IBDPの高得点って何点から?成績評価について徹底解説!

2024年5月9日

 

「IBの成績ってどうやって決まるんだっけ?」「高得点って何点からなの?」と、成績評価の仕組みなどについて疑問に感じるIB生も少なくないのではないでしょうか。

今回はIBDP取得に必要なスコアから、Final Examの点数の付け方の特徴まで、成績評価に関する基礎的な情報をまとめてみました!

今回は国内一条校出身の筆者の経験を踏まえた内容になっているため、その点には留意した上で参考にしていただけますと幸いです。

IBDPの概要

IBDPの合格条件

IBDPは総合 45点満点(最高7点×6教科+コア科目3点)のうち、24点以上で合格となります。全ての科目で4点以上を取得できれば、安心してDiplomaを取得することができる設計です。

一方で、例え総合スコアが24点を超えていても不合格となる条件がいくつかあるので注意が必要となります。
例は以下の通りです:

・1科目でも1点をとってしまう。
・2科目で2点をとってしまう。
・4科目以上で3点をとってしまう。
Assessment principles and practices.2018-en.pdf p220より

その他にも学問的誠実性の違反など、細かなルールが定められています。気になった方は詳細を学校やIB資料で確認してみてください。

コア科目の評価

コア科目とは、①CAS活動、②TOK (Theory of Knowledge)、③EE (Extended Essay)の3つを指しますが、点数化され総合スコアに直接影響するのは②TOKと③EEのみです。

コア科目に与えられる3点はボーナスポイントとも呼ばれますが、総合スコアを伸ばしたい場合には非常に重要です。6教科の素点が32点の時、コア科目でMaxの3点を取得できていれば一気に高得点の入り口とも言える35点に届きます。たかが3点、されど3点ということですね。
より良いスコアを目指す場合にはコア科目にこそ力を注ぐべき、と言えるかもしれません。

また、他の6科目とは異なり、TOKとEEの成績を組み合わせる形での評価になる点が特殊と言えます(画像参照)。

Assessment principles and practices.2018-en.pdf p.220より引用

交わったセルの数字が成績を組み合わせた際の点数(Max3点)です。
例えば、EEがB、TOKがCだった場合には2点獲得することができます。

IBDPにおける「満点」って?

総合スコア45点・各科目7点満点

前述した通り、総合の最高得点は45点です。独特なのは各科目における満点の概念で、筆者もIB生の時に混乱した記憶があります。

各科目の満点は7点(Grade 7)取得のことを指す場合が多いです。もちろん、7段階評価なので当然と言えば当然なのですが、混乱する理由はIB独自のGradingの方法にあるのです。

IBDPでは、成績が一度百分率で計算され、その数値がどのGradeの範囲に位置するのかを見ます(この仕組みであるBoundary バウンダリーについては後ほど解説)。そのため、仮に85-100%の成績がGrade 7の範囲であれば、85点でも95点でも「満点」になります。
よくWeb記事で見かける「〇〇で満点を取るには?」は、Grade 7取得のことを指しているんですね。

なぜ百分率なのかというと、IBDPがFinal試験一発勝負!━━ではないからです。
ここからもう少し詳しくみてみましょう!

内部評価・外部評価

各科目は内部評価(IA)外部評価(EA)という2つの形態で成績がつけられます。
前者は学校の教科担任の教師が、後者は外部のIB Examinerによって採点が行われる仕組みです。

今回は「Japanese A 文学(HL)」を例に紹介します。

外部評価(合計80%)
  • Paper 1(35%)
  • Paper 2(25%)
  • HL小論文(20%)
<内部評価(合計20%)
  • 個人口述(20%)

このように、Final試験だけでなく、事前課題にも比重が置かれていることがわかります。
各課題・試験の点数を%に修正し、後から合計することで様々な角度から評価することが可能になっているとも言えるでしょう。

独自の「バウンダリー」システム

百分率で計算される成績の一体どこまでがどのGradeになるのか?という基準は「Boundary バウンダリー」と呼ばれます。

目安として、10〜15%刻みでGrade Scaleが区切られ、各Gradeに最低点と最高点がその境界として設定されているのです。
また、科目ごと、さらに言えば同じ科目でもSL・HLでバウンダリーは異なる場合があります。

教科担当の先生がバウンダリーを把握しているかと思いますので、目標点数や現時点での成績を考える際には参考にしてみてください。

どこからが「高得点」なの?苦手科目があっても大丈夫?

近年の平均点

The IB Diploma Programme Final Statistical Bulletin November 2022 Assessment Session (p.5) より引用

最新情報である2022年11月試験の平均総合スコアは30.99となっていることがわかります。
2018年からのデータも踏まえると、平均は30点前後と考えて良いでしょう。

総合45以上の医学部・35点以上が目安の国立大学

何点からが高得点なのか、明確な規定はありません。しかし、最難関と考えられる医学部の出願条件としてよく見かける39・40点以上は間違いなく高得点に含まれます。

40点以上取得するためには複数科目で満点(Grade 7)を取ることに加え、他の教科もGrade 5・6、コア科目は2・3点というオールラウンダーであることが求められているとも言えるでしょう。

そのため、40点以上を取得したIB生は一目置かれる存在でもあります。

もう少し広く「高得点」を捉えるのであれば、国立大学出願・合格の目安とよく言われる35点以上になると考えられます。
例えば、以前Univ-it!が行ったアンケート調査によると岡山大学(国立)の合格者のIBスコア平均は35点となっています。

また、金沢大学(国立)の人文学類は出願資格として「ディプロマスコア35以上」を明文化しています(2024年度入学者選抜要項 p110)。

苦手科目があっても良い点数は狙える?

可能です
「どうしても点数が取れない……」という科目が1・2科目あっても、良いスコア(35点以上の想定)は射程圏内と言えます。

もちろん、その分他の科目でハイスコアを取り、点数を補う必要はありますが、何かひとつ不得手があっても高得点を狙うことはできるのです。

例えば、「Grade 2-3を取ってしまうかも……」という科目があったとして、Grade 7×2科目、Grade 6×1科目、Grade 5×2科目、Grade 3×1科目、コア科目2点でも35点に到達できます。

自分の現時点での成績や、各科目の目標点数設定を考える際には「どの科目で何点取れたら総合スコアで目標に近づけるのか」、という視点も入れてみてはいかがでしょうか?

そうすることで、早いうちから苦手科目の学習やIAに力を注いだり、得意科目をさらに伸ばす工夫がしやすくなるかもしれません。

苦手科目は本当に「苦手」なのか?

学校の先生によっては、IBのEnaminerよりも厳しい評価をつけることもあります。そのため、最終スコアがPredicted Gradeから大幅にスコアが上がった!という例も少なくありません。

元IB生の先輩は、「Predicted GradeでめげずにFinal試験まで頑張ることが大切」と話していました。
苦手「意識」なのか、本当に苦手なのかを見極めることが大切なのかもしれませんね。

逆に、最終スコアが大幅に下がった、というケースも度々見かけますので、どんな事前評価でも気を抜かずに、自分を信じて最後まで駆け抜けてください。応援しています!

IBの成績評価は「曖昧」ってほんと?

具体的な採点方法

IBの課題・試験は記述形式が大半を占める上に、ひとりのExaminer(採点官)が全受験者を評価するわけではないため、よく成績評価基準が曖昧だ、と耳にするかもしれません。実際、それぞれのExaminerによって少しずつ評価が違ってくることもあるはずです。しかし、そのような曖昧さを回避し、公平性を確保するため、各課題・試験にはCriteriaが与えられています

Criteriaとは?

Criteriaとは、「得点を与えることができる要素」が段階的にまとめられた評価基準ことです。
複数のExaminerが同一のCriteriaを参照しながら採点できる仕組みになって
います。

IBの試験は「絶対評価」です。成果物とCriteriaだけを照応させるため、他のCandidatesの成績やその他の要因の影響は極力排除されます

各課題のCriteriaは、各科目のガイド(シラバス)で確認できます
外部評価、特に
Paper試験は設問ごとにより詳細なCriteriaが設けられており、そちらはPast Paperなどで閲覧することも可能です。
学校の先生が保管している場合がほとんどですので、気に
なる方は尋ねてみてください。

開示された成績に不満がある場合はどうすればいい?

(1)リマーク制度を利用する

結果発表後、自分の成績に不満や疑問がある科目は、もう一度採点してもらう「リマーク(再採点)」制度を利用することができることになっています。申請時に費用はかかりますが、リマーク後に点数の変化が生じた場合には無料になる仕組みです。
もちろん、点数が上がる可能性もありますが、下がる可能性も否定できない点が注意ポイントです。

「あと1-2%上がれば、次のGradeに点数が上がる……!」というシチュエーションにおいては効果が期待できる制度となっています。

なんと、評価が一気に2段階上がったこともある、と聞いたことがあります。驚愕ですよね。
手続きなどは学校のIBコーディネーターを通して行われますので、その際には相談してみてください。

(2)リテイク制度を利用する

IBにはFinal試験自体を受け直す「リテイク(再試験)」制度もあります。
IBDP資格自体に年齢制限があるため、最大でも1-2回のみ利用が可能です。

EDUBALに詳細をまとめた記事がありますので、気になった方は覗いてみてください。
記事はこちら▶︎ IBの最終試験の再試験(retake)って?最終スコアを伸ばしたい人必見!

日本の学校における成績評価との互換性について

日本の評定平均とIBのGradingは異なるものです。これまでも触れてきたようにIBは各教科7段階評価ですが、一条校をはじめ日本の学校では3-5段階評価が多いかと思います。

学校によって異なるはずですが、成績変換のイメージは以下の通りです(5段階評価の場合):

Grade 7,6→5、Grade 5,4→4、Grade 3→3、Grade 2→2、Grade 1→1

上記はあくまで一例ですので、気になる方は詳細を所属校や担任の先生に確認してください。

最後に

いかがでしたか?今回は意外と理解するのに時間がかかるIBの成績評価システムを掘り下げてご紹介しました!

Univ-it!では他にも、先輩の体験談や、高得点につながるTipsなどを掲載しています。ぜひこれまでの記事もチェックしてみてください。