IB生も指定校推薦は使える? 体験談を交えて選考方法・対策について解説!
現在、私立大学をはじめとする日本国内の大学では様々な入試制度が用意されています。IB生は11月の最終試験やIA・EEの執筆と同時並行で大学受験を進める必要があり、受験期はかなりタイトなスケジュールとなっているからこそ、自分に合っている入試制度を選ぶことが非常に重要です。
今回は学校推薦型選抜のひとつである『指定校推薦』について、入試制度の概要から必要な対策、そして私自身の体験談についてIB生目線で紹介していきます。実際にIBを履修して指定校推薦を選択した筆者の体験談もご紹介します!
『指定校推薦』とは?
指定校推薦の概要
指定校推薦は学校推薦型選抜に分類される入試形態です。学校推薦型選抜は「公募制」と「指定校制」とに分けられていますが、どちらも学校長の推薦が必要とされています。
その中の指定校推薦は、大学側が特定の高校に対して生徒を募集する形態の入試制度となっています。そのため、自分の通っている学校に志望大学からの募集がなされていない場合は、突出した成績でも出願することが出来ません。また、合格した場合は入学することを確約する「専願」で出願しなければなりません。
指定校推薦の特徴と合格への道
指定校推薦は、どの大学も出願者の合格率は約100%となっています。それは、大学は高校を信頼して推薦枠を用意しているということに加えて、募集枠が1つの高校につき1~3人程度と限られているためです。校内で同じ大学を志望する生徒の中からこの1~3人という狭き門を突破する必要がありますが、その募集枠の決定は、校内選考を通して行われます。
つまり、指定校推薦を利用して大学の合格を目指すためには、校内選考を勝ち抜いて募集枠を勝ち取なければなりません。前述しているように、募集枠を獲得出来れば合格率は約100%ですから、校内の枠を獲得することが最も重要な入試制度と言えます。
校内選考の選考方法
校内選考の選考方法や基準は高校によって大きく異なっており、具体的な審査過程や審査基準は非公開となっています。
しかし、一般的には高校3年間の学校内外での過ごし方が総合的に評価されると知られています。具体的には、以下の項目が重要とされています。
- 高1から高3までの評定平均
- 定期テストの獲得点数
- 欠席日数
- 日々の取り組み
- 部活動等の実績
- 資格
加えて、同じ高校内でもIBコースと一般コースがあるなど、IBを学んでいる生徒とそうでない生徒が混在している高校の場合は、IBを履修していることが評価されるという事例もあるようです。IB生の場合はPredicted Scoreを参照されることもあるでしょう。
また、私の高校では学力を計るための指標として、高3の6月に全学園の生徒が受験する校内試験を行い、その点数をもとに募集枠の選考が行われました。このように、高校独自の学力試験を行うこともあるでしょう。
IB生にとっての指定校推薦のメリット
大学入試、最終試験対策にそれぞれ専念できる
このような特徴を持つ指定校推薦におけるIB生にとっての大きなメリットとして、一つ目に「最終試験と入試の時期が被らない」ことが挙げられます。
高校によって差はありますが、多くの高校では校内選考は高校3年生の7月から9月にかけて行われます。校内選考後に大学への出願を行い、面談や小論文等の入学試験を行いますが、前述しているように指定校推薦での最も重要なイベントは校内選考です。
日本の一条校に通う多くのIB生のDP最終試験は11月に行われるため、最終試験と校内選考の時期は重複しません。
大学入試とDPの最終試験はどちらもかなりハードであるため、それらが同じ時期に被ってしまうとどっちつかずになってしまう可能性もあります。だからこそ、大学入試と最終試験が重複しないことは大きなアドバンテージとなります。
入試の負担が少ない傾向にある
指定校推薦では、これまでの学びの蓄積が評価されるため、他の特別入試と比べても入試自体の負担が少ない傾向にあります。
一般入試はもちろん、総合型選抜や公募型の学校推薦の場合でも入試のための対策に力を注がなければ合格を勝ち取ることは難しくなります。
他のIBを履修していないライバルは、大学入試に全力を精力を注ぐことができる一方で、IB生はDPの勉強も並行して進めなければなりません。
IB生と一般生では、大学入試対策に費やせる時間にどうしても差が生じてしまうため、受験時にIB生はやや不利になってしまう可能性もあります。
その一方で、指定校推薦の場合は時期が重複していないことに加えて入試自体の負担も少ないです。入試の負担が少ないことは、IBと大学受験を両立させる上でかなり大きなアドバンテージとなります。こうした指定校推薦の「これまでの学びの蓄積が評価される」という特徴がIB生にとっては大きなメリットになると考えます。
IB生対象の推薦枠がある
また、まだ数は少ないものの、IB生のみを対象とした募集枠を用意している大学もあります。これは、大学側がIBカリキュラムの学習経験を評価していることを示しており、近年、こうした大学は増加傾向にあります。
IBを学んでいることを大きな武器として受験することが出来、もちろん出願できる生徒はIB生に限られるため、競争率は低くなります。
指定校推薦のデメリット・注意点
専願である
指定校推薦を選択した場合、専願であるため他の大学を受験することは出来ません。指定校推薦での受験を決めてからは、他の大学の受験は出来なくなることに注意が必要です。
そのため、指定校推薦を検討する場合は、一時的な感情や周囲の意見に流されず、本当にその大学で学びたいという強い意志があるかどうかを慎重に判断する必要があります。後悔の無い選択にするためにも、将来のビジョンやキャリアプランを見据えながら大学選びをすることが重要です。
受験出来る大学が限られている
前述しているように、自分の通っている学校に志望大学からの募集がなされていない場合は、指定校推薦では受験することが出来ません。また、指定校推薦は、私立大学で活用されている入試方法であり、国公立大学ではほとんど採用されていません。
また、大学によっては、指定校推薦で受験できる学部・学科が限られている場合があります。希望する学部・学科での募集枠がない場合は、他の大学を検討する必要があります。
IB生が指定校推薦で必要な受験対策
これまで述べたように、指定校推薦は高校3年間の取り組みが全体的に評価される入試制度と言えます。指定校推薦は、IB生にとって、大学受験への負担軽減など、多くのメリットがありますが、合格するためにはもちろん適切な対策が必要です。指定校推薦を選択するうえで必要な対策について、IB生ならではの観点も交えながら解説します。
1. 成績の維持・向上
指定校推薦では、高校での成績が最も重要な選考基準となります。IB生は課題も多く大変ですが、自己管理スキルを活用しながら常に高い成績を維持することが重要です。特に学校の定期試験では各教科バランスよく高得点を取れるように取り組みましょう。指定校推薦では、受験期にまとめて勉強して取り返すことが非常に難しいので、コツコツと積み上げていくことが大切です。
2. 資格の取得 (英語力)
校内選考では、自分の高校での取り組みが評価・審査されます。このとき、いくらIBに全力を注いで必死に取り組んできたという事実があったとしても、それを証明するものが無ければ評価には繋がりません。
自分の価値を客観的に証明するものとして、資格を取得したり、コンクールに挑戦したりして実績を積み上げることが非常に効果的です。筆者も、英語検定や数学検定、漢字検定等の検定に挑戦したり、PP (Personal Project) の取り組みを活かしてコンクールへの応募を行ったりしました。コンクールでは、賞も獲得することが出来、自分の頑張りを証明することが出来たと感じています。
IB生は高い英語力を有しているという強みもあるため、英語力を生かした資格等に挑戦するところから始めて、自分のステータスを上げられるように頑張りましょう。
最後に
このように、指定校推薦には「これまでの学びの蓄積が評価される」という特徴があり、専願制や選べる大学が少ないといったデメリットもあります。それぞれの入試形態の性質を理解した上で自分に適したスタイルの入試形態を選択することが非常に重要となっています。
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