【Pre-IB生必見】CASにお困りのあなたへ!CAS活動について徹底解説
IB Diplomaを取得する上で、生徒は6つの教科の他に3つのコア科目、CAS、EE、TOKを習得しなければなりません。IB生の中にはコア科目に対して疑問や不安を感じている生徒もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらの記事ではCASに着目し、
・CASとは何なのか
・CASではどのようなことをやるのか
について解説させていただきます。
CASについて
CASとは、Creativity(創造性)、Activity(活動)、Service(奉仕)の3つの要素から構成された課外活動であり、IB Diplomaを取得する上で必要な3つのコア科目のうちのひとつです。
生徒はDP開始から18ヶ月間継続して活動を行ない、3つの要素をバランスよく、一般的に計150時間費やす必要があります。その間、生徒はCASコーディネーターと呼ばれる先生からアドバイスをもらうことができます。
また、活動の後には振り返りを行う必要があり、IBOが提示している指導の手引きを参考にしながら、生徒は自身の行動についての反省や活動を通して学習したことを形に残します。
CASの3つの要素とは?
CASの3つの要素について、具体的にみてみましょう。IBOはこれらを以下のように定義しています。
Creativity(創造性):アイデアを探究しそれを広げることで、独創性や自分の解釈に基づいた作品やパフォーマンスを創造すること
Activity(活動):健康的なライフスタイルに寄与する身体的な活動を実践すること
Service(奉仕):コミュニティーの真のニーズに対応するために他者と共に活動を行い、かつ相互扶助の取り組みに従事すること
Univ-it!では過去に先輩でもあるIBDP経験者からCASで行った活動についてアンケートを取りました。CASで何をすればいいのか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
また一方で、CASとしてあまり推奨されない活動があります。宗教や政治が関係する活動は、IBが示す価値観やCASの要件に反しているかもしれません。そのような活動を希望する場合は担当のCASコーディネーターの先生に相談してみてください。
CASプロジェクトとは?
IB生は少なくとも一度、CASプロジェクトに取り組む必要があります。CASプロジェクトとは、クラスメイトや地域の人など、他の人と協力して取り組む計画的な活動のことを指します。1ヶ月以上の継続した活動が求められるため、他のCAS活動と比べてより慎重に練られた計画を立てることが必要です。
また、Creativity、Activity、Serviceの3つの要素のうち1つ、または複数を取り上げることができます。生徒によって取り組む活動は様々ですが、筆者の場合はCreativityとServiceの要素を含んだ劇をクラスで行いました。
CASプロジェクトは長期間の継続した活動になるため、自分が楽しめる活動を選ぶことが大切です。
CASの取り組み方
ここまでCASとは何かについて説明してきましたが、具体的にはどのような流れで進むのでしょうか。筆者がCASで初めて取り組んだ活動を例に挙げながら紹介しようと思います。
① 企画
まず最初はCAS活動で何をやりたいかというアイデア出しから始まります。先生と相談しながら方向性を定めたり、友達と共に取り組める活動を考えることがおすすめです。筆者の場合、初めて取り組むCAS活動として、友達と共に留学生に沖縄の伝統料理、ムーチーとサーターアンダギーの作り方を教えるという企画を行いました。
② 計画
取り組む活動が決まると、次に計画を立てます。活動を行う日程や場所、活動の具体的な内容を決めていきます。活動の具体的内容とは、筆者の例だと料理のレシピや必要な材料を事前に考えておくことです。当日に慌てないように、きちんと準備をしておきましょう。
③ 活動
実際に活動してみると、予想外のことが起こるかもしれません。筆者の場合、必要な材料がスーパーに売っておらず、すぐに代用品を探して対応しました。このようなハプニングには柔軟な対応をすることが大切です。焦らずに楽しみながら活動に取り組みましょう。
④ 振り返り
活動を終えると、振り返りを行います。自身の行動を見直し、良かった点や反省点、学んだことをまとめます。その際、学びの精神の中からどの項目が達成されたのかについても記します。また、スーパーバイザーの方へCAS活動の監督をお願いした場合は、その方からフィードバックをもらいましょう。
最後に、コーディネーターの先生に活動の終了を報告することで、ひとつのCAS活動を完了することができます。
CASの振り返り
CAS活動において、何に取り組むのか、どのような計画を立てるのか、ということも大切ですが、同じように重要なのは自身の活動をどのように振り返るかということです。振り返りを行うことにより、CAS活動を通して学んだことや反省点、自身の新たな一面を見つけることができます。また、振り返りをすることはIBの求める学習者像の一つでもあるのです。
振り返りの書き方
具体的なCASの振り返りの方法はどのようなものなのでしょうか。CASの振り返りのプロセスは4つの要素に分かれています。
ー出来事の説明:何を経験し何が印象深かったか、どのような困難にぶつかり、それを対処したのか、など
ー何を思ったのか:自身がその活動を通してどのような気持ちを抱いたのか、どう反応したのか、など
ー次に繋がるアイデア:CAS活動を通した自身の選択について考え他の選択肢を吟味する、自身の行動を見つめ直し改善点を探る、など
ー問い:上の3つのプロセスからより発展した問いを投げかける
筆者の場合、CASの振り返りの流れとしてはまず活動の内容を書いた上で、特に印象に残った出来事、それが私に何をもたらしたのか書きました。次に気づいた点として反省したことや継続した活動であるなら自身のどこに成長を感じたのか、失敗に対して次はどうするべきなのかということを記していました。
振り返りのタイミング
1つのCAS活動を複数回行う場合、毎回振り返りを書く必要はありません。量よりも質が重要です。振り返りのタイミングとして、IBOは以下のような時を推奨しています。
ー発見があった時
ースキルを習得した時
ー難しい課題に直面した時
ー感情が揺さぶられた時
ー賞賛に値する何かを達成した時
振り返りのタイミングを見極めるために重要なことは、生徒が自身の成長や変化に気づくことです。
CASスーパーバイザーとは?
CASスーパーバイザーとは、生徒のCAS活動を監督してくださる方です。スーパーバイザーの方からCAS活動に対して指導やフィードバックを行うことで、より充実した経験を得ることができます。
CASに必要な学びの成果とは?
CAS活動において生徒には達成すべき7つの成果があり、それを学びの成果といいます。学びの成果の中には、何度も達成するもの、一度しか達成することができないものがあります。しかし、生徒はCASプログラム中にそれぞれ一度は達成することが求められます。
学びの成果1 | 自分の長所と成長すべき点を認識する |
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学びの成果2 | 課題に挑戦し、その過程で新しいスキルを習得している |
学びの成果3 | 自らCASを計画し開始することができる |
学びの成果4 | CAS活動を継続し、やり遂げる粘り強さを示す |
学びの成果5 | 自らのスキルを活かし、また他者と共に活動する意義を認識する |
学びの成果6 | グローバルな課題に取り組む |
学びの成果7 | 選択と行動の倫理を認識し、考察する |
学びの成果が達成されたかどうかは生徒の振り返りやCASコーディネーターとの面談に基づきます。その際、解説文を用いることで学びの成果に対する理解を深めることができます。詳しくはCAS指導の手引きを参考にしてください。そこから引用しても構いませんし、解説文を独自に作成しても構いません。
CASの面談について
生徒とCASコーディネーターの先生はCAS活動の中で3回、面談を行わなければなりません。それぞれの面談で生徒は先生からCAS活動へのアドバイス、助言をもらうことができます。
1回目の面談
DP開始時に行う面談であり、筆者の場合は高校1年生の1月から3月にかけて行いました。この時の面談ではコーディネーターの先生と共にCASの要件を確認し、生徒自身が持つCAS活動のアイデアや興味を共有します。
2回目の面談
DP1年目終了時に行い、筆者の場合は高校2年生の2月から3月に行いました。この面談では学びの成果の達成状況や、CASプロジェクトの進捗具合を確認します。
3回目の面談
DP修了直前、筆者の場合はIB試験の直後に3回目の面談を行います。この段階ではCAS活動を終えている必要があり、学びの成果を達成したのか、3つの要素をバランスよく取り組めたかについて確認します。また生徒が自身の経験を話し、後輩へのアドバイスも行います。
公式の面談の他にも、コーディネーターの先生と話をすることも可能です。何か困ったことがあればすぐ先生に相談してみましょう。
筆者の体験談
最後に、筆者の体験談を記します。筆者がCAS活動に取り組む上で最も苦労したことはタイムマネージメントですが、これには2つの意味があります。
一つは、CASプロジェクトの時期になるとCASに費やす時間が増えてしまい、勉強との両立が困難になったことです。これに対する解決策として、IAやEEなど、試験勉強が忙しくなる前にプロジェクトを終わらせること、慎重に計画を立てた上で取り組むことが大切です。
もう一つの意味はCreativity、Activity、Serviceの3つの要素をバランスよく取り組むことができなかったことです。筆者の場合、自身にとって手軽に行えるCreativityとServiceの活動ばかりに集中し、Activityの活動が疎かになってしまいました。筆者の出身校を含めた多くの学校は3つの要素それぞれ50時間以上の達成を目標としています。偏った活動はCASとしてあまり良くありません。苦手なことでも後に回さず、バランスの良い定期的なCAS活動を心がけましょう。
最後に
いかがでしたか?
CASで最も大切なのは忙しいIB生活の息抜きとして楽しみながらやることです。皆さんも自身の興味のある活動を探し、有意義なCAS活動を行いましょう。
また、Univ-it!ではIB生に役立つ様々な情報を発信しています。ぜひ、参考にしてみてください。