【IB生体験談】慶應義塾大学(慶應大学SFC環境情報学部 GIGA)をAO入試で受験したNさんの受験体験談
「慶應に進学したいけれどIBだと無理かも……?」
「IBと両立して一般受験対策をするのは厳しそう」
私立大学の中でも人気の慶應義塾大学ですが、法学部(IB入試)以外にもIBを利用して出願できることはご存知でしたか?
実は総合政策学部・環境情報学部のAO入試の出願資格には「IB取得者」が含まれています。
今回の記事では、実際にIB資格を利用し冬AO入試に合格したN先輩のインタビュー&実際の提出資料サンプルを中心に慶應大学SFCの受験情報をお届けします。
ぜひ最後までご覧ください。
- 1. 慶應義塾大学のGIGAプログラム&AO入試とは
- 2. 慶應義塾大学(SFC環境情報学部 GIGA)冬AO入試の受験・合格体験談
- 2.1. Q:どのように受験する大学を選びましたか?
- 2.2. Q:実際に受験してみて感じた冬AO入試の魅力はなんですか?
- 2.3. Q:出願書類はいつ頃から準備しましたか?
- 2.4. Q:Personal Statementを書く上で気をつけたポイントはありますか?
- 2.5. Q:Personal Statementにはどのようなことを書かれましたか?
- 2.6. Q:「IBと大学での学びの繋がり」については意識してエッセイ作成に取り組みましたか?
- 2.7. Q:プレゼンテーションスライドについて教えてください。
- 2.8. Q:スライド作成はデザインにもこだわる人もいるそうですが、Nさんはどうでしたか?
- 2.9. Q:Personal Statementとスライドの内容は差別化しましたか?
- 2.10. Q:プレゼンテーションビデオの準備段階で気をつけたことはありますか?
- 2.11. Q:プレゼンテーションビデオはどのような流れで構成しましたか?
- 2.12. Q:プレゼンテーションビデオのスクリプトは大体何字くらいを目安に書きましたか?
- 2.13. Q:プレゼンテーションビデオ作成にあたり難しかったことや工夫したことはありますか?
- 2.14. Q:活動歴などを伝える書類や審査の場が多い入試のような印象を受けたのですが、そのような受験を想定して取り組んだ活動などはありましたか?
- 2.15. Q:大学受験の際、IBをやっていてよかったと感じたことはありますか?
- 2.16. Q:合格するにはどのようなことが重要だったと感じていますか?
- 2.17. Q:IBDP資格を活用して慶應SFCを受験する後輩へのアドバイスがあれば教えてください。
- 3. 最後に
慶應義塾大学のGIGAプログラム&AO入試とは
GIGAプログラムとは
慶應義塾大学のGIGAプログラムは2011年9月から始まった英語で学ぶプログラムで、正式名称はGlobal Information and Governance Academic Programです。
環境情報学部と総合政策学部で提供されており、それぞれ「理に融合した文系」「文に融合した理系」の育成を目指しています。
ふたつの学部の学生は学部・学年・入試形態を問わずGIGAプログラムの科目履修が可能で、申請しGIGAプログラム生となることでサティフィケートを取得できるようになっています。(詳細は大学HPをご確認ください)
AO入試とは
慶應義塾大学の総合政策学部・環境情報学部では年に3回のAO入試を実施しており、各学部 合計150名を募集人員としています。
大学HP「入試制度」より引用
(2025年に受験する場合のスケジュール)
AO入試では入学時期を4月・9月で選ぶことができ、夏秋AO・春AOでは面接での使用言語を「日本語」「英語」「どちらでも可」から選択可能となっています。
英語で受験する場合には冬AOで出願する必要があり、2次選考が面接ではなく提出資料となるビデオによって行われる点が特徴的です。受験のための来日・帰国の必要性がないため、国外から受験する際の負担が軽減されています。
選考では、「中学校卒業後から出願に至るまでの全期間にわたって獲得した学業」と「学業以外の諸成果」が書類選考と面接によって多面的・総合的に評価されます。
なお、2025年度入試の倍率(参考)は以下の通りです。
AO入試概要まとめ(表)
入試名称 | アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO入試) |
実施する学部 | 総合政策学部 環境情報学部 |
選考方法 | 春AO・夏秋AO:1次 書類選考+2次 面接 冬AO:書類選考 |
募集定員 | 総合政策学部:150名 環境情報学部:150名 |
出願資格 (一部のみ紹介しているため、詳細はHPや募集要項をご確認ください。) |
春AO・夏秋AO: ・大学入学次までに高校等を卒業見込みの者、卒業済みの者 ・国際バカロレア取得者 ・志望理由や入学後の構想が明確であり、第一志望としていずれかの学部での勉学を希望する者 など冬AO: ・直近3年のうち2年以上を日本語以外の言語で教育を受けている者 など |
募集要項掲載ページ | https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/examinations/ao-sfc/#section01 |
慶應義塾大学(SFC環境情報学部 GIGA)冬AO入試の受験・合格体験談
N先輩のプロフィール
出身校の区分 | 海外インター |
Final Exam | 2024年5月 |
IBスコア | 39点 |
IB選択科目 | HL:Math AA、Psychology、Business SL:Japanese A 文学、English L&L、Biology TOK+EE:2 |
Q:どのように受験する大学を選びましたか?
日本に帰ることも視野に入れていたので、慶應義塾大学も受験しました。慶應SFCは最も興味がある領域であり、IB資格で受験できるということもあって受験を決めました。他大学も検討したのですが、慶應は海外から受験できる・IBスコアだけで受けられる大学だったのでこの1校だけを受験することになりました。面接もなく、IBスコアと書類(エッセイ・PowerPoint・動画)のみで受験ができた点が良かったです。
PEARLではなくGIGAにしたのは、私自身が理系分野に興味があったのと、「科学技術を使って社会に貢献できる」というGIGAプログラムの理念に惹かれたのがきっかけでした。
Q:実際に受験してみて感じた冬AO入試の魅力はなんですか?
プレゼンテーションを提出する入試は少ないと思いますし、その準備をするのは楽しかったです。また、出願準備を通して文章以外での自己表現方法を学べたところもよかったと思います。アートが好き・得意であったり、話した方が自己表現ができるという方であれば取り組みやすい入試ではないかな、と思います。
Q:出願書類はいつ頃から準備しましたか?
あまり参考にしてほしくはないのですが、他にも出願が重なっていたことと、IBのMockも同時期にあったこともあり、提出締め切りの3〜4日前に準備を始めました。ただ、ネットの資料を参考にしながらある程度スムーズに準備を進められたと思います。
Q:Personal Statementを書く上で気をつけたポイントはありますか?
大学がどのような学生を求めているのか理解することを大切にしていました。GIGAプログラムに関する紹介動画等がアップロードされているので、それを一つひとつ見て行きました。その上で、GIGAは「ひとつのことに比較的集中的な興味があって、その技術・知識を使って社会に貢献したいと考えている学生」が欲しいのかな、という印象を受けました。そのため、これに沿ったマインドセットを持っている、ということを書ければプラスのポイントになるのではと考えていました。
Q:Personal Statementにはどのようなことを書かれましたか?
GIGAプログラムについて理解していること、GIGAプログラムでやりたいこと、なぜ私がGIGAプログラムに向いているのか、最後に意気込みのようなものを書きました。
海外大学にもいくつか出願していましたが、私はそれぞれの大学が求めていることが違うのかなと考えていたので、内容も変えていました。人によっては全部同じ内容を使う、ということもあると思いますが、私は一つずつ変えた方がいいと感じていました。
…Second, most importantly, I am drawn to the focus that the Program puts on nurturing students that will be able to provide solutions to various issues in the world. As an IB student that has graduated both of PYP, MYP, and almost the DP, I found this as an excellent opportunity for me to discover what I can do to benefit the world while pursuing what I am truly interested in. Furthermore, as I am interested in using the power of science to solve issues in the world, I felt a true connection to the faculty of environment and information studies upon hearing Professor Meter explain this faculty as “it’s about applying technology to solve society’s problems”. It appealed to my passion to benefit society as well as fulfill my desires to pursue education in the field of biology.
N先輩が実際に提出したエッセイの一部抜粋
エッセイに導入されていたポイント(5つ)
N先輩から共有していただいたエッセイ全体には、以下のような要素がポイントとして盛り込まれていました。N先輩自身のバックグラウンドを踏まえての内容ですが、含まれる要素・工夫は非常に参考になるのと思います。ぜひエッセイを準備する際のヒントにしてみてください。
①個人的な経験を出発点にする。 ②将来のビジョンを明確に描く。 ③志望プログラムとの関連性を示す。 ④多文化的背景を強みに変える。 ⑤学問的・社会的関心のバランスを取る。 |
Q:「IBと大学での学びの繋がり」については意識してエッセイ作成に取り組みましたか?
そうですね、意識した部分はあります。IBは環境問題も重視している、社会問題にもフォーカスできる生徒を育成するプログラムという印象が強いので、PYP、MYP、DP全て履修してきた自分は環境について考えることができる生徒ですよ、ということを言ってからその先に「大学で何がしたい」のかを書くようにしたと思います。
Q:プレゼンテーションスライドについて教えてください。
私は2ページの構成で作りました。
1ページ目には、CAS、自分の興味に関連する社会問題に自分ができる範囲で解決できるか取り組んだ活動の内容、スポーツ活動、受賞歴などをまとめました。
2ページ目には「GIGAプログラムに入ってやりたいことのプロセスを詳細に書け」という指示があったので、7つくらいのステップに分けて書きました。
N先輩が実際に提出したスライド資料(1枚目)
N先輩が実際に提出したスライド資料(2枚目)
Q:スライド作成はデザインにもこだわる人もいるそうですが、Nさんはどうでしたか?
デザインの方はそこまで意識していませんでしたが、写真を多めに使うようにはしました。モチーフは手作り感があった方がいいかな、と考えて手帳のようなものにしました。
Q:Personal Statementとスライドの内容は差別化しましたか?
あまり被らないように、全く同じことの繰り返しにならないように意識しました。スライドの方ではエッセイに書けなかった学校での活動成績だったり、GIGAプログラムで具体的にどんなことをやろうとしているのかという点を詳細に書くようにしました。(エッセイの方でカバーできなかったものを詳細に書ける上に写真も載せられるので、各活動の証明になると思いました。)
Q:プレゼンテーションビデオの準備段階で気をつけたことはありますか?
ビデオで何を試されているのか、と考えた時に、きっと「私の雰囲気や人間性を確かめたいのかな」、「GIGAプログラムに合う生徒かどうかを見極めたいのかな」というふうに理解しました。なので、明るく話せるように工夫してみたりはしました。
内容はエッセイとエッセイと重複した部分が多いですが、自分のキャラクターや他人とどう接するのかが伝わるように話し方を工夫したりしました。
Q:プレゼンテーションビデオはどのような流れで構成しましたか?
自己紹介から初めて、自分のパッション・興味について触れ、GIGAプログラムで学びたいことを自分の言葉でまとめました。後は、教鞭をとっていらっしゃる教授の研究内容に興味がある、ということに言及したりもしました。こうすることで「大学のことをリサーチしている」という印象が与えられることを期待した部分もあります。そこからGIGAプログラムで最終的に成し遂げたいことを述べました。
Q:プレゼンテーションビデオのスクリプトは大体何字くらいを目安に書きましたか?
私は 443 Wordsで準備しました。
文字数・ビデオの時間(3分間)について、私は結構長いな、と感じました。ゆっくり話しているわけではありませんでしたが、「話すことがなさそう」という印象は与えたくなかったですし、自分のことを話せる時間としてはそれなりの長さが確保できると思います。
Q:プレゼンテーションビデオ作成にあたり難しかったことや工夫したことはありますか?
やはり話し方を明るめにする、というのは難しかったので何度も撮り直してようやく満足いくものができました。この辺りは練習が必要かなと思います。人前に出て話すことが得意なひとであればそこまで手こずらないかもしれません。
私はジェスチャーを入れたりするのが得意ではなかったので、話し方をハキハキさせて「明るくパッションのあるひと」であることを印象付ける方向で工夫していったのですが、もうちょっと動きは足してもよかったかなと思います。
Q:活動歴などを伝える書類や審査の場が多い入試のような印象を受けたのですが、そのような受験を想定して取り組んだ活動などはありましたか?
私は最終的に化粧品の方面に興味を持つようになったのですが、10年生の時のPPで「自分の化粧品を作る」というチャレンジをしたことは繋がったと思います。また、化粧品は化学との関係性も深いので、科目と関連づけて書いたりもしました。ただ、今振り返ると「興味のある領域への一貫した取り組みを意識した方がよかったのかな」と思います。
Q:大学受験の際、IBをやっていてよかったと感じたことはありますか?
IBは大変なプログラムというある程度の共通認識があると思うので、IB資格を持っていると入りやすくなっている大学があるということは良いと感じています。大学によっては、他の入試方式であれば条件が厳しい場合でも、IB資格を利用して受験すると入りやすいという場合があると思います。一定のスコアさえ取れていればアドバンテージになるというのは強いところだと思います。
IBは向き不向きがあると思いますが、私にはカリキュラムとしての自由度の高さが合っていました。社会問題に向き合う機会が多かったりなど、考えることが好きな人には向いているのがIBなのではないかなと思います。IBのエッセイ課題を通して、大学受験でアピールすることが求められている要素を分析・整理できるようになりましたし、書くことに慣れることが出来たのも良かったと思います。
Q:合格するにはどのようなことが重要だったと感じていますか?
慶應SFC(GIGAプログラム)に関してはやはり点数も重要だったと思います。目安・肌感覚にはなりますが36-37点以上あることが望ましいです。また、「興味に一貫性があり、社会貢献したい気持ちが強い」ことが書類内に表れていれば、合格に近づくのではないかな、と思います。
Q:IBDP資格を活用して慶應SFCを受験する後輩へのアドバイスがあれば教えてください。
自分の好きなことを探し、追求することの中でそれに沿った活動を行うと自然と良いアプリケーションが出来上がると思います。
他にも、大学がどのような人材を求めているのかを見極めることが大切です。受験する大学が何を見ているのか分析し、それぞれ最も効果的だと思われるエッセイや書類を作成してみると良いと思います。
N先輩、インタビューに加え、資料のご提供もしてくださりありがとうございました!
最後に
いかがでしたか?
Univ-it!では今後もIBDPを利用した大学受験情報や、お役立ち情報を発信していきます。次回の記事もお楽しみに!