【OBインタビュー】「自分の世界を形作る」スキルを身につけよう。外資系IT企業で働くAPU卒業生が考える、APU生の強みとは?

2023年5月12日

大分県別府市に所在する、立命館アジア太平洋大学(APU)。在学生の50%が留学生という圧倒的な数字を誇る国際的なキャンパスとして有名な大学です。今回はそんなAPUを卒業し、外資系IT企業で人事として働くOBの方にインタビューを行いました。
社会人になってから気づくAPUの魅力とは?今後社会で活躍していくためには大学でどのようなスキルを学ぶべきなのか?そのような疑問について企業の採用側の視点から語っていただきました。

大学の先には何が待っているのかー高校生の皆さんはそこまで考えたことがありますか?
「大学を卒業して社会で活躍できる人材になりたい」「将来のためになるスキルを大学で身に付けたい!」と思う方は必読です!

 

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今回インタビューさせていただいたパクさん

韓国系のバックグラウンドを持つウズベキスタン出身のアンドレー・パクさん。APUの国際経営学部(APM)を卒業し、大手日系企業に新卒で就職。その後、外資系の人材会社で3年半過ごした後、現職の外資系IT企業に転職。現在は人事を担当している。大学時代は新聞部に所属し、当時問題意識を持っていた大学の奨学金制度を部活動の一環でインタビューしたことをきっかけに、大学が新たな奨学金プログラムを導入しそれに採用されたという経験も。

今回のインタビューではAPUを卒業して社会人となった今、大学の経験が働く上でどのように活きていると考えるか、そしてリクルーターから見たAPU生の魅力について迫った。

 

APUに入るまで

APUを目指した経緯について教えてください。

大学に入る前に1年間ほどアメリカに留学をしていた経験をきっかけに、アジアの大学へ進学することを決心しました。アメリカでの留学期間が人生で最も大変な時期だったんですよね。当時の私にとって、アメリカとウズベキスタンの環境はギャップが大きすぎて、周りの人と上手くコミュニケーションを取ることができませんでした。故郷では元々友達が多い方だったので、アメリカで友達ができず孤独になった時はとても困惑しました。その経験を通して、自分は欧米よりアジアで生活する方が合っていると考えアジアの大学を目指すことを決めました。

APUを知ったきっかけは、母の知り合いがAPUに合格したと聞いたことにあります。当時、ウズベキスタンではまだまだインターネットも普及しておらず、大学生活を日本で送れるだなんて思いもしなかったのですが、母の知り合いのおかげでそういった選択肢があると知ることができました。そういう意味ではAPUに出会えたのは本当に「ご縁」だと思っています。

 

入学する前のAPUのイメージはどうでしたか?

APUのイメージですが、入学する前も入学した後も、あまり変化はありません。受験をする際にアドミッションズ・オフィスから送っていただいたパンフレットを開いた時、別府市の画像が載っていて、「なんで大都市なんだ!」と思いました。高層ビルもあって、すごい!と感激しました(笑)。

他には、「多様性に富んでいること」がとても魅力的だと思いました。当時は65カ国以上(2018年度は89カ国)から留学生が来ているという数字を見て、すごく面白いなと思いましたし、そのような環境で色々なバックグラウンドを持つ人と交流したいと思いました。


写真:APUキャンパスの様子

APUで勉強したい分野などは決まっていたのでしょうか?

私の専攻は国際経営学部(College of International Management-APM)でした。なぜこの学部を選んだのかというと、将来を考えた時に真っ先に思ったのが「日本の会社に就職して日本のマネジメントを学びたい」ということだったからです。卒業後就職するとなると、やはりマネジメント系を専攻するのは有利だと思ったので、APMを選びました。今は外資系企業で働いていますが、当時は外資系は視野に入っていませんでした。普通の日本人の学生達と同じように日系企業に入り、日系企業がつくっている商品を海外に売りたいという気持ちを持っていましたし、その思いは今もあります。

 

APUでの学生生活について


写真:APUキャンパスの様子

大学生活の中で一番思い出に残っていることを教えてください。

強く印象に残っているのは、「APUではたくさんの機会が与えられる」ということです。国籍・経済地位・男女問わず、誰でも何か頑張りたいことに対して手を挙げれば、APUは全力でサポートしてくれます。私の場合、日本語の先生との出会いを通してそのことを強く感じました。私が受けていた奨学金プログラムの一環で日本語の先生がビジネス日本語を教えてくれるのですが、つきっきりで徹底的に指導してくれたんです。先生達の目的は「生徒を最低でも日本語能力試験の二級、できれば一級に合格させる」というものなのですが、毎日遅くまで熱心に私たちを教えてくださるので、ほとんどの生徒が一級に合格していました。先生達は特別な報酬をもらえる訳でもないのに、私たちに尽くしてくださいました。そういったAPUの教員や職員の方々の人間らしさや良心的な面はすごく印象に残っていますし、本当に感謝しています。

 

APUの学びを通して得られるスキル・能力はどのようなものだと考えますか?

やはり身につくスキルの中で大きいのは多様な環境で通用するコミュニケーション能力だと思います。どのように身につくのかと言うと、まず多様な環境の中で適切なコミュニケーションを取れるようになるまでには、価値観の相違による宗教問題や人種差別に触れてしまうような「ミスコミュニケーション」がたくさん起きます。しかしこういった問題を乗り越えなければ、真のコミュニケーション能力を身につけることはできません。APUに通っていると、そういう機会がたくさんあります。授業内容はグループワークが多く、成績評価はグループで行うプレゼンを元に決まるものが多いです。アジアやヨーロッパ出身の、様々な背景を持つクラスメイトとグループになってどうにかプレゼンを作り上げないといけない。考え方やモチベーションの異なる学生をまとめる上でコミュニケーション能力は本当に重要になってきますし、それを鍛える機会がそこにはありました。また、このようなグループワークを通してタイムマネジメントやプロジェクトマネジメントスキルもついてきます。会社ではグループでプロジェクトを行うことが多いので、学生のうちに似たような経験を積むことができたのは本当によかったと思っています。


写真:APU生の様子

就職活動について

APUの経験は就職活動をする中でどのように活きましたか?

入りたい企業や、就職活動の軸は授業で学んだことをきっかけとして形作られたものだと思います。APUの授業では日本の高度成長期や第二次経済ブーム、バブル期など経済発展について何回も学びました。私たち学生は、なぜ日本がこのような経済大国になることができたのかについて考えることを求められるのですが、やはり外国人だとなかなか分からないことも多いのです。そうなると、現実の日本の会社に入って日本の経済を体感し学びたい・直接人から話を聞きたい、と考えるようになります。私は自分のような外国人が求められる日本企業に入ってグローバルに活躍したいとシンプルに思ったのです。

 

現在の勤務先に至るまでの経緯を教えてください。

新卒の時、グローバルに活躍したいという夢はあったのですが、そのためにどこでどういったスキルをつけなくてはいけないかなど、手段については具体的に考えておらず「とりあえず海外進出している大手日系企業に就職すれば何か身につくだろう」とファーストキャリアを安易に選んでしまいました。実際に就職してみて、自分にはスキルがないということに気づきました。私は自分の夢をどうやって実現させるのか、実現させるためのスキルはどのような会社で身につけることができるのか、といったことについて全く考えていなかったのです。そのため、仕事をしていても、大学の同期と比べてもスキルアップできていないと感じてしまいました。この事実に危機感を覚えて、自分が欲しかった「営業スキル」を鍛えてくれる会社への転職を決意しました。

 

2つ目の会社は外資系人材会社で、スキルを磨いて成果を上げる方式を取っていました。大手日系企業から成果主義の外資系企業に転職することはリスクでもありましたが、当時の私は大きな危機感を抱いていたため、躊躇せず転職を決断しました。しかし、転職して3年後には物足りなさを感じるようになりました。営業スキルは十分身に付けることができたので、次のステップに進むことを考えるようになりました。そんな時、先輩が現在の会社に就職することが決まったというのを知りました。彼に早速連絡をして話を聞いて感激し、ぜひ同じ会社に入りたいと思ったんです。

 

APU生の強みについて


写真:APU生の様子

パクさんが現在勤めていらっしゃる外資系企業に、例えばAPU生は向いていると思いますか?

弊社は「オープンな環境でいかに社員に楽しく働いてもらうか」を大事にする文化を持っているのですが、APU生はそのような環境に確実に向いていると思います。APUという非常に国際的な環境で四年間過ごしているので、オープンであることは彼らに取って新しい環境ではありません。私はAPUを卒業して以来、APUのような職場環境があればいいなーとどこかで思っていたのですが、ようやくここで再会することができました。ダイバーシティを尊重するところや、お互いに協力的なところ、また色々な人とコミュニケーションをとることができる点は弊社とAPUが共通して持っている要素だと思います。

 

APUで培った経験は現在の職場でどのように活きていると感じますか?

APUはとても生き生きしている大学なので、そこで注目を浴びるためには自分からアクティブに活動しないと機会をフルに活かすことはできません。このことに関しては弊社も一緒で、自分からProactiveに動かないと成果を残すことは困難です。私は大学時代から自分から行動することに慣れていたので、今の会社でもそれを活かすことができています。

 

また、APUで身に付けたコミュニケーション能力も活きていると度々感じます。例えば仕事でいきなりインドにいる方と一緒にグループで働いてくれと言われた時、「どのような判断をすれば誰が一番メリットをもらえるか」などについてちょっとした利害関係が生じるので協力的になることは容易ではありません。そのような問題を乗り越えるために、コミュニケーション能力は非常に重要になってきます。直接会えない状況においても、メールやビデオ通話を通してどうにか接触し交流を深めることができれば、協力的になって一緒に成果を上げることを目指すことができるでしょう。

 

APUの学生は他大学の学生と比べて、何が違うのでしょうか?

マインド面で考えると、APU生は知らない人と仲良くなるのに全く時間がかからないということです。というのも、彼らは無用な気遣いを必要としない、オープンな環境で育てられるからです。例えば社会人同士だと初対面で外国人と会った際に、「どこの国出身ですか?」と聞くのは少しためらわれるところですが、APU生同士だと全く気にならないですね。弊社のような会社だと国籍を問うのは失礼に当たるのですが、APUではそういったことを気にせずすごくカジュアルに接し、距離を詰めることができるのです。また、APUを卒業した人は母校(APU)や母校の所在する別府市が本当に好きですね。留学生でも別府に行くときは別府に「帰る」という言葉をみなさん使っています。別府市のことを自分のホームタウンとしていつまでも考えている人が多いです。

 

スキル面で考えると、やはりコミュニケーション能力がAPU生の持つ強みだと思います。大学で多様な価値観に触れているので、どのような人たちとも馴染むことができます。ただ、伝統的な価値観に対しては苦手意識があるので、そういった環境だと上手く馴染めないこともあるかもしれません。

 

これから大学生になる方に期待すること

企業の採用担当として、今後どのようなスキルを学生に求めますか?

私が考える重要なスキルは「適応力」です。近年グローバル企業はITにシフトしてきており、ITが伝統的な業界を引っ張って行くような時代になっています。ITが開発したプログラムやシステムが、流通・ヘルスケア・製造業など伝統的な会社を引っ張っている時代です。そうなると、引っ張られる側は適応力がないとついて来ることができません。新しい技術や制度に対して適応できないと「面倒臭い」と考えてしまい、時代に置いていかれてしまいます。異なる環境に直面した時、パニックに陥らずにスピーディに適応できるか否かで勝負が決まる時代が来るので、「適応力」が今後重要になって来ると思っています。

 

「適応力」はどのようにして身につければいいのでしょうか?

イノベーションが一晩でできないのと同じように、人間の適応力も少しずつ鍛えていく必要があります。そのためには、自分の判断による失敗をたくさん経験することです。例えば、会社を選ぶ時に行きたい会社やその理由を自分自身で考えて、その会社を選び決断して入社したのちに、「やっぱり合わなかった」という失敗をするとか。本当に自分自身の能力で判断をした結果失敗したのであれば、なぜ失敗したのか原因特定ができます。原因が特定できれば、失敗しないためにどう動けばいいかが分かり、大きな学びを得ることができます。一方で例えば親など他人の判断に頼った結果失敗してしまった場合は、責任を自分ではなく他人に転嫁してしまって学びがありません。APUはそういう意味ではたくさん失敗できる環境があります。多様な人たちと一緒に生活をしていくことは難しく、先ほど申し上げた「ミスコミュニケーション」などが頻繁に起きるので。

 

今、大学時代に戻れるとしたら何かやっておきたいことはありますか?

私は今の自分に結構満足していて、基本的に不満に思っていることはあまりないのですが、強いて言うのであればインターンシップやボランティア活動などにもっと積極的に関わっておけば良かったなと思います。様々な活動に参加し経験を積むことで、自分の得意とすること・苦手とすること、また自分が嫌いな分野などが分かってきます。社会人になると自分の得意なことや苦手なことが明確になってくるので、そこから自分の好きなことを活かせる・もしくは嫌いなことを避けて転職先を選ぶことができるのですが、大学生のうちに様々な経験を積んで自分のことをもう少し分かっていれば、就活の時ももう少し楽だったと思います。

 

最後に、大学をこれから選ぶ高校生に向けてメッセージをお願いします!

まずは自己分析をして、自分の目指す像を元に大学選びを行なってください。大学を卒業したらどうなりたいか・大学の四年間を通してどういう人間になりたいか・どういう経験をしたいか・どういうスキルを身に付けたいか。それらを考えた時に、多様性に富んだ環境で学びたい・コミュニケーション能力を鍛えたい・グローバルに活躍したいなどと思うのであれば、APUほど魅力的な大学はないと思っています。そう思わないのであれば、APUに来たら大間違いです!(笑)

 

APUのミッションは「Shape your world」。つまり自分の世界を自分で作ることが求められていますし、それを実現するツールやプラットフォームはすでに準備されています。あとはそれを使ってどうするかは本当に自分次第です。自分から動いてその機会を最大化できる人がAPUに向いていると思いますし、APUを通してそういう人間になることも可能です。
APUは世界を変える人材を輩出できるような大学だと思うので、そうなりたいと思う人はぜひ受験を検討してください。

 


パクさん、インタビューにご協力いただきありがとうございました!

インタビューでも触れたように、大学選びをする際は自分が将来どのような人間になりたいか、社会に出る前に大学でどのようなスキルを身につけるべきなのか、といった点を考えることは非常に重要です。大学はあくまでも人生の通過点。今後一層個人のスキルが重視される社会で生き抜くためには早いうちから準備をする必要があります。高校生の皆さんはぜひこれをきっかけに自分自身の得手不得手、将来目指す人物像について考えてみてください。

 

この記事を通して立命館アジア太平洋大学(APU)に興味を持たれた方はぜひ大学HPをチェックしてみてください。
公式サイト:立命館アジア太平洋大学公式サイト

立命館アジア太平洋大学