IBの指導の手引きとは? 内部評価や最終試験の概要について知れる指導の手引きを活用してIBを有利に進めよう!

既にIBDPを履修している生徒のみなさんは『指導の手引き』という言葉に聞き覚えがある人も少なくないと思います。『指導の手引き』は、IBの科目を指導する教師向けに作成されている資料ですが、各科目の詳細や最終評価の評価方法、評価基準といった生徒にとっても有益な情報が多く記載されています。この記事ではそんな『指導の手引き』について、具体的にどのような内容が書かれているのか、そしてどのような場面で活用すべきかを解説します。

指導の手引き (Guidance Guide) とは?

前述したように、指導の手引き (Guidance Guide) は、IBの授業を担当する教師に向けて作成されたIBO公式のドキュメントです。科目ごとに作成されており、IBDPの教育理念から、各科目の詳細、評価方法など、いわば「IBの全て」が網羅されている非常に有意義なガイドブックとなっています。

 指導の手引きに書かれてあること

各科目の詳細

まず、指導の手引きには、科目の特徴やSLとHLの違い、CASやTOKとの関連といった科目の詳細が記されています。この中で特に大切な項目が、概念についての説明とシラバスです。

概念とは、科目ごとで用いる重要な専門用語であり、教科書や最終試験の問題でも頻繁に登場するものです。例えば数学の場合は、「近似」「モデル化」「数量」「妥当性」といった概念の定義が説明されています。

シラバスは言葉の通り、IBの授業で学ぶ学習内容や各単元における重要公式等がまとまって記述されているものです。各単元の重要事項がかなり簡潔にまとめられているので、授業の予習や勉強を行う際の目標立てにも活用できます。 実際に、私自身も最終試験対策を行うときにシラバスを参照しながら勉強を進めていました。覚えるべき項目が列挙されているので、非常に役立ちます。

内部評価の評価基準と評価方法について

また、指導の手引きには、Diplomaの取得・点数に大きく関わる最終評価の方法についても詳細に記述されています。

IBでは内部評価の評価基準として5つの基準が設定されていますが、指導の手引きには、5つそれぞれの評価基準や評価の方法について説明されています。レポート形式の内部評価の場合は、レポートに含める内容や論述の進め方 (演繹法を用いるなど) 、効果的な振り返りの仕方について詳しく記されています。

ここに書かれてある内容を読み込むと、「これぐらいの内容を書くと何点が取れる」といった大まかな評価の感覚もつかむことが出来ます。他のどの資料にも載っていない、かなり貴重な情報が多く記されているのでIB生は必ず見るべきです。

外部評価の評価基準と評価方法について

外部評価 (最終試験) についての説明には、各試験の点数の割合と出題される問題の形式についてその概要が記されています。試験問題1 (Paper 1) では、こういった問題の形式で出題されるといった説明が5行程度でなされています。

HistoryやJapanese Aなど、論述問題が中心の場合はその具体的な評価基準が内部評価と同様に詳細に記されています。

コマンドターム

最後に、コマンドタームと呼ばれる試験問題で用いられる重要な用語や表現についての説明も指導の手引きには含まれています。

「比較・対比しなさい」「論証しなさい」といった言葉に、IB独自の定義を加えているので、これらの意味を理解しておかないと最終試験時に的外れの回答を答えることにつながってしまいます。指導の手引きには、そんな各用語の定義が正確に説明されています。

どのタイミングで指導の手引きは見るべき?

このようなIBを学習していく上で非常に有意義な情報が多く掲載されている指導の手引きですが、筆者の経験も踏まえると、次のようなタイミングで見るべきだと強く感じています。以下にそれぞれのタイミングについて解説します。

  • DPが始まってすぐ
  • IBの勉強に行き詰ったとき
  • 内部評価に取り組むとき
  • 外部評価に取り組むとき

DPが始まってすぐ

DPが始まった直後は、今までの科目と大きく性質が異なるということもあり、右も左も分からない状態という方も多いと思います。特に、TOKやCAS、EEのコア科目は、今までに勉強したことの無い未知の科目で、不安な気持ちが芽生えることと思います。

そんなDPが始まってすぐの時期は、各科目の詳細や評価方法を把握する絶好の機会ですから、是非指導の手引きを活用して各科目について詳しくなっておきましょう。早い段階でDPについて知ることが、最終的な成績向上に繋がります。

IBの勉強に行き詰まったとき (IBの勉強に役立てられる)

DPの科目 (特にHL科目) には、日本の大学で学習する内容も含まれており、中々理解できずに絶望しそうになることがあるかもしれません。そんな時にも、一度指導の手引きを見てみることが大切だと感じています。

指導の手引きには、「ここを理解しておけば大丈夫」「ここが大切」といった学習するうえでの重要なポイントがまとまっているので、これを理解しておくことで安心につながった経験があります。

内部評価に取り組むとき

内部評価は、DPの最終評価の約20%を占める非常に重要な要素です。前述したように、指導の手引きには内部評価の具体的な評価基準や評価方法が詳細に記載されているので、指導の手引きを参照しながら内部評価を進めることで高得点の獲得に繋げることが出来ます。

指導の手引きに書かれてあることを全て頭に入れることは難しく、進めている内に無意識にズレてしまうこともあるので、「指導の手引きを見ながら書き進めること」を強く推奨します。

最終試験対策を始めるとき

指導の手引きは、最終試験対策を行うときにも有用ですが、特に大まかな勉強の方針を定める際に参照することがかなり効果的です。指導の手引きには、各単元の重要なポイントがまとまっているので、それらを抑えておくだけで最終試験で必要となる知識はおおよそ網羅出来ます。試験で求められる重要なトピックに焦点を当てて勉強を進めるためにも、指導の手引きを活用しましょう。

指導の手引きはどこで見られる?

そんなIB生の学びを助ける指導の手引きは、各校のIBコーディネーターを通じて入手可能です。また、IBOの公式サイトには、過去の指導の手引きも掲載されています。ただし、最新版は現在インターネット上には公開されていないので、学校のIBコーディネーターに問い合わせて指導の手引きを手に入れる形になります。

最後に

このように、『指導の手引き』は、各科目の詳細や評価方法、重要な概念など、生徒にとって非常に有益な情報が満載の「IBの全て」が詰まっているドキュメントです。指導の手引きをうまく活用しながら、DPの学習をより有利に進めていきましょう!