発表があったと思います。※2026年度の場合、9/2の第2次選考の後、9/4に最終合格発表が行われる予定。
後は、私は元々海外大受験に向けた準備をしていたので、追加で必要な準備・対策がそこまでなかったこともやりやすかったかなと思います。
Q:出願書類はいつ頃から準備しましたか?
具体的な準備期間は覚えていないのですが、在籍していた高校が発行する証明書などを取り寄せたりする書類を集める段階が意外と長くかかって大変だった記憶があります。
エッセイ等の自分で書くような出願書類は1週間もかけていなかったと思います。
Q:志望理由書を書く上で気をつけたポイントはありますか?
法学部は「公共性」を大事にしているので、高校でのボランティア活動(「多様性を広げるプロジェクト」)を軸に書いていきました。そこでの経験が成長に繋がったから、同じような環境である慶應法学部に身を置いてさらに成長したい、というような内容です。
また、政治を学びたい理由としては、「将来的には日本のために働きたいけれどまだまだ自分の中では日本社会への理解が足りていないと実感することが多い」から「国のベースとなる法律や政治を学びたい」 ということを書きました。
他には、法学部には「インテンシブコース」というものがあったのでこれまで取り組んできた中国語の勉強も続けたい、ということにも触れました。
Q:他大学のIB入試だと「IBと大学での学びの繋がり」を尋ねる書類などが求められる印象がありますが、慶應法学部のIB入試はどうだったでしょうか?
IBについて直接的に深掘りすることを求める内容はなかったと記憶しています。無理にIB情報を入れ込む必要がない、というところはこの入試の特徴と言えるのかもしれません。
Q:二次試験(小論文)について教えてください。
小論文の方は帰国生入試と同じ内容で、記事を読んでその内容を踏まえて自分の意見を書く、というものでした。私が実際に受けたものは「日本語の敬語などマナー的な側面をどう思うか」というものだったと思います。
2025/26年度募集要項より抜粋
Q:小論文対策はどのように行いましたか?
私は過去問をさっと見たり、基本的な構成を確認する程度で、ほとんど対策していませんでした。日本語の授業以外は全て英語でしたが、Japanese Aを取っていたこともあり、日本語で記述することにもさほど抵抗感もなかったです。また、「英語的な小論文の書き方だから逆にわかりやすい」という評価を先生に貰っていたので、小論文には多少自信がありました。
実際、受けてみて特に良く書けた!という感じも、失敗した…という感じもなく、時間内に書き終えることができて良かった、という感触ではありました。
Q:面接について教えてください。
面接も日本語で、先生が2人いる2:1の形式でした。時間は20-30分程度だったと思います。
実は、面接は逆に全然できなかったと思っていて……理由としては、一般的な質問より、自分が話した内容や出願書類の内容を深掘りされるやり取りが多く、準備していた受け答えがほとんど使えなかったことがあります。準備していた中で使えたのは自己紹介か、志望理由くらいでした。
出願したエッセイに多様性について書いていたので、そこに関連する「夫婦別姓についてどう思いますか?」というような質問が突然飛んできたりしました。想定外の質問だったので、あまり論理的な回答ができなかったことが気がかりではありました。
他にも、「どんな高校だったのか」など聞かれましたが、IBについての質問は一切ありませんでした。
Q:面接対策のアドバイスはありますか?
自分が書いたエッセイの内容について答えられるようにしておくことです。エッセイをベースに質問されるので、面接で深掘りされた時にある程度自信を持って受け答えができるようにすることが大事だと思います。
私の場合は「多様性」についての自分の考えを持っていたのである程度対応ができたと感じています。エッセイ執筆時にしっかり考えること、面接前にはそのエッセイを再度読み込むことは必要だと思います。
Q:時事問題への応答のための準備はどの程度必要だと感じましたか?
私の場合は、「多様性」というトピックについての自分の視点を掘り下げるきっかけとして「夫婦別姓」についての質問をされました。ある出来事への理解力を試されているというよりは、それをどう捉えているのかを見られている気がしたので、時事問題への自分なりの考えを言えるくらいの準備はしてもいいのかもしれません。
ただし、時間があまりない場合にはやはりエッセイを再読するなど、執筆内容に関連する思考・情報整理をすることが優先かなと感じました。
Q:大学受験の際、IBをやっていてよかったと感じたことはありますか?
国内だけでなく海外大学もそうだと思うのですが、IBをやっているからこそ受験できる入試方式があること、場合によっては成績とエッセイだけで合格が決まることもある、という点はよかったです。
後は、課題として小論文や分析を書く機会が多かったので、自分の考えをまとめて書くという練習を自然と重ねられて、それが大学受験でも役立った気はします。
他にも、IB入試を導入している大学であれば評価する側がIBのレベル感を把握していると思うので、自分が学習した言語や教科の理解度を文字数を割かずとも伝えられる、というのは案外大きなメリットなのかなと思います。
Q:合格するにはどのようなことが重要だったと感じていますか?
高校で勉強や活動を重ねる中で自分が大事にしていたものを、大学で自分が勉強したいことと繋げることが大事だと感じています。どうしてその大学・学部に進学したいのかを説明できなければいけないので、自分が好きなことや頑張ってきたことについて「軸」を持って書く・アピールするのは大事だと思います。かつ、可能であればその「軸」を課外活動と接続するということが大事だと感じます。
私の場合は「多様性」と「ビジネス」という関心に基づいたアクティビティ(CAS、自主的な活動含む)を行ってきたことを軸にしてエッセイを書きましたが、書類でも「この子はこういうことがやりたいんだな」とわかってもらえるような内容に仕上げることは必要だと思いました。
Q:IBDP資格を活用して慶應大学法学部を受験する後輩へのアドバイスがあれば教えてください。
慶應法学部のIB入試に関して言えば、ある程度日本語で書けるようにする、ということは大事かもしれません。
また、この大学・学部一本に絞るのではなく、高校在学中あるいは慶應受験前に他の大学も受けておく、ということは自分の場合セーフティネットとして精神的によかったかなと思っています。
他には、基本的なことではありますが、最終スコアで見られる学校なので、最後までFinal Exam対策にも力を注ぐことが大事です。
最後に
いかがでしたか?
Univ-it!では今後も先輩方の体験談をはじめ、IB生のための大学情報をお届けしていきます。次回もお楽しみに!