【IB受験体験談】岡山大学医学部に国際バカロレア選抜で合格!現役医学生にインタビュー
IBでの学びを活かして難関とされる医学部を目指されている方もいると思います。今回は、国際バカロレア選抜を経て、現在、岡山大学医学部に在籍されている渡慶次さんにインタビューを行いました。大学選びの経緯から、IBの勉強と両立した受験対策、そして入試当日の体験談など、詳しくお話を伺いました。IBから医学部を目指す方は特に必見の内容となっています!
岡山大学 医学部について
岡山大学は、中国・四国地方を代表する総合大学の一つです。その中でも医学部は長い歴史を持っており、最先端の研究を学べるなど高い評価を得ています。国際的な視野を持つ医療人の育成にも力を入れており、IB生を積極的に受け入れる国際バカロレア選抜を実施しているのが特徴です。
国際バカロレア選抜とは?
岡山大学医学部医学科の国際バカロレア選抜 (10月募集) は、主に11月にIB最終試験を受験する生徒を対象とした入試制度です。
- 募集定員: 2名
- 出願資格:
- IBフルディプロマを取得見込みであること。
- 日本語Aが4以上、または日本語B(HL)が6以上であること。
- 物理・化学・生物から2科目及び数学を履修し、所定の成績を修めていること。
- IBの最終予測スコアまたは最終スコアの合計が39点以上であることが選考の対象となる。
- 選抜方法: 書類審査(成績評価証明書、自己推薦書、評価書など)と面接の結果を総合的に評価して選抜されます。
(注)上記は2026年度の募集要項を参考に作成しています。必ずご自身が受験する年度の最新の募集要項をご確認ください。
インタビュイーのプロフィール
今回お話を伺った渡慶次さんのプロフィールです。
所属大学・学部 | 岡山大学 医学部医学科 |
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受験大学(併願校) | 北海道大学(総合入試理系)、東京科学大学(医学部)、横浜市立大学(医学部)、順天堂大学(医学部) |
出身高校の区分 | 国内一条校 |
最終試験 受験時期 | 2024年11月 |
IB選択科目・スコア | HL: English B (6), Chemistry (6), Math AA (6) SL: History (7), Japanese A Lit (5), Biology (6) コア科目: TOK (B), EE (Chemistry, A) 合計スコア: 39 |
これまでの教育歴 | 幼稚園・小学校:インターナショナルスクール 中学校以降:国内一条校 |
岡山大学 医学部の受験体験談: 大学選び編
まずは、渡慶次さんの体験談をもとに、大学選びのプロセスから見ていきます。
医学部を志望した理由について教えてください。
父が医師であった影響が大きく、成長するにつれて人体や健康への興味が深まったことが、医学部を志望する直接のきっかけになりました。人の役に立ちたいという思いと、生命科学への探求心が結びついた形です。
数ある医学部の中で、なぜ日本の大学、そして特に岡山大学医学部を志望されましたか?
将来は日本で医師として働くことを考えています。海外の医学部を卒業すると日本の医師国家試験の受験資格を得るのが難しいと聞き、国内の大学に絞りました。その中でも岡山大学は、IB生に寛容であるという評判を耳にしており、入学後のサポートも手厚い点に魅力を感じ、志望校の一つに加えました。
渡慶次さんのお話のように、大学ごとにIB生への理解度やサポート体制は大きく異なります。岡山大学にはIB生のサポートを専門とする部署があるなど、IB生が学びやすい環境が整っているようです。大学のウェブサイトや在学生の声などを通じて、志望校のIB生へのサポート体制を事前に調べておくことも、大学選びの重要な軸の一つになると言えます。
国内の他の大学も選択肢にありましたか?最終的に岡山大学のIB選抜という進路を選んだ決め手は何でしたか?
IB入試で医学部に合格するのは非常に難しいため、複数の大学を併願していました。最終的には合格をいただけたことが一番の決め手ですが、受験校を選ぶ段階では、岡山大学が提供する3ヶ月間の研究留学プログラムなど、IBでの経験を活かせそうな点に特に魅力を感じていました。
岡山大学 医学部の受験体験談: 受験対策編
次に、IBの学習と並行して進めた受験対策についての経験を伺いました。
出願書類について
岡山大学医学部のIB選抜では、主に以下の書類が必要となります。
- 国際バカロレア選抜志願票・写真票
- IB最終試験6科目の予測スコア
- 自己推薦書(志望理由、自己アピール、活動体験の記録)
- 履歴書(医学部医学科のみ)
- 評価書
出願書類の準備はいつ頃から始めましたか?IBの最終試験の勉強との両立で工夫した点や、具体的なスケジュール管理について教えてください。
10月下旬から始まるIBの最終試験と準備期間が重なるのを避けたかったため、夏休みから本格的に準備を始めました。IBの勉強と両立しながら、9月の終わり頃には全ての書類を書き終えるようにスケジュールを管理していました。
最終試験の勉強と大学出願の準備が重なるのは、11月試験のIB生が直面する共通の大きな課題です。渡慶次さんのように、夏休みなどの長期休暇を有効活用し、前倒しで準備を進めることが、両立を成功させる鍵となりそうです。
自己推薦書の「志望理由」では、ご自身のどのような経験や関心を、医学への興味や将来の希望に結びつけて記述しましたか?
以前から興味があったスポーツドクターという将来像と、CAS活動の一環で参加したバスケットボールワールドカップのスタッフ経験を結びつけました。実際に選手のケアや医療の現場を間近で見た経験から、医学への興味がより一層強くなったという点を具体的に記述しました。
「自己アピール」では、ご自身のどのような個性や体験を強調しましたか?
「行動力」と「コミュニケーション力」を自分の強みとしてアピールしました。前者については、CAS活動で行った医療施設でのボランティアで、自らイベントを企画した経験を挙げました。後者については、英語ディベートの県大会に参加し、論理的に意見を伝える能力を養った経験を記述しました。
「活動体験の記録」について、書いた内容や特に自信をもって書いた項目について教えて下さい。
英語の資格や国際的なイベントでのボランティア経験に加え、高校で必修だった空手の段位も記載しました。IBの活動に限らず、自身の個性や強みとなりそうな経験は積極的に書くように心がけました。実際に面接でも空手の経験について触れられたので、アピールに繋がったと感じています。
書類作成に当たり、生成AIは活用しましたか?
文章の執筆そのものではなく、アイデア出しの段階で活用しました。特に、志望理由書に深みを持たせるために、岡山大学の医学部にある研究室や、そこで行われている研究内容について調べる際に、効率的に情報を集める目的で使いました。
生成AIを情報収集やアイデアの壁打ち相手として活用するのは、現代の受験生にとって有効な手段の一つと言えるでしょう。ただし、最終的に書類に落とし込む内容や表現は、あくまで自分自身の言葉で、体験に基づいて記述することが何よりも重要です。
面接選考について
面接について何か事前情報はありましたか?
同じ大学を受験した先輩から、面接でロールプレイングがあると聞いていました。しかし、実際の試験ではその形式がなくなっており、プレゼンテーションに変わっていたので、本番では少し驚きました。
面接試験について、試験前に行った対策や準備があれば教えてください。
先輩からの情報を元に、学校の先生に協力してもらい、ロールプレイングの練習を中心に行いました。「部活動で未成年の同級生に飲酒を勧められたらどう断るか」といった具体的なテーマで、実践的な練習を重ねていました。また、基本的な対策として、志望動機を自分の言葉でしっかり話す練習も行いました。
学校の先生などとどのような面接練習を行いましたか?
志望動機やロールプレイングの練習に加え、万が一に備えて、英語の先生と英語で面接の練習も行いました。岡山大学の面接が日本語であることは分かっていましたが、どのような形式にも対応できるよう、準備は怠らないようにしていました。
IBスコアについて
IBのスコアに関して、医学部が選考対象とする「合計点39点以上」という基準 をクリアするために、どのような学習戦略を立てましたか?
IBの理系科目は、文系科目に比べて採点基準が明確で点数が安定しやすいと感じていたので、理系科目で確実に高得点を取ることを心掛けていました。過去問演習を繰り返す中で、知識が抜けている単元を見つけて、シラバスや教科書に立ち返って徹底的に復習することで、知識の穴がないように学習を進めました。
医学部受験では、特に理系科目の高い学力が求められます。IBの科目特性を理解し、自身の得意・不得意を分析した上で戦略的な学習計画を立てることが、高い目標スコアを達成するためには不可欠です。
岡山大学 医学部の受験体験談: 受験本番編
いよいよ入試当日の面接の様子について伺いました。
「面接」について、どのような形式でしたか?
受験者1人に対し、面接官は3人でした。まず、3つの資料が渡され、30分間で内容を読み込み、要点をまとめる時間が与えられます。その後、面接室に移動し、資料に基づいて指定されたトピックについてプレゼンテーションを行いました。全体の時間は25分から30分程度でした。
面接ではどのような質問をされましたか?
プレゼンテーションの後、通常の質疑応答に移りました。提出した書類に基づいて、CAS活動から学んだことについて深く質問されました。また、プレゼンの内容が「医師の過重労働」に関するテーマだったため、「自分が医師になったら、どのように自分の時間を見つけていくか」といった、将来像を問う質問もありました。
面接当日の雰囲気はどのようなものでしたか?
併願した他の大学と比較すると、全体的に和やかな雰囲気だったと感じています。面接官の先生は3名と人数は多めでしたが、圧迫するような厳しい質問は少なく、話しやすい環境を作ってくださったように思います。
面接の中で最も印象に残っている質問や、回答に窮した質問があれば教えてください。
「スポーツ医学を志望しているのに、なぜ岡山大学なのか」という質問が印象に残っています。これは鋭い質問でしたが、事前に研究室の名前などを調べて対策していたので、具体的に答えることができました。回答に窮したのは、研究と臨床の両立の大変さについて問われた質問で、医師という仕事の厳しさを改めて考えさせられました。
岡山大学 医学部の受験体験談: 最後に振り返って
最後に、受験全体を振り返っての感想や、後輩へのメッセージをいただきました。
大学選びの時に得ていた情報や描いていた感覚と、実際に入学をしてみて感じることにギャップがあれば教えてください。
IBでの学びと日本の大学の授業についていけるか不安でしたが、実際に入学してみると、そのギャップはほとんど感じませんでした。むしろ、IBで培った力が役立っていると感じます。また、岡山大学が想像以上にIBフレンドリーで、IB生専門の部署によるオリエンテーションなど、手厚いサポートがあったのは嬉しい驚きでした。
大学受験の際、IBをやっていて良かったと感じたことはありますか?
受験という観点では、EEやIA、CASといったIBのカリキュラム自体が、自然と自己推薦の材料集めになっていた点が良かったです。日々の学習や活動を振り返るだけで、自分をアピールする材料が揃っていました。大学入学後は、論理的な文章構成力や批判的思考力がレポート作成などで役立っていると感じています。
最後に、これから岡山大学医学部を目指すIB生の後輩たちへ向けて、「これだけはやっておいた方がいい」というアドバイスをお願いします。また、実際に入学してみて感じる岡山大学医学部の魅力についても、ぜひお聞かせください。
39点という基準をクリアするために、IAやEEは早めに終わらせ、最終試験対策に集中できる環境を作ることが重要です。面接ではプレゼン能力も問われるので、日頃から発表の機会を大切にしてください。岡山大学は、中国・四国地方の中核となる大学で関連病院も多く、実習先が豊富な点が魅力です。IBでの忙しさを乗り越えた経験があれば、入学後の医学の勉強もスムーズに進められると思います。皆さんの挑戦を応援しています。
まとめ
今回は、渡慶次さんにIB選抜による岡山大学医学部合格までの道のりを詳しく語っていただきました。夏休みから前倒しで準備を進める計画性、CASやEEといったIBの多様な学びを自己の強みとして言語化する自己分析力、そして大学の研究内容まで深く調べて面接に臨む探究心など、合格を掴むための具体的なヒントを数多く話していただきました。IBで培った力は、受験だけでなく、その先の大学生活でも必ずあなたの武器になるはずです。応援しています!