【IB受験体験談】早稲田大学 国際教養学部(SILS) AO入試「国内・国外選考」に合格したNさんにインタビュー!

早稲田大学国際教養学部(SILS)はIB生にも人気の学部ですが、一条校在籍者であればAO入試(4月入学)の「国内選考」「国外選考」という入試方式両方に出願できることはご存知でしたか?

本記事では、実際にふたつの選考に出願し、見事合格したN先輩がインタビューを通して共有してくださった「両選考の違い」や「受験のポイント」などを紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

Index

早稲田大学 国際教養学部(SILS)とは?

早稲田大学国際教養学部(SILS)は、リベラルアーツ教育を基盤とし、国際社会で活躍できる人材の育成を目指しています。授業の約9割が英語で行われるため、学内でも多様な学生と交流できる国際的な環境が特徴です。

SILSでは、学生の語学能力に応じて主に「Study Plan 1(SP1)」と「Study Plan 2(SP2)」の2つのカリキュラムが用意されています。SP1は母語が日本語の学生を対象とし、1年間の留学が必須です。一方、SP2は母語が日本語以外の学生を対象とし、留学は任意となっています。専攻(メジャー)は2年次以降に選択でき、学際的な学びを深められることも魅力の一つです。

国際教養学部(SILS)のAO入試(4月入学)について

早稲田大学国際教養学部のAO入学試験(総合型選抜)は、出願者の出身校の教育課程に基づき「国内選考」と「国外選考」の2つに区分されます。
国内選考は筆記試験が課されるのに対し、国外選考は主に書類審査で完結するという大きな違いがあります。

国内一条校のIBコースに在籍する学生は、両方の出願資格を満たすため、双方の試験に出願が可能です。

特徴 国内選考(Domestic) 国外選考(Overseas)
対象 日本の教育制度に基づく課程を修了した者
(国内一条校のIB生含む)
日本以外の教育制度に基づく課程を修了した者、または国際バカロレア資格(IBDP)を取得した者(インター校出身者含む)
選考方法 書類審査と筆記審査(Critical Writingなど)の総合評価 書類審査(IBの最終試験結果、英語スコアなど)による評価
面接が課される場合もある
筆記試験 あり
Critical Writing
志望理由に関するエッセイ
なし
併願 国外選考との併願が可能 国内選考との併願が可能 

それぞれの出願資格

「国内選考」は、日本の法令により設置されている高等学校等の卒業(見込み)者が対象です。
IBコースに在籍する
国内一条校の卒業(見込み)者は、この選考区分で出願します。

「国外選考」は、IBDP資格、バカロレア資格、アビトゥア資格など、外国の大学入学資格を有する者や、日本以外の教育制度に基づく課程を修了した者などが対象です。インター校出身者は「国外選考」での出願のみ可能なことに注意が必要です。

早稲田大学国際教養学部(SILS)受験についてUniv-it!で見る

早稲田大学

学部:
国際教養学部(SILS)
入試方式:
AO入試(4月入学):国内選考・国外選考

基本的な学部と入試概要の確認をしたところで、ここからは実際に「国内選考」「国外選考」両方に出願し、合格を勝ち取ったN先輩のインタビュー内容から早稲田大学国際教養学部(SILS)受験のポイントを見ていきましょう!

N先輩のプロフィール

所属大学・学部 早稲田大学 国際教養学部(SILS)1年
受験大学 (併願校) 早稲田大学 国際教養学部 (国内選考・国外選考)
上智大学 国際教養学部
出身高校の区分 国内一条校
IB選択科目・スコア SL: Japanese A(5)、Math AA(6)、English A(5)
HL: Business(5)、Biology(6)、Economics(6)
TOK/EE: 2点(TOK: B, EE: B)
合計スコア 35点
TOEFL 107点 (高3春休みに取得)
これまでの教育歴 小学校3〜5年生:インターナショナルスクールに在籍
中学:IBに似た学校独自の英語プログラムのクラスに在籍

早稲田大学(国際教養学部 SILS)「国内・国外選考」併願の決め手とは?

早稲田SILSを志望校に選んだ決め手は何でしたか?

私にとって最大の決め手は、SILSが提供する「リベラルアーツ教育」でした。高校生の段階で将来の専門分野を一つに絞りたくなかったため、幅広い学問分野に触れられる環境が魅力的でした。また、1年間の海外留学が必修である点も、グローバルな視点を養う上で不可欠だと感じ、重視しました。

また、早稲田大学という国内トップレベルの総合大学でありながら、授業が基本的に全て英語で行われるという、他の国際系学部にはない独自の立ち位置に魅力を感じました。さらに、様々なバックグラウンドを持つ学生や、多様な専門分野を持つ教授陣が集まっているため、刺激的な環境で学べると考えました。

 併願校に上智大学(国際教養学部)を選んだのはなぜですか?

第一志望だったSILSの要素を基準に併願校を選びました上智の国際教養学部もSILSと同様に「リベラルアーツ」であり、授業が主に英語で行われるという共通点がありました。また、立地や大学の雰囲気も魅力的で、万が一SILSが不合格になった場合でも、悔いなく通える大学として選びました

SILSでは「国内選考」と「国外選考」の両方に出願できることをどこで知りましたか?

当初は国内選考のみを考えていましたのですが、高校の先生にIB生が受験できる入試方法について相談した際、「国外選考にも出願できる」という情報を得ました。このダブル出願の可能性は、募集要項を細かく読み込まないと気づきにくい、IB一条校の生徒特有のオプションだと感じています。

「国内・国外」両選考への出願を選んだ理由は何でしたか?

一番の理由は、合格の「チャンスを最大化できる」と考えたからです。両選考とも共通の出願書類が多いので、対策の手間が最小限で済むのが大きなメリットでした。一方でデメリットは、国内選考にはIB最終試験の直後に筆記試験が課されるため、その追加対策が必要になる点でした。

国内選考と国外選考の出願書類や評価基準で、特に違いを感じた点は何ですか?

最大の相違点は、国内選考には「Critical Writing」という筆記試験が必須で課される点です。国外選考がIBの成績やTOEFLなどの書類評価が中心なのに対し、国内選考は当日実力で測られる要素が含まれます。書類自体はほとんど共通していましたが、評価の重点が異なる印象を受けました。

TOEFLスコア・対策について

TOEFLの目標スコアと取得時期について教えてください。

目標スコアは100点台後半を設定し、最終的に高校3年生の春休みに107点を取得しました。高校2年生の時から少しずつ受験を始め、高得点を出すには複数回受験が必要だと分かっていたので、早めにピークを持ってこられるよう計画的に取り組みました

TOEFLの目標スコアを取得するために、どのような対策を行いましたか?

TOEFLの過去問や公式問題集を徹底的に繰り返しました。特にIBの授業だけでは対策しにくいWritingとSpeakingは、オンラインの添削サービスや英会話を活用し、フィードバックを受けながら集中的に強化しました。
IBの英語の成績とは求められるスキルが異なるため、TOEFL特有の対策は必須だと感じました。

出願書類について

国内選考と国外選考の志望理由書は、どのように作成しましたか?

まず日本語(国内選考用)の志望理由書を最初に作成し、自分の考えを正確に言語化しました。その日本語の原稿をベースにして、英語(国外選考用)に翻訳し、ネイティブチェックや表現の調整を行いました。日本語で構成を練る方が、なぜSILSに入りたいかという核の部分をブレずに伝えられると考えたからです。

IBでのどのような経験を軸に構成しましたか?

IBで取り組んだCAS活動のうち、特に力を入れたボランティア活動の経験を軸に据えましたその活動を通して気づいた社会課題に対し、SILSの多様な学際分野で具体的に何を学び、将来どのように解決に貢献したいかを論理的に結びつけて説明しました。経験の羅列ではなく、SILSでなければならない理由に繋げることが重要だと感じました。

出願書類関連を整理していく過程で注意したポイントがあれば教えてください。

調査書の中でも、特にGPA(学校の成績)を高校1年生の早い段階から高い水準で維持しておくことが最も重要です。IBの成績は高3の最終試験で決まりますが、出願時のGPAは日々の努力の積み重ねが反映されます。
また、学校の先生には、書類の締め切りより余裕をもって依頼し、予測スコアの目標点も相談しながら設定しました。

筆記試験について

どのようなスケジュールで対策を進めましたか?

国内選考の筆記試験は、IBファイナルの直後の日程だったため、非常にタイトなスケジュールでした。ファイナル直前まではIBの勉強に集中し、ファイナル終了後すぐに気持ちを切り替えて国内選考の筆記試験対策に集中しました。
この切り替えのメリハリが重要で、事前にこの期間を確保する計画を立てていました。

筆記試験対策として、何か特別な対策を行いましたか?

はい、筆記試験の「Critical Writing」対策として、TOEFLゼミナールの講座を利用しました。独学では難しい、論理的な構成や時間配分のノウハウを学ぶために専門機関のサポートを受けました。特に制限時間内に完成度の高いエッセイを書き上げる練習は、外部講座なしでは難しかったと思います。

「Critical Writing」(英語エッセイ)で出題されたテーマと、本番での時間配分などについて教えてください。

出題テーマの具体的な内容は覚えていないのですが、一般的な社会問題に対する多角的な視点や論理的な展開が求められるものだったと思います。
本番では緊張もあり、時間配分がうまくいかず、エッセイの結論部分を十分に書き切ることができませんでした。練習時よりも焦ってしまい、IBでのエッセイ経験があっても、本番のプレッシャーは大きいと感じました。

本番で「Critical Writing」がうまくいかなかったにもかかわらず合格できた要因はどこにあると思いますか?

TOEFLスコアやIBの予測スコア(+GPA)などの「書類評価」が高かったからだと自己分析しています。国内選考であっても、筆記試験だけでなく、これまでの努力が反映される書類評価が非常に重要だと実感しました。

IBでのエッセイ課題などの経験は、筆記試験に役立ちましたか?

IBのEE(課題論文)やTOKエッセイ、科目別のエッセイ課題で培った「アカデミックな文章構成力」や「論理的な思考力」は、Critical Writingの土台になりました。テーマに対するリサーチや、論拠に基づいた主張を展開する力は、IBで日常的に訓練されていたため、短期間の対策でも対応できたのだと思います。

筆記試験当日の会場の雰囲気や、周りの受験生を見て印象に残っていること、後輩へのアドバイスがあれば教えてください。

会場には、国内出身の受験生が多く、少し緊張しました。圧倒されるかもしれませんが、IB生はすでに英語での長文読解やエッセイ作成に慣れているため、自信を持って臨んでほしいです。休憩時間などもIBファイナルの感覚で、最後まで集中力を切らさないことが大切だと感じました。

国内選考・国外選考の併願について

国内選考と国外選考は、どのような順番で結果を知りましたか?

合否発表は同日でした。幸い両方に合格できたため、どちらの合格を活かして入学手続きを進めるかを選択する必要がありました。最終的には、大学側から国内選考での手続きを進めるようにという指示があったので、そちらに従いました。

ご自身の経験から見て、後輩たちにSILSのダブル出願(国内・国外選考の併願)をお勧めしますか?

強くお勧めしたいです
出願書類は共通している部分が多いので、費用と手間を最小限に抑えつつ、合格のチャンスを増やせるのが最大の魅力です。
もし国内選考の筆記試験が不安でも、国外選考でIBの予測スコアやTOEFLスコアといった得意分野で勝負できる、保険のような役割も果たしてくれます。

どのようなIB生には国内選考が、どのようなIB生には国外選考が向いていると思いますか?

国外選考は、高いIBの予測スコア(GPA)とTOEFLなどの英語外部試験のスコアに自信がある、書類評価で勝負したいIB生に向いています。一方、国内選考は、IBファイナル後もモチベーションを保って筆記試験の対策を詰められる、IBで培った論理的思考力・ライティング力で実力を発揮したいIB生に向いていると思います。

早稲田大学(国際教養学部)入学後の印象や後輩へのアドバイス

大学選びの時に思い描いていたイメージと、実際に入学してみて感じる学部(SILS)のギャップはありますか?

大学選びの際に魅力だと感じていた「幅広い分野を学べるリベラルアーツ」というイメージは、実際に入学してからもギャップなく魅力だと感じています。経済学から芸術分野まで、興味の赴くままに授業を選択できるため、日々新しい発見があり、刺激的です。また、学生の多様性も予想以上でした。

IBをやっていて良かったと感じたことはありますか?

大学のレポート課題や授業でのプレゼンテーションの際、IBで学んだアカデミックライティングやリサーチのスキルが非常に活きています。特に、情報源を正しく引用する作法や、論理的な構成で文章を組み立てる能力は、大学で求められる学習レベルに直結するため、IBを経験していて本当に良かったと感じています。

書類作成や入試対策において、生成AIは活用しましたか?

はい、活用しました。主に、日本語で作成した志望理由書を英語に翻訳する際の表現の調整や、出願書類のエッセイのアイデア出し、構成案のブラッシュアップなどに使用しました。ただし、生成AIが出した文章をそのまま使用するのではなく、あくまで自分の考えを整理したり、より自然な英語表現にするための補助ツールとして活用しました。

 IBの成績維持とTOEFL対策など、SILSを目指すIB生の後輩たちへ向けてアドバイスをお願いします。

高校1年生の比較的忙しくない時期から、「前もって準備する」ことを徹底してほしいです。具体的には、TOEFLなどの英語外部試験の目標スコアを高校2年生までに達成し、日々のGPAも意識して高水準で維持することです。早めに準備を終えておくことで、IBDP後半の忙しい時期に焦りがなくなり、心に余裕を持って受験に臨めます。

━━Nさん、ありがとうございました!

最後に

いかがでしたか?

Univ-it!では今後もIB生の大学受験をサポートする情報を発信していきます。
次回の記事もお楽しみに!