TOK,CAS, EE。IBコアの全てがわかる!
IBって勉強するだけじゃ合格できないって知っていましたか?数学や理科などの科目の勉強に加えて、TOK,EE,CASの3つのコア科目をクリアすることが必要です。
「IBコアって何かよく分かってない…」
「CASって何をやればいいの?」
「TOKとEEはいつから始めていつ終わらせればいいの!?」
決まったスケジュールや細かいルールがないIBコアは詳細が曖昧でよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。
この記事ではそんな疑問を解消します。
IBのことがまだよく分かっていない、というPre IB生や保護者の方もこの記事を読んでIBコアへの理解が深まればと思います。
IBコアって何?
IBコアとは、IBで勉強する6科目とは別に、IB取得のために取り組まなければならない課題のことを指します。CAS,TOK,EEの三つで構成され、その一つでも欠けてしまうと教科成績が良くてもIB資格を認められません。文字通りIBのコアの要素になります。
CAS
簡単にいうと課外活動です。Creativity、Activity、Serviceの頭文字をとったもので、IB合格にはこの三つをカバーしないといけません。
一般にIB生はCAS合計150時間費やさねばなりませんが、細かい規定は学校によって異なります。それぞれの学校にはCAS coordinator と呼ばれる先生が存在し、彼らが生徒のCASの進捗状況をチェックし、CAS関連の相談にのる存在になります。
- Creativity では新しいことにチャレンジしたり芸術活動をしたりします。
- Activityは運動をさし、クラブ活動やマラソンをする学生が多いです。
- Service は奉仕活動です。ボランティアに参加する人、学校の手伝いをする人が多いようです。
CASプロジェクトとは?
IB生はIB中に少なくとも一度だけ、CASプロジェクトというものをやらなければなりません。
CASプロジェクトとはIBOで以下の要素を含むように定義されています。
- 重要な成果をもたらす、実際の意図的な活動
- 個人的な挑戦
- 計画、進捗状況の確認、報告などの慎重な検討
- 結果と個人的な学習についての考察
Creativity、Activity、Serviceのうち一つの要素のみに取り組むことも、二つ以上を組み合わせてすることもできます。多くの場合、二人以上の生徒と一緒に取り組むものです。
一例として、筆者は編み物クラブを立ち上げて作ったものはボランティア団体に寄付する活動や、放課後のクラブ活動の一つとして折り紙クラブを結成して日本文化を広めるという名目で子供たちに折り紙を教える活動をしていました。
CASは成績がつきませんがやらなければIB資格を取れません。そこで筆者は、勉強が忙しくなる前2年生のうちになるべくやっておくことをお勧めします!また、C、A、S全てをバランスよくカバーしつつやることを忘れずに。
さらに、CASは必ず振り返りを書かなければなりません。ためずにこまめに書くことをお勧めします。
最後にCAS選びのコツとして、やっていて楽しい活動をすることをお勧めします。IBの忙しい勉強時間の息抜きになるものがCASとして活用できたらそれ以上に効率的なことはありません。楽器やスポーツなど自分が好きで時間を費やしたいものを選んでみてください。
TOK
TOK(Theory of Knowledge)は知の理論といわれる、「わかるということをどう理解するか」というとても抽象的な授業です。IB経験者が「結局TOKってなんなのかよくわからないまま終わっちゃった」と話すのをよく聞きますが、筆者もその一人です。
私たちの知識は本当に正しいものなのか。どうやって正しい知識を手に入れるか。
知識についてひたすら追求するということを学ぶことで、与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、それらを精査して、正しい知識を身につけることができるスキルを学びます。スケジュールや提出締め入りは学校や先生によるので、同じIB生の間でも進捗に差が出ることがあります。周りの生徒との差を感じても焦らず、担当の先生の指示に従って進めていきましょう。多くの場合、IB一年目にエキシビションを行い、最終学年の後半にエッセイに取り掛かります。
TOKのエッセイ課題の例
授業の頻度は週に一回から二回ほどで、知識の種類(Area of Knowledge)と5つあるオプションテーマの中から先生が選んだ二つのテーマについて勉強します。
TOKの評価はエキシビション(展示)と1600語のエッセイの二つで決まります。IBOが定めたいくつかのテーマから一つ選び、それについて授業で習った方法を使って書くというものです。一例として、過去のエッセイタイトルを挙げます。
- 「すべての理論には限界があることを考えると、世界を理解するには多数の理論を保持する必要があります。」 この主張について、2 つの知識領域を参照して説明してください。
- 「現在の知識は、過去の知識に完全に依存しています。」 この主張について、2 つの知識領域を参照して説明してください。
TOKは、他の科目と違って明確な答えがあるわけではありません。
TOKの高得点をとる生徒の中には、なんで高得点を取れたのかよくわからないという人も多く「苦手と思っていたのに成績はよかった!」という人もいます。
ですから、わからないことに焦ったり苦手意識を持って諦めてしまうのではなく、わからないのは当たり前、というスタンスで授業に臨むことをオススメします。
EE
Extended Essay (EE)は卒業論文のようなものです。IBで学んでいる六つの科目の中から一つ選び、リサーチクエスチョン(議題)をたててそれについて探求します。英語の場合は4000語、日本語の場合は8000字以内でまとめたエッセイです。
どの教科で書くかを決める際には、自分の興味関心に基づいて決めることが大切です。なぜなら、一度EEが始まったらそのテーマと一年向き合わなければならないからです。
EEのタイムライン
下記はEEの大まかなイベントのタイムスケジュールの一例です。
- 教科を選ぶ
- リサーチクエスチョンをたてる
- 理系の場合、多くは実験を行う
- 文系の場合、多くは文献を調べる
- スーパーバイザーとの面談
- 序論、仮説、方法論の一次締め切り
- スーパーバイザーとの面談
- 実験、リサーチ
- レポート作成
- スーパーバイザーとの面談
- レポートの最終提出
EEの締め切りもTOKと同様、学校によって異なりますが、多くの場合IB一年目には教科とスーパーバイザー(指導教員)が決まります。筆者のおすすめは、IB二年目に入る前の長期休暇のうちに全ての下書きを完成させることです。理科系の教科で書くのならば実験とデータ収集は休みの前に終わらせると良いでしょう。筆者は、最終学年に進級する直前の長期休暇中に下書きを完成させ、学校が始まると同時にスーパーバイザーに提出しました。早めに提出することで見てもらえる時間が増えるので丁寧な指導をもらえる確率が上がります。スーパーバイザーの先生は複数の生徒を担当していることもあるので締め切り直前の提出は避けた方がいいでしょう。また、最終学年になると試験勉強の他にもIA(エッセイやレポートなど内部評価の提出課題)の締め切りもあり、忙しくなります。筆者は休みの間にEEを進めていたおかげでテスト勉強とIAに時間を割くことができ、うまくタイムマネジメントができました。
EEはTOKのように授業があるわけではありません。学校側がEEのための時間を用意してくれるわけではないため、タイムマネジメントは生徒が自身で行う必要があります。基本的に生徒主体なので、自分から積極的にコンタクトをとり、スーパーバイザーと密にコミュニケーションをとって良好な関係を築くことが重要です。
さらに、日本の大学入試の際にはEEを提出書類として指定してくる学校やインタビューでEEからどんなことを学んだか聞かれることがあります。教科、テーマを決める時は大学受験を考慮して慎重に選ぶようにしましょう。
IBコアの成績
IBコアの成績はTOKとEEの掛け合わせでつきます。
数学や英語など一般6教科は1から7の成績がつくのに対して、EEとTOKはAからEの5段階で評価され、二つ合わせて最大3点の成績がつきます。例えば、EEもTOKもA評価の場合は3点が付与され、どちらもB評価の場合は2点が付与されます。
Assessment principles and practices.2018-en.pdf p.220より引用
詳細はIBOのサイトでご確認ください。
最後に
今回はIBコアのCAS、 TOK、 EEの三つの概要を簡単に紹介しました。
IBのことをよく知らない方、これからIBを始める方の「IBコアってなに?」という疑問が解決する糸口になればと思います。
引き続き、みなさまの不安や疑問に答える記事や大学情報を発信していくのでUniv-it! をご活用ください。