IBDP English Bで大変だったことや乗り越えるためのコツを紹介! 経験者15人が語る苦労した点や工夫したポイント!

IBDP Group 2 (言語習得) の科目の一つであるEnglish Bは、英語を母語としない生徒が、実社会や学問の場で英語を活用できるようになることを目的に設計されており、多くの日本人DP生が履修している科目です。しかし、授業は全て英語で行われる「英語を英語で勉強する」スタイルの授業となっており、苦手意識を持つ人も少なくありません。今回はそんなEnglish Bについて、DP取得者を対象に行ったアンケート結果 (15人が回答) を基、実際にEnglish B経験者が授業で苦労したこと大変だったこと、そして工夫していたポイントなどを詳しく紹介・解説していきます。

English Bはどのような科目? English Bの特徴

授業の特徴

English Bの授業では5つの「Prescribed Theme」と呼ばれるテーマに基づいて、ディスカッションやプレゼンテーション、ライティングを通じて学習を進めます。

〇Prescribed Theme

  • Identities (アイデンティティ)
  • Experiences (経験)
  • Human Ingenuity (人間の知恵)
  • Social Organization (社会組織)
  • Sharing the Planet (地球を共有するということ)

これらのテーマに関連深いテクストを読んで分析したり、テーマに沿ったトピックについてプレゼンテーションを行ったりします。授業はSL・HLともに全て英語で行われます。HLとSLで学ぶテーマに違いはありませんが、HLでは文学作品を2冊読むことが定められているなど、内容がより深く、難易度も高い内容となっています。

Text Typeの学習

さらに、これらの5つのテーマの学習に加えて、Text Type (文章の種類)についても学びます。エッセイ手紙記事スピーチなどそれぞれのText Typeに適した文章の組み立て方や論調、言葉の使い方について学習し、それに基づいて自分で文章を書けるようになることを目指します。Paper 1ではText Typeに関するライティング問題が出題されます。

〇テクストタイプの例

  • Blog
  • Essay
  • Guideline
  • Personal Blog
  • Review
  • Interview
  • Diary / Journal

English Bの評価・試験について

内部評価 (比重: 25%)

English Bの内部評価は、Individual Oral (IO) と呼ばれる口述式の試験 (スピーキング試験) で行います。SLは初見の画像、HLは授業で扱った文学作品をお題に、そのお題についての説明やテーマに対する自分の考えなどを5分程度プレゼンします。その後、先生からの質問に対する回答やディスカッションを行い、合計15分程度スピーキング試験を行います。質問に対する回答やディスカッションなどは事前に話す内容を準備することができないため、その場で考えて話せるスピーキング力が求められます

Paper 1 (比重: 25%)

前述したように、ライティング試験です。指定された課題について論じるうえで適切なText Typeを自分で選択した上で、そのText Typeに基づいて文章を書きます。SLは250〜400語程度HLは450〜600語程度の分量です。

1時間15分 (SL) または1時間30分 (HL)の時間内で文章を完成させるライティング力に加えて、各Text Typeについての知識も覚えた上で試験に臨む必要があります。

Paper 2 (比重: 50%)

Paper 2はリーディングセクションと、リスニングセクションに分かれており、比重はそれぞれ25%ずつになっています。リーディング、リスニングともに3つのパッセージが出題され、そのパッセージに関する質問に答える形となっています。英検1級程度のリーディング力、リスニング力があると有利に試験を進めることが出来るでしょう。

English B経験者が実際に苦労したこと

それではここからは、実際にEnglish Bを修了しDPを取得した先輩方の経験談について紹介していきます。まずは、English Bの学習で苦労したことについて紹介します。

授業でのディスカッション

English Bの授業は、全て英語で行われる (日本語は使用禁止) ことに加えて、プレゼンテーションディスカッショングループワークなど積極的に自らが話すことを求められる授業が多く、英語を一定程度話せる、聞けることを前提として授業が行われます。

特に、グループでのディスカッションは難しいと感じる経験者が多かったようです。その場で考えたアイデアを英語で即座に伝える能力や、英語で会話を続けていく力に加えて、他の生徒の意見を理解し、自分の考えを効果的に伝えるスキルが求められます。最初は苦手でも、経験を積む内にどんどんと上達していくので、失敗を恐れずに自信をもって話す姿勢を持つことが重要です。

実際にアンケートで寄せられた声

  • グループディスカッションでコミュニケーションを取るのが難しかった
  • グループディスカッションで自分の意見を伝えるのが難しかった

内部評価 (IO)

前述した内部評価で行われるIOについても苦労したと感じる経験者が多いです。IOでは、その場で文章を組み立てて、出来る限り途切れないように話続ける必要があります。また、質疑応答やディスカッションも含まれているため、質問内容を理解したうえで、自分の意見をすばやく論理的に組み立てて話さないといけないことに難しさを感じる経験者が多いようです。

実際にアンケートで寄せられた声

  • 写真を見ながらその状況を説明するのが難しかった
  • 面接の内容と評価基準が曖昧だった

最終試験 Paper 1のライティング

English Bの最終試験の中では、Paper 1のライティング試験に苦労したIB生が多かったようです。単純なライティング課題ではなく、Text Typeに基づいて文章を完成させなければならない点に難しさを感じる人が多いです。

事前にText Typeごとに異なる構造やスタイル、語彙の使い方について理解した上で、それに基づいて書くスキルが必要となります。English B経験者の中には「エッセイやスピーチなどの形式ごとの違いを覚えるのに苦労した」「試験時間内に適切なText Typeを選んだ上で書き進めることに苦労した」という声も多くありました。後述するように、Text Typeごとにポイントやフォーマットについてまとめるなどして対策することが大切です。

実際にアンケートで寄せられた声

  • どのテクストタイプを選ぶかを掴むのが難しかった
  • 様々なライティング様式に慣れるのが大変だった
  • フォーマルなエッセイだけでなく、スラングなど、少しカジュアルな工夫をしなければいけない点が大変だった
  • なかなかスコアが上がらなかった

経験者が実際にEnglish Bの学習で工夫していたポイント

次に、このようなEnglish Bの学習を乗り越えるために、実際にIB修了者が工夫していたポイントについて紹介します。

分からない単語をまとめる

English Bでは、授業を通して様々なテクストを読むため、新たな単語に触れる機会が多くあります。そのため、「授業中や課題で出会った分からない単語をノートや単語帳にまとめる」という方法を実践していた経験者が多いようです。語彙力はEnglish Bを有利に進めていく上で重要であるため、非常に効果的です。

実際にアンケートで寄せられた声

  • 授業で出てきた新しい単語をまとめるVocabulary Noteを作っていた
  • 分からない単語はまとめるようにしていた

ライティングの書式や構造 (Text Type) についてまとめる

苦労するポイントとして挙げたPaper 1のライティングを少しでも有利に進めるためには、各Text Typeの特徴やフォーマットを正確に理解し、活用できるようにすることが鍵となります。そのために、授業中に学んだ各Text Typeの特徴をまとめたノートを作ったり、Text Typeごとにポイントやフォーマットをまとめたドキュメントを作っていたりした、という声が多くありました。全てのText Typeの書式を暗記するほど、練習を重ねることが出来れば自信をもってPaper 1の課題に臨むことが出来るでしょう。

実際にアンケートで寄せられた声

  • 全てのライティング様式の大体の構造を暗記して、練習を重ねていた
  • テクストタイプごとにポイントやフォーマットをまとめたドキュメントを作っていた
  • ライティング用に英語の表現をまとめていた
  • ライティング課題の書式まとめノートを作っていた

友達や先生とIOの練習

IOでは、話す内容を考えておくなど直接的な事前準備はできませんが、何度も同じ形式で練習を行ったり、授業で扱った文学作品について深く読み込んでおいたりする (HLのみ) といった準備は可能です。

特に、同じ形式で練習を行っていた人が多く、友人やEnglish Bの担当教員と練習を重ねていた経験者が多いようです。日頃の授業で意識的に多く発言するようにしてスピーキング練習をしたり、友達と模擬試験を行ったりするなどきちんと準備を重ねた上で試験に臨むことが大切です。

実際にアンケートで寄せられた声

  • English B担当教員と1体1でSpeakingする時間を作ってもらっていた
  • Criteriaが何を求めているかを確認していた
  • 小説の分析をドキュメントにまとめていた

English Bを通じて身につけられたと感じるスキル

English Bを修了生が身につけられたと感じるスキル

English Bを修了した卒業生が身につけたと感じるスキルは、以下のグラフに示す通りとなっています。多くの卒業生が4技能をバランスよく習得できたと答える一方で、特にスピーキングライティングのスキルが大きく伸びたと実感している人が多いようです。

スピーキング

前述したように、English Bは授業内ディスカッションプレゼンテーションを行う機会が多くあるので、スピーキングが特に向上したと感じる卒業生が多いです。内部評価でも、即興で英語を話す力が求められるため、この準備を通じてスピーキングスキルを磨けたと感じる生徒も多いようです。「授業中に積極的に発言するように心がけたことで、自信を持って英語を話せるようになった」という声も多くありました。

ライティング

ライティングスキルについては、Paper 1や日常の課題を通じて、様々なText Typeに適した書き方を学ぶことで大きく伸びたと感じる卒業生が多いようです。授業では、エッセイやスピーチ、ブログなど、Text Typeごとのフォーマットを習得したうえで、文章を書く練習を繰り返します。また、限られた時間内で質の高い文章を完成させることも求められるため、文章を書ける力が身につくと感じた生徒が多いようです。

最後に

今回は、実際にEnglish Bを履修した卒業生の経験談を基に、学習の特徴や工夫すべきポイント等について解説しました。English Bは、努力次第で確実に高得点を目指せる科目です。これから履修を検討している方や現在取り組んでいる方が、自信を持って学習を進められる一助となれば幸いです。