国際基督教大学(ICU)|アドミッションズ・センター長に聞く! ICUのリベラルアーツとIBの親和性

2023年1月20日

日本初の4年制リベラルアーツ・カレッジとして教養学部1学部のみを設ける国際基督教大学(以降ICU)は、今注目されるリベラルアーツ教育の先駆けともいえる存在。1つの専門科目だけを学ぶのではなく、幅広い視点を持ちながら、日英両言語で「対話」を通して学びを深めていく少人数プログラムが特徴的な大学です。

単純に知識を身につけるだけに留まらず、実践的な知力や創造力を養うための学問に触れられるICUのリベラルアーツ教育では、どのような授業が、どのように行われているのでしょうか。この記事では、ICUの特徴や国際バカロレア生にとっての魅力、入試についてご紹介します。

東京都三鷹市に位置するICUのキャンパスは、学部生、院生数合わせて約3,000名に対し、620,000m²と東京ドーム13個分ほどの広大さを誇っています。東京とは思えないほどの豊かな緑、広がる空と太陽、鳥のさえずりに気がつく環境は、まるで海外のようです。

ゆったりとした時間が流れるキャンパスとは対照的に、授業は活発で少人数のディスカッションやグループワークが中心。先生との距離も近く、学生たちは切磋琢磨の日々を過ごしています。

インタビューさせていただいた先生

平島 大 教授(国際基督教大学)

教養学部教授(物理学)兼アドミッションズ・センター長
東京大学博士課程修了(理学)、筑波大学理学系助教授、名古屋大学理学研究科教授を経て、2012年から国際基督教大学教養学部教授。
専門分野は固体電子論(強相関電子系、超伝導、磁性)、量子多体問題。

ICUのリベラルアーツ教育とバイリンガリズムとは?

ICUで実施されているリベラルアーツ教育の特徴を教えて下さい。

「教養学部1学部の中に31のメジャー(専修分野)があり、また、その選択方法が3通りあることが特徴のひとつです。メジャーは『文学』『物理学』『心理学』などの伝統的な学問分野と、『平和研究』『環境研究』『アメリカ研究』などの、分野を横断する問題解決型や地域研究型があり、他大学の学部に相当する科目群を配し、専門を系統的に学ぶことができます。
また、主専攻を1つ修める『シングルメジャー』、2つの専攻を同時に組み合わせて履修する『ダブルメジャー』、2つの専攻を比率を変えて履修する『メジャー、マイナー』と、どのようにメジャーを学ぶかにも選択肢があります。

そしてリベラルアーツですので、いわゆる文系・理系の枠にとらわれることはもちろんありません。例えば心理学をメジャーにしつつも生物学や数学を学ぶなど、自分の興味関心をもとに、自らの学びをデザインすることができます。現在の社会課題、例えばコロナ禍や環境問題を解決する際、一つの専門分野だけで解決することは難しいと皆さんも感じているのではないでしょうか。ICUのリベラルアーツ教育は、まさに社会貢献したいと考える人にとって適した環境だと言えます。」(平島教授)

ICUの魅力のひとつとして、IB生や帰国生がこれまでの経験を活かせるバイリンガリズムがあると思いますが、どのような授業がありますか?

「まず、外国籍教員率は約35%で、日本人教員も約9割が海外での教育・研究経験者です。学生は50を超える国と地域から集まっており、国際的な環境が整っているといえます。

また、ICUには全員必修の語学教育プログラムとしてELA(English for Liberal Arts Program)とJLP(Japanese Language Programs)があります。自らの選択した入学者選抜制度に応じて、特に1年次に英語または日本語運用能力を向上させると同時に、ICUで効果的に学ぶための思考力と技術を養う、リベラルアーツへの重要な導入教育です。レベルに応じてクラス分けされます。

例えば1年目のELAの授業では、『異文化間コミュニケーション』や『生命倫理』などのトピックに関連した英語文献を読み、英語で議論し、英語で小論文を書くといった学術活動に取り組みます。そこで培われるのは、単なる英語力だけではなく、独創的、批判的、主体的に考える力です。また、そもそも入学時の英語レベルに応じた20名弱の少人数クラス(セクション)です。そのため学生同士で親しくなることが多く、仲間内でセクションメイト、通称セクメと呼称しています。協力しながら切磋琢磨して1年目のELAを乗り切るため、『セクメの絆は一生ものだ』ともいわれています。」(平島教授)

授業の特徴とサポート体制

メジャーの決め方やサポート体制を教えてください。

「入学時点ではメジャーを決めていなくても大丈夫です。様々な興味関心を持って入学してください。最初の2年は探究の2年間であり、2年次の終わりまでにメジャーを選択してもらいます。

少人数教育ならではのサポートといえば、専任教員によるアドヴァイザー制度です。学生一人ひとりにアカデミック・アドヴァイザーとして専任教員がつき、学生は毎学期の履修登録の際に、自分のアドヴァイザーと面談をします。面談では、前学期の成績と履修を希望している科目リストを見ながらアドヴァイスを受けます。前学期の成績が思わしくない場合は、選択している科目が多いのではないか、とアドヴァイスされることもあるでしょう。逆に前学期優秀な成績を残している場合は、ほかにもチャレンジしてみては、というアドヴァイスを受けるかもしれません。

アドヴァイザーは3年間同じ教員が務め、4年目は卒業論文の指導教員がアドヴァイザーになるのが一般的です。履修登録のことだけではなく、学生生活や留学などの相談に乗ることもあります。」(平島教授)

ICUは少人数制の授業で対話を重要視されているようですが、なぜですか?

「講義形式の授業を行なうこともあるのですが、やはり少人数制の授業を大切にしています。現在、大学全体として、専任教員1人あたりの学生数は18人です。教員が心がけていることは、学生同士が十分にディスカッションできる時間を取ることです。

少人数教育を貫いている理由は、少人数教育こそリベラルアーツ実現のための必須条件と考えているからです。ICUでの学びの中心となるのは『対話』。教員と学生、学生同士が、絶え間なく対話を続けることで学問のテーマは具体性を帯び、学生は学びを深め、専門性を高めることができるのです。」(平島教授)

卒業後の進路はどうでしょうか?

「学部卒業後の進路としては、約7割が就職、2割程度の学生が大学院へと進学しています。就職については、就職率(就職希望者数に占める就職者数)が非常に高く、例年9割を超えています。

企業側から見たICUの学生イメージは、『日英両言語の高い言語運用能力』『リベラルアーツで培った多角的な視点や批判的思考力』『臆せずアウトプットを発信する力』などだそうです。上場企業など大企業の採用担当からの評価も高いように感じています。

国内外の大学院へ進学する学生が約2割と多いのも、ICUの特徴です。リベラルアーツの学びを通して見つけた研究テーマを深めたいと思うようになったり、また将来、国際機関で働くことを視野に入れている学生が多いことなどが、主な理由かと思います。私が卒論指導を行う学生にも、アメリカの大学院を目指している学生もいます。今まさに、推薦状を書いているところです。学ぶことに積極的な学生が、本当に多い印象です。」(平島教授)

★注目トピック★
2023年春「トロイヤー記念アーツ・サイエンス館」使用開始!

自然科学系の教育・研究を組み込んだ日本唯一のリベラルアーツ・カレッジとして、「学問分野を超えた知の統合」を実現する場になります。くつろぎの場や学習スペース、セミナールーム、研究室や実験室、大人数の授業や講演などを行う大教室も設置するなど、それぞれのメジャーにかかわらず、全ての学生が訪れ、「知の融合」が起こるよう設計された空間です。

 

IB生の受け入れについて

IBDPを取得するために頑張っている学生たちの代わりにうかがいます。ずばり、IBのスコアはどのくらい重視していますか?

「ICUでは1970年代からIB生を受け入れていますが、近年は入学者選抜制度を多様化させて、さらに門戸を開いています。ぜひ、自分に合った入学者選抜制度を選んでみてください。

参考までに、英語による書類選考で行われるユニヴァーサル・アドミッションズ English Language Based Admissions (September/ April Entry)について申し上げると、過去5年間(2018年~2022年)の合格者のIB平均点は36点です。ただし、ICUの入試で重視しているのは、IBのスコアや英語力だけではありません。ICUのリベラルアーツ教育の中で伸びていく素養があるか、ICUで学びたいという意欲があるか、なども大切です。

これまで人間的にどういった成長をしてきているのかという点は、エッセイや推薦書ににじみ出てくるものだと思います。人として、どのように成長したいのかという目標も重要です。ただ単にIBスコアや英語力を見るだけでなく、全ての出願書類が評価の対象です。

また、主に日本語で選考を行う総合型選抜にもIB認定校を対象とした方式がありますが、IBスコアに関する出願条件はありません。「総合型」の名の通り、IBや英語のスコアは評価の一部であり、課外活動やエッセイなども含めて総合的に評価します。総合型選抜ではオンライン個人面接もありますが、単に志望動機を聞くだけでなく、「対話」ができるかということを見ています。限られた面接時間の中で、私たちとの「対話」のキャッチボールを通して、何か新しい気付きや発見ができるかなどを意識しつつその人の良いところを見つけ、総合的に評価しています。」(平島教授)

IB生にメッセージをお願いします。

「IBで培ってきた様々な体験、海外で教育を受けた経験。それらはICUの対話型・探究型の授業と親和性が非常に高いといえます。例えば、CAS(Creativity, Action, Serviceの略)を通じた社会への奉仕活動なども、責任ある地球市民を育むICUの教育と相性が良いでしょう。是非、それらの経験を土台にして、みなさんの強みを伸ばしていって欲しいと思います。ICUには、それを実現できる環境が整っています。」(平島教授)

日本初の4年制リベラルアーツ・カレッジとして、日本におけるリベラルアーツ教育を牽引するICU。国内だけではなく、海外からの学生も多いキャンパスでの学びは、グローバル化が進む社会で求められる様々な素養を身につけることができます。様々なバックグラウンドを持つ受験生が自分自身を存分にアピールできるよう、ICUでは多様な入試方式があります。
それぞれの入学者選抜制度の特徴と主な対象者が、見やすい表でまとめられていますので、ぜひ詳細を確認してみてください。

2023年度版 募集概要はこちら
入学試験要項は、必ず大学ウェブサイトで確認してください。

※上記インタビュー内容はすべて、2022年12月インタビュー当時のもの。

国際基督教大学

学部:
教養学部