Pre-IB生のうちにやるべきこと7つの提案

Univ-it!トピックの投稿

2023年2月のトピック機能に「IBDPに入る前にできること・すべきことはあるのか?」という相談が投稿されていました。

IB生は忙しい、大変だ……とは耳にタコができるほど聞く情報ですが、「成功するIB生」になるためにPre-IB(高校1年生のDP開始前)の時期に何をしておくべきなのでしょうか?

そこで今回は、元IB生の筆者が考えたPre-IB生の時にやっておくべきこと7選をご紹介します!

1. シラバスを読んでみる

シラバスってなに?

履修する各科目の概要から試験内容まで、基本的な情報が全て揃っているのが「IB Curriculum Guide(指導の手引き)」と呼ばれるシラバスです。日本語開講科目であれば日本語のシラバスが提供されているため、教科書が英語のみだった場合にも貴重な資料となります。

「教科名 + IB ガイド / 指導の手引き」で検索すると日本語のシラバス(PDF)を閲覧・ダウンロードすることができます。学校の先生からデータをもらうことも可能です。

また、コア科目であるEE・TOK・CASのシラバスもあります。独自の評価基準で成績が付けられるため、事前にその内容を確認しておくと安心です

どうしてシラバスが大事なの?

Pre-IB生のうちにシラバスに目を通すことで得られるメリットは、以下の3点に集約されるかと思います。

科目選択を見据えてSL・HLの内容の差異を確認できる
IAやEEなどのテーマ選びの参考になる
各科目の特徴、IB独自のコマンドタームや学習内容を把握することで高得点に近づける

①科目選択を見据えてSL・HLの内容の差異を確認できる

IB生が最初に頭を抱えるのがPre-IB終盤の時期に待ち受ける「科目選択」です。フルディプロマ取得を目指す場合には基本的に、3つのHL科目と、3つのSL科目を自分の意思で決定します。

得意・不得意で考えることもメジャーではありますが、IB入試(IBDPを利用した大学入学試験)を視野に入れている場合、話はもう少し複雑になります。

志望学部によって出願の際に「〇〇をHLで履修していること」や、「スコア6以上取得」という必須条件があるからです。

このように、IB最初期の選択が大学受験に響いてきます

大学受験を念頭に置いた科目選択・LV選択のために、SL・HLの学習量や難易度の違いなどといった感触を確かめることがとても大切になってくるのです。

②IAやEEなどのテーマ選びの参考になる

IAは日本語で2,400字〜4,400字程度、EEは8,000字程度の小論文を書きますが、大変なのは研究トピックの焦点化という「執筆前の段階」だったりします。

シラバスにはトピックやリサーチクエスチョンの例が掲載されていることが多いです。具体例を参照しながら自分が何に関心を寄せているのかPre-IB生のうちから考えておくことで、より余裕を持ってスムーズに課題に取り組むことができます。

③各科目の特徴、IB独自のコマンドタームや学習内容がどのあたりに記載されているのかを把握することで高得点に近づける

Final試験の内容はシラバスに沿って作成されていますし、どのページに何が書かれているのか、大体の位置を頭に入れておくことで情報の確認が必要な時に戸惑うことも少なくなります

IBでは試験の設問に「コマンドターム(指示用語)」と呼ばれる用語が使用されます。例えば、「論じなさい」や「考察しなさい」という指示用語はそれぞれ異なる記述内容を要求しています。言い換えれば、コマンドタームを正しく理解できていない的外れな解答は評価が低くなるのです。Final試験までに使い分けを理解することが高得点への近道であるため、慣れるまでは何度もシラバスで意味を確認することになるでしょう。

実際、シラバスはページ数も多く「今すぐに確認したいのにどこに書かれているのかわからない…!」という状況は結構ストレスフルです。シラバスの活用方法を早めに知ることで、そのような事態を回避できるかもしれません。

2. 進学したい大学について考え、調べてみる。

大学リサーチはいつから始めるべき?

IBDPを利用した大学受験を検討している方は、なるべく早くリサーチを始める必要があります。その最大の理由は、先述した通りIB入試には科目要件が課されている場合があるためです。Pre-IBの終わりで待ち受ける科目選択により真剣に向き合うことができるようにもなるでしょう。

もちろん、高校3年間で希望する進路も変わっていくかもしれません。しかし、Pre-IBの時期に志望校になり得る大学をチェックしておくことによって目標点を設定しやすくなるなどのメリットもあります。

それに加え、志望校選びにおける大学・学部の比較対照には意外と時間がかかってしまう上に、不慣れな作業ということもあり想像以上に大変です。時間のある今の時期に体験しておくことでDP1・2年目の多忙な時期の自分を助けると思って、一度検索してみてください。

大学リサーチでは何を確認すべきなの?

まず確認すべきこと、それは「IB生が受験しやすい入試制度はあるのか?」という点です。①共通テストは必要かどうか②書類選考と個別試験・面接の比重はどうなっているのか③IB生だけに受験資格を与えているIB入試を実施しているのか④IBでの活動歴を評価してもらえそうか、などをまずは確認してみましょう。

IB入試をリサーチする際には、各学部の出願における科目要件(出願に必要な各科目の最低点数やレベルの指定)を確認することも大切です。特に国立大学の場合には厳しめのスコア条件が設定されていることも少なくありません。3年生のFinal Examの目標スコアを考える上でも参考になるはずです。

また、海外IB校から日本国内の大学受験を検討している場合、出願時期と海外からスムーズにアプライできるかどうかを確認することをおすすめします。大学によっては国内から印刷書類を郵送する必要があるため、出願時の段取りを早めにイメージしておくと日本在住の知人に頼るなど、焦らず出願準備に集中できます。

3. 英語力を上げる

IBDPを履修する上ではどの程度の英語力が必要なの?

筆者の出身校では、日本語DP(Dual Language)を履修する場合は英検準1級以上取得が推奨されていました。もちろん、英語DPで高得点を目指すのであればさらに高い英語力が求められます

IBは日本語DPであっても2科目は英語で授業を受け、Final試験に臨まなければなりません。英語の文法を習うのではなく、「英語で学習する」生活が2年間継続するため、英語含む外国語に強い苦手意識があると辛い時期に直面してしまう可能性もあります。

それを避けるためにも、Pre-IB生のうちに英検やIELTSなどへの挑戦を通して自身の英語力をupし、自信をつけることが大切です。DP過程に入ると英語の勉強に打ち込むことは少々難しくなります。そのため、1番時間の確保が簡単なPre-IBの時期に英語の勉強をすることをおすすめします。

英語力UPは高得点取得の最大の鍵?

また、より高い総合点を目指す場合、Group 1・2の言語に関する科目でハイスコア(6-7点)を取ることが重要になります。そのため、特に英語が母国語ではないIB生にとって「英語力を上げる」ことは高得点への第一歩と言えるのではないでしょうか。

4. CASに繋がりそうな活動に参加してみる。

CASとは?

コア科目のひとつであるCASは、Creativity・Action・Serviceの頭文字から成る課外活動課題です。スコア換算はされないものの、規定時間以上のCAS活動を実践することがDP取得に必須となっています。

生徒は各活動の計画・実践・振り返りを通してさまざまな経験を積むことができます。ただし、前述した通りCASは課外活動課題のため、授業外で自主的に行動することが求められます。そのため、いざ「CASを始めてください!」と言われてもピンとこないIB生も多いのです。(筆者も例に漏れずそのひとりでした。)

Pre-IB生のうちからできる準備はあるの?

DPが始まり、忙しくなってから新しいことに挑戦するというのは意外と体力を奪われてしまうものです。そのため、Pre-IB生(高校1年生)のうちからできる活動には早い段階から参加してみることも戦略としてはアリだと思います。

例えば、運動系の部活に入ってみる。DP過程に入った時、試合のための自主練をCAS活動にしたりだとか。地域のボランティア活動に参加してみて、それを継続していく、などなど。

CASを負担なく進めるコツは、「楽しむこと」です。

全く新しい環境に飛び込むタイミングを少しずらしてみるのはいかがでしょうか?

5. 目の前の課題・試験に真剣に、より丁寧に取り組んでみる

2年半後 高得点を狙うために大切な「積み重ね」

「Pre-IB」という名で呼ばれるほどですから、高校1年生の「いま」は既にIBの準備期間に入っていると言えます。そのため、日本のカリキュラムにIB的な要素を加えた授業・試験を行う先生もいるはずです。それはなぜか?「慣れと積み重ね」こそがIBの最終試験で好成績を修める秘訣だからではないでしょうか。

特に最終試験は、「インプットしてきた知識をどれだけ適切にアウトプット・応用できるのか」が問われます。IBはとにかく記述式の試験・課題が多いです。はじめのうちは1,500〜3,000字書くことが苦行かもしれません。しかし、知識の応用も、記述方法も、慣れていなければ到底扱いきれません。試験の形式に慣れるためにも、Pre-IBから課題には真剣に、そして丁寧に、必要であれば時間をたっぷりかけて演習を積み重ねてみてください

丁寧に勉強するってどういうこと?

丁寧に勉強する、と言ってもその方法は人それぞれだと思います。筆者の主観で言うのであれば、以下のようになります。

・知らない単語や情報が出てきたら意味を考え、調べる。
・自分の得意/不得意を把握する。
・文章を書くときは上手い人の文体を意識してみる。
・提出前に見直しをする。 etc…

例えば、得意/不得意を把握することでそれぞれインプットする情報量をコントロールすることもできます。理解できたものには追加の情報を入れてみたり、少し難しいなという問題はまず最重要事項を徹底的に抑えるようにしてみたり。

得意/不得意を把握した上で、どのように得意を伸ばし、苦手を克服するのか考えるプロセスを通して、あなたにピッタリの勉強法が見つかるかもしれません。ぜひ自分にとっての「丁寧かつ適切な勉強法」を模索してみてください。必ず結果に繋がるはずです。

長く書いてしまいましたが、ただ課題を提出して終わり、ではなく少し意識的に自分の勉強スタイルを見つめること=丁寧に勉強すること、とまとめられるかもしれませんね。

6. 先輩・先生に話を聞いたり、過去のExampleを見せてもらう

貴重な日本語での体験談・情報収集

体験談は1番のアドバイスでありスパイスです。インターネットではまだまだ数少ない日本語でのIB情報を持っている先輩や先生方に疑問や不安をぶつけてみてください。きっと相談相手になってくれます。

Pre-IB生の時期にやっておいた方がいいことは何か、聞いてみるのもいいですね。ひとりひとり違った答えが返ってくるかもしれませんし、意外と同じ答えで溢れるかもしれません。

IA・EE・TOKのExampleを見せてもらう

「2,400〜8,000字もどんな内容を書くの!?」と恐怖心だけが膨張しそうな時には、先輩や先生方が所持している過去のExampleを見せてもらうことをおすすめします

特に、日本語でエッセイを書く機会が多い科目になるとインターネットでExampleを発掘することはほとんど不可能です。「ちょっと読んでみたくて…」という弱めな理由でも、許可してくださる先生も多いですので、勇気を出して声をかけてみてください。意外にも興味のある内容について執筆する楽しさや、短くまとめる難しさなどを感じられるかもしれません。

また、悩んだ時はExampleがヒントになることもあります。気になった時にはぜひ確認してみてください。

7. 自分の興味を深掘りしたり、専門的な書籍を読んでみる

なぜそれをする必要があるの?

IB独自の課題であるIA・EE・TOKには執筆内容の自由度が非常に高いという特徴があります。イチから自分でテーマを選べる、というのは楽しいですが、逆に言えば、書ける内容かどうか自分で判断しなければいけない分岐点に遭遇する難しさもあるのです。(これはFinal試験の記述式問題に回答する際にも大切かもしれません。)

そのため、自分の興味のある分野に前々から触れておくことで後々執筆するエッセイで深掘りするテーマにつながる導線が確保でき、想像以上にスムーズに課題を進めることができることもあります。(それでも苦戦する状況が避けられないこともありますが……!)

専門書・学術書に触れておくことのメリットとは?

IAやEEを執筆する際、前提となる知識をできるだけ多く吸収するために文献を読む必要が出てきます多くは中学まで慣れ親しんできた教科書のようにカラフルではなく、文量も言葉遣いも異なってきます

文字列を追って、必要な情報をピックアップすることに慣れるためにも、図書館や本屋さんでフィクションではない学術書を手に取ってみることを個人的にはおすすめします。

まずは興味のある分野の新書をぱら読みしてみるのも楽しいはずです。

最後に

いかがでしたか?
今回はPre-IB生のうちにやっておくべきことをご紹介してきました!

とは言っても、DP過程に入ってから出ないとわからないことがいっぱいあることは間違いありません。期待に胸を膨らませつつ、毎日の課題に真剣に取り組みながら、楽しく過ごしてくださいね。

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