【アメリカの大学】在学生から見たワシントン大学の魅力
アメリカのワシントン大学在籍2年目の筆者がワシントン大学の基本情報や教育制度について、また筆者自身の1日のスケジュールなどを交えつつ紹介!ワシントン大学の魅力についてお伝えしていきます。
University of Washington (UW)
ワシントン大学はアメリカ西海岸に位置する有名州立大学です。「ワシントン」と聞くと、首都のワシントンD.C.と間違えられがちですが、D.C.とは反対側の東海岸にあるワシントン州を代表する大学です。年々、研究成果と教育指針への世界的評価が高まっており、2019年の世界大学ランキングでは10位に選ばれるほど、現在注目を浴び続ける大学の一つとなっています。自然科学の分野で高い評価を受けており、特に微生物学や薬理学での研究が進んでいます。多様性にも力を入れていて、今在学している学部生28754人のうち、8000人以上が外国人留学生です。
そんなワシントン大学には3つのキャンパスがあります。各キャンパスとそれぞれの特徴について紹介します。
Seattle campus
シアトルキャンパスはシアトルのユニバーシティ・ディストリクトに位置するメインキャンパスです。3つのキャンパスのうち一番生徒数が多く、キャンパスも最も広く、東京ドームが55個入る広大な敷地を持っています。緑が豊かで近代的な建物とゴシック調の建築が入り混じるキャンパスは、観光地としても人気で、毎日のように旅行者や修学旅行生の団体でにぎわっています。
カレッジ・スクール制度が採用されており、College of Arts & Sciences, College of Built Environments, Michael G. Foster School of Business, Paul G. Allen School of Computer Programming & Engineering, School of Dentistry, Henry M. Jackson School of International Studiesなどの17のカレッジ・スクールから、専攻を選ぶ際にどこか一つに所属するシステムになっています。カレッジによって奨学金の制度や援助が異なるので、自分の専攻に合ったサポートを見つけることが出来るでしょう。
Tacoma campus
タコマキャンパスはシアトルから50km南に位置し、5375人が在籍する小さなキャンパスです。特徴としては、メインキャンパスと比べて少人数授業が多いことや、メインキャンパスでは受けられない特殊な学部やカリキュラムがあることなどが挙げられます。自治体や大学の意向によりタコマキャンパスの校舎は古い工場や建物を改装したものを使用していて、外見と内装がまったく違うおしゃれな校舎が多いです。
Bothell campus
ボセルキャンパスはシアトルから北東にある、ボセル市に位置しています。タコマキャンパスと同じく小規模のキャンパスになっています。Cascadia Community Collegeというコミュニティカレッジが併設されていて、図書館や食堂などの施設は共用となっています。校舎の周りは公園や住宅街に囲まれ、穏やかな雰囲気です。最近はモールなどの商業施設が立ち並ぶようになり、年々学生にとってより住みやすい環境になっています。
タコマキャンパスとボセルキャンパスはコミュニティカレッジからの編入生が多く、一方でシアトルキャンパスは正規の日本人学生や交換留学生が比較的多いです。基本的に所属するキャンパスで授業を履修しますが、違うキャンパスで授業を取ることも可能です。
専攻・履修登録について
ワシントン大学を受験する際は学部と学科(専攻)を決めて、それに沿ったスクール・カレッジに受験する形になっています。しかし、多くの受験生は専攻を後から決める、Pre-majorを選び、大学1年生、2年生終了後に専攻を正式に決めます。ワシントン大学ではSingle major, Double Major・ Double Degree, Minor という主に3つの専攻のタイプがあります。
Single major
一つの分野を深く掘り下げる専攻タイプです。難易度の高い授業の多い専攻を持つ生徒が多くこの手法を取っています。例えば、Computer Science の専攻の生徒は授業数が多く勉強も比較的難しいため、Single major を選ぶことが多いです。自分のやりたいことが明確に決まっている人にはお勧めです。
Double major / Double degree
ダブルメジャーは同じ学位名となる専攻を2つ選択し、一つの分野について幅広く学ぶことができる専攻タイプです。例を挙げると、Economics (経済)とCommunication (コミュニケーション)の専攻はどちらも Bachelor of Artsの学位となるため、ダブルメジャーとみなされ、学位名は “Bachelor of arts with a major in economics and communication” となります。
ダブルディグリーは二つの専攻を別々の学位の下で選択して、二つの異なる分野についてしっかりと学べる専攻タイプです。ダブルメジャーとダブルディグリーの主な違いは卒業までに必要な単位数です。ダブルメジャーは一つの分野について学ぶため、必要な単位数はSingle majorと同じく180個ですが、ダブルディグリーは二つの分野について学ぶため、必要な単位数は最低225個となっています。よって、ダブルディグリーを取る生徒の半数は大学に5年間いることが多いです。
ダブルメジャーもダブルディグリーも日本の大学で実施しているところはごくわずかです。一つの分野について幅広く学びたい、または別々の分野について同時に学びたい方にはこれらの専攻タイプがおすすめです。
Minor
マイナーは専攻とは別に、好きな分野について浅く学ぶことができる、オプショナルな選択肢です。応募方法については、まず自分のメインとなる専攻に入った後、マイナーに応募することができます。マイナーは専攻とは違い、少ない単位数で受けることができる反面、学位が貰えることはありません。学業成績証明書に記載がされるのみとなり、これはアメリカの大学共通となっています。
ワシントン大学の魅力の一つは、リベラルアーツ式の教育指針があることです。卒業必須条件の中に、芸術系、個人と社会、自然界という3つの分野に関する授業を決められた数だけ取らなければなりません。そのため、どの生徒も自分の専攻と異なる分野の授業を取ることができます。また、専攻を一つに絞り切れない学生は様々な授業を取り、いくつかの科目を選考する準備ができます。
学費・奨学金制度
学費は大学を選ぶにあたって重要なポイントになります。ワシントン大学は学部や専攻にかかわらず学費は一律で、一学期につき19クレジット(単位)以上からは追加で費用を支払う必要があります。また、履修するキャンパスや時期によって、多少金額が変わる場合があります。以下、2019年度のメインキャンパスでの学費をまとめた表です。
レジデンシー(居住地) |
学費(USD) |
州内 | $11,465 |
州外 | $38,166 |
ワシントン大学には643の奨学金プログラムがあります。しかし、大多数のアメリカの州立大学と同様、外国人留学生が応募出来るものは限られています。外国人留学生が応募できるプログラムは在学中に応募する形式のものがほとんどで、成績やエッセイ、面接によって選考が行われます。非常に競争率が高く、受ける奨学金の額がさほど大きくない代わりに、完全給付制となっています。企業・団体や政府のプログラムから奨学金を受けることもできますので、そちらのオプションも視野に入れると良いかもしれません。
ワシントン大生の1日の過ごし方
Businessの専攻(major)に来春受験する予定の大学2年生(筆者)の1日のスケジュールをお見せします。授業のコマ数や長さは曜日によって異なります。授業が少ない日には図書館や自宅で勉強したり、友達と遊んだりといった時間が設けられます。経理学と統計学の授業ではグループワークがあるため、夜遅くまでキャンパスに残ってミーティングをすることもあります。中間試験や期末試験中は授業が終わったら夜遅くまで図書館で勉強することが多いです。
ワシントン大学の魅力
1.多様性
世界中から優秀な生徒が集まるワシントン大学には、冒頭でも書いた通り現在の学生28754人のうち8000人以上を外国人留学生が占めています。そのため毎日のように様々な文化や言語をキャンパス内で見聞きすることができます。
シアトル市自体がたくさんの国や文化から来る人々が住んでいるため、多様な食文化やコミュニティが混在しています。キャンパス近くのレストランではインド料理や韓国料理など様々な国の料理を楽しむことができます。
2.生徒への手厚いサポート
ワシントン大学では様々なニーズに合わせたサポートを設けていて、すべての生徒が適切なアドバイスや支援が受けられるようになっています。マイノリティの生徒や低所得者の生徒、外国人留学生から書類なき移民(アンドキュメンテッド)の生徒まで、自分のニーズとステータスを良く理解するスタッフが手助けしてくれます。最近ではCIRCLEという新たな外国人留学生向けの支援センターが開設され、カウンセリングやセミナーなどが頻繁に行われています。
ほとんどの科目や授業には、それぞれチュータリング・センターが設けられていて、好きな時間に上級生や教授に質問を聞くことができます。他にも、エッセイや履歴書の書き方講座や面接の練習のセミナーが行われており、幅広い分野においてのサポートが、日常的に受けることができます。
3.豊富なクラブとサークル
課外活動にも力を入れているワシントン大学には、約800個の生徒団体があり、勉強の合間に様々なアクティビティに参加することができます。また、大学のキャンパス内にあるスポーツ施設(テニスコートやバスケットボールのコート)やトレーニングジムは生徒であれば24時間無料で使用することができます。
4.専門的な研究に取り組める
ワシントン大学では、好きな分野からその時々に行われている研究を選んで、応募することができます。選考を通った学生は、その後様々な教授や研究チームと共に研究に参加することができます。好きな分野を選ぶことができるので自分が興味がある分野の研究に立ち会ったり、自分の専攻に関係する研究を選ぶことができます。多くの生徒は教授らと近い関係を築き、大学卒業後まで続くコネクションが作れるいい機会として研究に参加することも多いです。
また、年に一度行われるUndergraduate Research Symposium では、生徒らが自ら研究したことや経験したことを多くの人々に発表します。最近では、「ポケモンGOに基づくGPSベースのアプリケーションにおけるビッグデータの歴史的および分析的考察」という研究が大きな話題を呼び、反響を受けました。
5.受験しやすい
ワシントン大学は他大学と比べて受験方法がシンプルなのも魅力の一つです。ただアメリカの大学で主流となっているCommon Applicationではなく、Coalition Applicationという比較的マイナーな受験方法を使います。しかし、どちらも必要なものは同じで、高校での成績とSATなどの試験のスコア、外国人留学生は英語力試験の結果を提出します。IB生はIBスコアを提出し、受かった場合そのスコアによって大学の単位への変換も可能です。エッセイは無くても受験可能ですが、ワシントン大学独自で出されているエッセイは提出する必要があります。
6.シアトルは有名な観光都市!
ワシントン大学のメインキャンパスがあるシアトルは、歴史のある緑豊かな観光都市です。年間約4000万人が訪れるこの都市には、現存する市場としてはアメリカでもっとも古いパイクプレイス・マーケット、スターバックス1号店、ボーイングの飛行機組み立て工場やランドマークであるスペース・ニードルなどがあります。観光客では回り切れないシアトルの魅力を、ワシントン大学の学生は大学生活で存分に楽しむことができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。少しでもワシントン大学について知ってもらえたらうれしいです。アメリカの大学では、自分のやりたい専攻に伴ってキャンパスを選んだり、ダブルメジャーやリベラルアーツ式の教育で様々な分野に触れることができます。アメリカの大学を受験したい生徒はぜひ、ワシントン大学も視野に入れて受験する大学を検討してみてはどうでしょうか。Univ-itではワシントン大学だけでなく、様々な海外大学の詳細情報を見ることができるので、以下からぜひチェックしてみてください!