「現役IB生へのアドバイス」IB経験者が後輩に伝えたいこととは?

国内一条校のIB生のみなさんの中には、

「直接先輩に話しかけるのは気が引けてしまう……」
「他校の先輩からのアドバイスも知りたい!」

と考えている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、筆者がIB生時代に知りたかったことについて現在EDUBALでインターンとして働く元IB生を対象にヒアリング調査を行いました。回答者の方は全員が一条校出身ではないこと、あくまで各個人の意見であることを留意した上で、参考にしてください。

本記事は2月に発行・配布予定のフリーペーパー「EDUBALマガジン」掲載記事をボリュームアップしてお届けするWeb限定記事です。

現役IB生のみならず、Pre-IB生や保護者の方にまでお楽しみいただける内容となっていますので、お楽しみいただけると嬉しいです。

IB生活は楽しかった/辛かった?

Q: IB生としての高校生活は楽しかったですか?それとも予想以上に辛く過酷なものとして記憶していますか?

通常カリキュラムより授業の選択肢やレポートなどで自由度が高かったので、内容が厳しくても楽しめた
はじめの頃は勉強も難しく、成績も上がらなかったため苦しい思い出がありますが、友達と一緒に勉強をしたり課外活動もあったので楽しかった思いが強いです。
部活とIBの勉強でタイムマネジメントが上手く出来ず、夜遅くまで頑張って起きてたりなどしてたため、ほとんど寝ないで毎日過ごしていました。その結果、心身ともに疲労困憊の状態が2年間続きました
課題の量が多くて寝る間も惜しんで勉強したり、ストレスで体調を崩したこともあった。

75%のIB経験者が「IB生活はどちらかといえば楽しかった」と回答しています。また、IBDPの特徴である「自由度の高さ」や「タイムマネジメントの重要性」とどのように付き合っていくかでIB生活の満足感は大きく左右される、と感じている先輩が多いようです。

タイムマネジメント成功のカギ

Q:  IB生は「タイムマネジメントが命」と言いますが、具体的にはどのような方法・行動でタイムマネジメントを成功させることができると思いますか?

自分で1日のタイムスケジュールを作成する。
息抜きの時間を決めて、すぐに作業に戻れるようにする
友達と一緒に勉強して強制的に勉強できる環境を整える
タイムマネジメントが命だとは思っていないただ、毎日コツコツ続けることが大切なことだとは思う。日本の受験生は夏休みに1日10時間など勉強しているが、IB生はそれをしない。IBの内容量は受験生が高校3年生の時にする勉強の量を2年間に薄く伸ばした感じだと思っている。高い点を取るという強い意識とデッドラインを決めるなど危機感を持つことができれば特にタイムマネジメントは問題にならないと思う。
先生に何かわからなければすぐ聞くという選択肢を持っていてもいいと思います。それによって、どんどん先に進むことができ、不安をすぐ解決できるため無駄な時間が必要ないのでとても効率が良いです。
規則正しい生活を送ること。体が資本なので、なるべく体調を崩さず毎日元気に登校する。
IB生活が終わるまであらゆることを犠牲にする覚悟などなど。ゲームや漫画などの娯楽を一時的に規制して勉強する時間を作る。

小さな目標を立て達成していく、規則正しい生活を心がける、息抜きを入れる、遊びよりも勉強に意識を向ける……というようなアドバイスが多いようです。筆者の意見としては、早期から「高得点取得」をゴールに設定し、毎日の「勉強を習慣化」できたIB生がタイムマネジメントを成功させていると思います。

徹夜には賛成?反対?

Q: IB生活に徹夜は必要だと思いますか?

必要ない。貯めずに毎日ちょっとずつ進めれば余裕です。貯めて最後に徹夜することは修正する時間もないし最悪の手段だと思う(一度やってしまうとまたやってしまうし)。
ちゃんとタイムマネジメントをすれば不要である。また、最終試験の最終日に徹夜を一度だけしたら、その日の試験中の集中力が大幅に落ちたので、やはり、徹夜をしないで済むように過ごすべき。
私は一日24時間では本当に足りないと思っていたので徹夜が必要でした。特にタイムマネジメントが苦手だったので睡眠を削ってでも……という精神で戦っていました。

上記以外にも「徹夜は本当に追い込まれた時の最終手段!」と捉えている先輩がほとんどでしたが、選択肢として必要である、という意見もありました。しっかりとタイムマネジメントをしながらなるべく徹夜をしないことで、結果として生産性も上がるというサイクルを作れるといいですね。

TOKエッセイでA評価を取るには?

※TOKは2022年度から新カリキュラムに移行しています。アンケート回答者の先輩方は旧カリキュラム履修生ですが、核心をついたコメントが多かったため掲載いたします。参考にしていただけると幸いです。

Q: TOKエッセイで高得点を狙うには、どのような工夫が必要だと感じましたか?

「なぜ?」という質問を投げ続けること。自分のアイディアの深堀りを行う。
ただ「高得点を狙う」ことに絞るなら、先生と良好な関係を築くことが1番の近道だと思う。個別で話しまくって理解を深め、アドバイスを個別で求めることは点数に直結する。個人でどうにかするには限界があると感じた。友達や先生、図書館など、利用できる繋がりは全て使うことがコツです
点数の高いものと低いものを比較し何が違うのかを自分なりに理解する必要がある

評価基準に合わせていけば良い、と言われても考えれば考えるほど沼に嵌まってしまう……そんなTOKですが、「考え続けること」「身近な人と話す中で改善点を自覚すること」「高得点取得エッセイの長所と短所を把握すること」でA評価がぐっと近いものになるはずです。難しい内容だけに一人で抱え込まないことが大事だと思います。

CAS Projectの具体例

Q: CAS projectではどのような活動に取り組みましたか?

活動:現役DP生によるDPワークショップ
理由:
日本ではDPについて知っている人が少なく、情報源や体験談もあまり見かけないので、DP生のリアルな生活を共有したいと考えた。
活動:学校の各イベントのポスター作り、Yearbook作成
理由:デザインが好きだったので、CreativityをActivity, Serviceに絡ませられないか考えました。
活動:G1−G12全員を含めたコンサートの主催
理由:もともとこのようなイベントが学校になかったため、(自分が音楽をやっていたこともあり)発表の機会があれば良いなと思い企画した。

各自の得意や興味関心を生かせる場がCAS Projectでもあるようです。新しい挑戦だけでなく、慣れ親しんだ活動にも成長の機会はありますので、楽しみながら長期間継続できるProjectを計画できると良いのではないでしょうか。

EEはいつから取り組むのがベスト?

Q: EEはいつのタイミングまでに教科を決め、リサーチを始めるべきだと思いますか?

説明を受けたらすぐ。早めに動かないと、すぐ時間がなくなってしまうため
​​IBDP1年目の半分過ぎたらあたり。リサーチをする必要やトピックが適切であるかを早めのうちに見極める必要があるから。後から始めてトピックがダメだったら、執筆に時間がかけられない。
一年目が終わるあたりのタイミングがベスト。もっと早い段階からやっても、そもそもDPへの理解がまだ深まってないので、良いRQが立てられないと考えるからだ
リサーチはできるだけ早くしたほうがいいですが、トピックが一番大切なので、トピック選びは慎重に先生と決めた方が良いです

DP1年目冬〜2年目春にかけてトピック候補をあげ、少しずつ課題を焦点化するためのリサーチ進めることをおすすめする意見が多く見受けられました。教科にもよりますが、論文の読み方・書き方が定着してきたDP2年目の夏休みで集中して進めることが推奨される場合もあります。不安な方は学校の先生方に相談するとEE執筆のビジョンがさらに明確になるかと思います。

IB生にとっての効率的な勉強法

Q: スコアアップのため、授業内容の予習・復習以外で取り組んだ勉強法はありましたか?
※旧カリキュラム、COVID-19の影響を受けて試験形態が変更になる以前の内容も含まれています。

【理系科目】
・ひたすら過去問をノートに書いて解く、自分がわかったことを他のクラスメイトに教えてみる
・IB以外が提供しているテストやコンテストの問題を、昼休みに友達と一緒に解いた。
【文系科目】
もともとは苦手意識が多かったが、最終試験でほぼ満点を取った。最終試験直前にPaper1に関しては何度も利用できる構成のアウトラインを作成し、それを用いて練習を重ねたこと、Paper2に関しては作品ごとに利用できるテーマに合わせたQuotesを準備して臨んだ。
【その他】
IA、EEでは、構成や内容の視点の多角化や話題の「引き出し」を増やすために関連研究、論文を見ておくことがおすすめです。

インプットで知識の「引き出し」を増やし、演習でアウトプットすることで学習内容を定着させていくことがIB生の必勝勉強法かもしれませんね。演習を重ねることは特別なことではありませんが、広い視野を持つことはTOKエッセイやFinal試験の記述で役立つこともあります。筆者は好きな教科の専門書を図書館で借りるなどして授業に関連する情報を集めたことで高得点を取ることができました。私からも「引き出し」を増やすためのインプットはオススメしたい勉強法です。

Past Paperはいつから解き始めるべき?

Q: Past Paperはいつ頃から解き始めるべきだと思いますか?その理由も合わせて教えてください。

1年生から。学校のテストでもPast Paperの問題が使われていたため、学校のテスト勉強にもなる。
本格的に解き始めたのはIBDP2年目の後半からです。早ければ良いかもしれませんが、Mark Schemeや答えを暗記するやり方より、授業をちゃんと聞き、EEやIAをしっかり行うことのほうが重要だと思います。
出来るだけ早くです。できれば、授業で習ったらその分野の過去問をすぐにやって問題を覚えてしまうくらいがベストです。というのも、IBの試験問題はパターン化されているので、一見難しい問題でも過去問をやっていれば「あ、これね」とスラスラ出来るケースがたくさんあります。なので本番はどれだけ過去問をこなせたかが普段の成績、最終成績ともに直結します

Final試験直前、という意見は少なくMock試験勉強に活用するという例が多かったです。授業進度や教科によって異なることもあるそうですが、「復習に活用」するのであれば早いうちから、「Final試験対策に活用」するのであればDP2年目からコツコツ取り組む方が良いかもしれませんね。

Group1(Japanese A)の具体的な勉強法

Q: 言語系の勉強(Japanese, Englishなどのwriting)はどのように勉強しましたか?

ひたすら本番と同じ形式で作文を書きました。40回分くらいは書いたと思います。先生に依頼して毎回本番と同じように採点してもらい、フィードバックをもらい、次に生かすの繰り返しで点数は上がります。また、繰り返しによって自分の作文の型が決まってくるため、本番で構成などで余計な時間を使わずに済むようになります。
自分で学習内容をまとめたり、並行してクラスで共有するGoogle Docsを作品ごとに作成した。

Group5(Math)の具体的な勉強法

Mathは基本的に公式メインなので公式の使い方を教えてもらうためにHLの人から勉強を教えてもらっていました。公式の使い方がわかれば基本全部解けます。
過去問あるのみです。問題はかなりパターン化されているので、過去問をやればやるほど解き方の引き出しが増えて有利になります。大切なのは解いて終わりではなく、すぐに採点をしてどこをどう間違えたのか確認することですa。
一年生の段階から各単元ごとに過去問を解く

Group1, Group5についての具体的な勉強法をいくつかご紹介しました。記述回答がメインになる教科では、自身の文章の癖(省略しがちな説明項目など)を把握し、必要であれば改善することが重要なようです。そのためにFinal試験やAssignmentと同形式で演習を重ね、適宜先生やクラスメイトの力を借りることが大切である、とまとめることができると思います。

保護者の方との関係性、サポート

Q: 保護者は放任主義であるべきだと思いますか?それとも干渉主義であるべきですか?

生徒それぞれ合った生活習慣があると思うので、それを尊重してくれるとありがたい
生徒による。進んで勉強するなら放任主義で良いし、勉強しないなら管理してもらったほうが良いのかもしれない。注意したいのは、親は生徒や先生よりもIBのことをわかっていないという点。管理を全て親に委ねてしまうと本当にやらなければいけないこととのズレが生じる可能性があるため、それは避けたい
先生に話せない普段の悩みや進路の不安など、勉強以外でも生徒が思うところはたくさんあるので、それらを聞いてあげるというのは親にしかできないことだと思う。親が進路など考えを押し付けるのではなく、あくまで一緒に考えるという形で相談に乗ってあげることは生徒の精神面での大きな支えになる

自主性が重んじられるIBカリキュラムの方針を理解し、「近い距離で、そして踏み込み過ぎずサポートしてもらえたことが嬉しかった」と振り返る先輩方が多い印象です。とはいえ、それぞれが望むサポートの形があると思います。保護者の方に「どのように協力してほしいのか」を言葉にして伝えることも大切かもしれません。

Final Exam終了後の過ごし方

Q: 試験終了後のいわゆる「暇な時間」を有意義に過ごすためにどのようなことをすべきだと思いますか?

気楽に過ごしていいと思う! ゆっくり休むことも間違いなく有意義な時間だと思います。
新しいこと(バイト、趣味など)を始める。息抜きにもなるし、勉強以外の面を学ぶことができる。
免許を取りに行ってもいいし、とにかく勉強から離れて長い休みをエンジョイすることが大切です!

ようやく厳しいIB生活を終えたFinal試験後は、「とにかく残りの高校生活を楽しむべし!」と考える先輩がほとんどでした。Final試験の前からしたいこと、新しく始めたいことを検討しておくと試験勉強のモチベーションにつながるかもしれませんね。

Pre-IB生へのアドバイス

Q: Pre-IBの時期にした方が良いことなどはありますか?

科目選択の前に、大学入試(志望大学受験に必要な点数、科目など)について調べる
興味関心を持つこと、問題意識を持って日常を送ること、英語をやっておくことぐらいで、大きく意識することは特にない。入ってからでないとわからないことが多いから。
出来るだけ英語力を伸ばして置けるとグッド。英語はどの科目でも必要になり、作文を書くためにどうしても英語が出来るほど成績は上がる。

IBに身を投じる前に、しておくべきことは何か。実はなかなか尋ねる機会がない疑問ではないでしょうか?筆者もFinal試験を終えてようやく「Pre-IB生の時にできたことがもっとあったはず」と考えたことを覚えています。今回回答してくださった先輩方は「興味関心を深めてみる」「英語に力を入れる」など、DP課程での学びに繋がっていく「姿勢」を身につけることをオススメしていました。ぜひ、自由に時間を使えるPre-IB生の時期にできることを検討してみてください。

最後に

いかがだったでしょうか?
現在大学生活を送るIB経験者からのアドバイスが、現役IB生のお役に立てれば嬉しいです。

本記事を読み、何か疑問点が生まれた場合には「トピック機能」に投稿していただきますと元IB生のUniv-it!スタッフもお答えします。
ぜひご活用ください。

次回記事もお楽しみに!