IBDPで英語力はどこまで伸びる? DP修了生のデータをもとにDPで培える英語力について解説!
IBDPの授業は、一般的なカリキュラムに比べて英語に触れる機会が多くあり、2年間学習を通じて英語力を向上させられることを期待している方も少なくありません。では、IBDPの授業では、どのように英語を学び、どれほど英語力が伸びるのでしょうか?この記事では、実際にDPを修了した方のアンケート結果やスコアなどを用いてIBDPと培える英語力の関わりについて詳しく解説します。
IBDPにおける英語の授業について
初めに、IBDPの授業における英語との関わりについて解説します。日本の学校でDPを学ぶ場合、ほとんどの科目を日本語で履修する“日本語DP”と、ほとんどの科目を英語で履修する“英語DP”のどちらかを選択して学んでいくこととなります。日本語DPと英語DPとでは授業での英語との関わり方が大きく異なるので、ここではそれぞれを分けて解説していきます。
日本語DPでの英語の授業
日本語DPにおいては、「英語を学ぶことを目的とした科目」としてEnglish Bを履修することが一般的です。English Bでは、英語で書かれた小説を読んで分析したり、プレゼンテーション・ディスカッションをしたりしながら英語力を磨いていきます。また、言語習得科目に加えて、ほかの一科目を英語で履修します。日本の一条校では「数学」を英語で履修する場合が多いです。英語を「学ぶ目的」としてだけではなく、「学びのツール」としても活用します。
英語で提供される科目は、最終試験や内部評価も全て英語で実施されます。英語で書かれた問題の内容を理解し、英語で回答を記述できるレベルまで英語力を高めることとなります。
英語DPでの英語の授業
英語DPでは、言語習得の科目を除いた全ての科目を英語で履修します。基本的に学校での学習を全て英語で行うこととなるため、国内の学校でも海外の学校で学習をしているような感覚に近いかと思います。DP開始時点で既に一定レベル以上の英語力を有している学生向けのカリキュラムであるため、DPを通じて英語力を高める、というよりは、英語を活用して様々な概念についてより深く理解していくような内容となっています。
DP開始前と修了後の英語力の変化
前述したように、英語DPを履修する学生は多くの場合既に一定レベル以上の英語力を持っています。そこで今回の記事では、日本語DPを履修したDP生のアンケート結果を中心に英語DP生によるアンケート結果も交えながら解説していきます。
IB生は実際に英語力が伸びた実感があるのか?
まずはDP生の感覚として、授業を通じて英語力が上達したと感じているかを見ていきます。日本語DP生・英語DP生を対象に「IBDPの勉強が英語力の向上に繋がったと感じますか?」という質問に対する回答は以下に示すようなものでした。
8割以上のDP生が「感じる」または「ある程度感じる」と回答しており、「感じない」と回答したDP生は一人もいませんでした。DPでは、授業や課題を通じて英語の読み書き・コミュニケーション能力を自然に鍛えられる機会が多いので、日常的に英語に触れることが英語力の上達につながっていると考えられます。
実際のデータから見る英語力の変化
前の段落では、あくまで「感覚」の面から英語力の向上を見てきましたが、この段落では、実際のデータに基づいて、DP開始前と修了後で英語力の変化について確認していきます。具体的には、英語能力を計る国際的な指標の一つであるCEFRを用いて英語力の変化について分析します。

日本語DP
DP開始前は、A1以下(2名)・B1(4名)・B2(4名)・C1以上(5名)と比較的幅広いレベルに分かれていました。一方、DP修了後にはB2(4名)とC1以上(11名)と全員が英検準1級以上のレベルの英語力を有しており、A1以下やB1にとどまる学生はいなくなっています。また、C1以上の学生も開始前の5名から11名に大幅に増加しており、多くの学生の英語力が向上していることが読み取れます。
英語DP
英語DPの生徒は、DP開始前の時点で日本語DP生よりも全体として高い英語力を有していますが、日本度DP生と同様に多くの学生の英語力が向上していることが読み取れます。もともと一定の英語力を備えていた英語DP生が、DP修了までにさらに上位レベルへとステップアップしていると言えます。
英語資格試験における実例を紹介
次に、実際にDP生が現役時代に取得した英語資格試験のスコアを、DP取得前と取得後で比較して紹介します。日本語DP生と英語DP生のそれぞれで、実際にどの程度英語力が変化した事例があるかを参考にして頂ければと思います。
日本語DP生
- IELTS Overall 7.0 –> 8.0
- TOEFL 96 –> 105
- 英検3級 –> IELTS6.5
英語をメインの言語としない日本語DP生でも、IELTSやTOEFLなどのグローバルな試験で大きくスコアを伸ばしています。
英語DP生
- TOEFL 93 –> TOEFL 110
- TOEFL iBT 109 –> 111
英語DP生も同様にスコアをアップさせており、英語力が向上していることが読み取れます。
DP生が特に上達したと感じる英語のスキル
それでは、次に英語の5技能の中でも特にDPの授業を通じて向上したと感じるスキルは何か、見ていきましょう。
多くの卒業生が4技能をバランスよく習得できたと答える一方で、特にライティングとリーディングのスキルが大きく伸びたと実感している人が多いようです。以下に、DPの授業におけるそれぞれのスキルとの関わりについて解説します。
ライティング
English Bの最終試験では、Paper 1においてPaper 1ではText Typeに関するライティング問題が出題されており、授業でも多くライティングの練習を行う機会があります。Text Typeとは、エッセイや手紙、記事、スピーチなどの文章の種類のことを指します。授業では、それぞれのText Typeに適した文章の組み立て方や論調、言葉の使い方について学習し、それに基づいて自分で文章を書けるようになることを目指します。
Paper 1や日常の課題を通じて、様々なText Typeに適した書き方を学ぶことで文章を書ける力が身につくと感じた生徒が多いようです。
リーディング
DPでは、Japanese Aなどの科目を除いたほとんどの科目 (提供言語が日本語の科目も含む) で英語で書かれた教科書を用いて学習します。English Bの授業でのリーディングに加えて、日々の各科目の学習自体が英語の文章に触れる機会となっています。教科書にはアカデミックな単語や専門用語も含まれているので最初は難しく感じる人も多いですが、学習を続けることで徐々に読み方のコツが身につき、自然と読解スピードや理解度が高まったという声もありました。
最後に
このように、IBDPでは普段の授業を通じて英語を活用する機会や生の英語に触れる機会が多くあり、データとしてほとんどのDP生が実際に英語力が向上しています。日本語DP・英語DPのいずれにおいても、授業を通じて高いレベルの英語力へと成長することが出来ると言えるでしょう。これからDPの履修を検討している方や現在取り組んでいる方が、自信を持って学習を進められる一助となれば幸いです。