イギリスの大学の受験方法を一挙解説!現役イギリス大学生によるアドバイスも

 

「イギリスの大学に進学したいけれど、どう受験すれば良いかわからない」、「イギリスの大学受験には何が必要なの?」このようなお悩みをお持ちの方も多いと思います。

日本やアメリカの大学受験に比べて、イギリスの大学受験の情報は少ないですよね。本記事では、イギリスの大学受験(学士課程)の方法について、出願方法から注意点まで、実際にイギリスの大学に通う筆者がご紹介します。

イギリスの大学受験

UCASを使う

世界中のほとんどの国では、受験する大学に直接出願する形が主流です。しかし、イギリスでは、全員が「UCAS」と呼ばれる機関を通し、出願します。したがって、締め切りや応募書類は全国共通(*一部を除く)なため、比較的シンプルでわかりやすい出願プロセスとなっています

必要書類

①志望書(Personal Statement)*

②IB等成績証明書:最終成績が出ていない場合は、予想点数(Predicted Grade)を提出

③英語力証明書

④推薦状

*2026年度より、パーソナルステイトメントに何らかの変化を加えることをUCASが発表しています。詳しくは2025年6月に公表されるとのことです。

出願時期

全員がUCASを使って出願するとはいえ、出願時期は大学・学部によって異なる場合があります。以下が例年の一般的な締め切りです。

10月初め:音楽系大学・学部

10月15日ごろ:オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、医学部・歯学部・獣医学部の出願締め切り

1月中旬(15日ごろ):全ての大学が締め切り

 

推測ですが、医学部等は大学特有の試験や面接が課されるため、受験に時間がかかることが出願時期の早い理由でしょう。オックスフォード、ケンブリッジ大学に出願した場合は、合否が出ていない限り1月の締め切りまでは志望大学・学部を変更できます。

タイムライン

海外インターからイギリスの大学に進学した筆者の経験を基に、イギリスの大学受験のタイムラインをご紹介します。上段が大学受験、下段がIBに関わるものです。ちなみに筆者は、イギリスの他にオランダ、シンガポール、カナダの大学を受験し、アメリカと日本の大学受験の準備も行なっていました。米印のものは、私が、受験生だった時やっておけばよかったと後悔しているものです。

 

DP1 夏休み サマースクールや興味のある課外活動
志望理由書を書き始める
奨学金のアプリケーション
*語学試験の受験
夏休みが始まる前に推薦状の依頼
EE、IAの執筆
DP2 9月 語学試験の受験
志望理由書を何度も書き直す
奨学金に応募
IAの執筆
DP2 10月 イギリスの大学のアプリケーションを提出
English IO
DP2 11月 カナダの大学のアプリケーションを提出
課外活動
イギリスの大学合格1校目
IA
DP2 12月 アメリカの大学(Ivy リーグ)のアプリケーション
IAの提出
DP2 1月 シンガポールの大学のアプリケーションを提出
奨学金に応募
日本の大学のアプリケーション準備
Mock Exam
DP2 2〜4月 オランダの大学のアプリケーションを提出
奨学金に応募
IA、EE、TOKの提出
最終試験の勉強
DP2 5月 イギリスの仮合格校の決定
最終試験
DP2 7月 合格校が確定
最終試験の結果発表

ケンブリッジ大学等、合格発表日が決まっている大学を除き、順次合格発表がなされる形式です。個人差があり、出願後1週間で合格が出る場合もあれば、5月まで合否が出ないこともあります。また、受験校全ての結果が出るまでオファーを承諾する学校を選べないため、早めに第一志望の大学から合格を得ると、まだ合否が不明の受験校を取り下げし(withdraw)、合格校との手続きを進める方もいます。

受験校の数

イギリスでは、5校または5学部まで受験が可能です。同じ大学の異なる学部を2つ以上受験することも可能です。

ただし、「パーソナルステートメント」と呼ばれる、いわゆる願書は、全大学・学部共通で各自1本のみしか提出できません。願書は、受験する大学、学部への志望理由を綴る場のため、ある程度一貫した大学、学部に出願し、志望動機に説得力を持たせることが必要です。

費用

1校のみを受験する場合は、22ポンド(約4,400円、2024年8月1日現在)、2校以上受験する場合は、28.5ポンド(約5,700円)です。

オファーの種類

イギリスの大学には、条件付き合格(conditional offer)と無条件合格(unconditional offer)という 2種類の「合格」があります。

無条件合格は、希望すれば入学できるという、一般的な「合格」です。条件付き合格は、仮合格のようなもので、「IBの最終試験で〇点」「IELTS◯点」というように、条件が示されます。条件を満たし次第、報告すると無条件合格に繰り上がり、無事合格が決まります。

イギリスの大学では、IBの結果が出る前に合否結果が出るため、大学は、その生徒が本当に応募要件以上の能力を保持しているのか、確証がないまま合格を出さなければなりません。したがって、「一旦場所は確保しておくけれど、点数が取れなかったら合格は取り消すよ」という効力を持った条件付き合格が存在するのです。とはいえ、IBの試験が終わっていなくても無条件合格が出ることもあります。また、IBの最終成績を取得してから受験する場合は、無条件合格となります。

もし、条件を達成できなかった時のために、受験生は、合格した大学の中から第一志望(Firm acceptance)と補欠(Insurance acceptance)の2校を選択することができます。もしどちらの条件も満たせなかった場合は、定員に達していない大学を再受験(Clearance)することが可能です。

 

注意点

応募要件

アメリカ等とは異なり、イギリスでは、IBのスコアなど、応募要件が満たされていることが必要です。応募要件には、点数の他にも、特定の科目・レベルの履修が含まれている場合があります。各大学のホームページや、UCASにも応募要件が公開されていますので、確認してから科目選択や受験を行いましょう。

テストスコア

英語が第一言語でない場合、英語力を証明する必要があります。一般的には、IELTSやTOEFLなどの語学資格を提出しますが、IBのEnglish A/Bをその代替とすることが可能な大学もあります。語学試験が原因で不合格となるのは勿体ないので、早めに受験しておきましょう。語学試験は、取得日から2年の有効期限がある点には留意してください。また、出願時に英語レベルが要件に達していなくても、条件付き合格となり、後日試験結果を提出すれば無条件合格がもらえることもあります。

合格は早い者勝ち!?

合否結果は、順次出ると前述しましたが、大学によっては、出願者全員を比較するのではなく、出願順に願書を審査し合格を出していく、rolling basisのシステムをとっていることもあります。その場合、締め切り直前に願書を提出すると、定員の関係で不合格になってしまうこともあるので、注意してください。

予想点数(Predicted Grade)って?

出願時期が10月〜1月のため、IBの最終試験が5月にある人や、10月に願書を提出する必要のある11月受験の人は、最終成績ではなく、予想点数(Predicted Grades)を成績として提出します。

この予想点数は、「その生徒が最高のコンディションで最終試験を受けた時に取れる見込みのある点数」で、各教科の先生が算出します。この点数ですが、10月に出願する場合は、IB1年目の成績、1月はIB1年目と2年目の1学期〜2学期の成績を元に予想されるため、日々の勉強が大事になってくることがわかります。

 

最後に…

いかがでしたか。今回はイギリスの大学受験の方法についてご紹介しました。比較的簡単に受験できるイギリスですが、履修要件や条件付き合格など、ユニークな制度があるのも特徴です。ご自身の興味のある大学・学部の応募要項をよく読み、漏れのないように受験に臨んでくださいね。

Univ-it!ではイギリスの大学も紹介しているので、ぜひUniv-it!の記事や大学検索機能を利用して志望校をみつけてください!

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