【カナダのトップ理系大学】Waterloo大学の現役生にインタビュー!
ウォータールー大学はカナダでトップクラスの知名度を誇る理系大学で、全ての学部にIBを使って出願をすることが可能です。また、勉強と有給での就労期間を組み合わせた「CO-OP」という特殊なプログラムを実施しています。今回の記事では、そんなウォータールー大学の基本情報や出願方法をお伝えするとともに、日本人在学生のインタビューをご共有いたします。
ウォータールー大学の基本的な情報
QS世界ランキング2025 | 世界: 115位 (2023年は112位) カナダ内: 5位 (2023年は5位) |
---|---|
学生数 | 約40000人 |
学生と院生の人数 | 大学生(学士):約36000人 大学院生(修士):約5200人 |
留学生の人数 | 大学生(学士):5739人 大学院生(修士):2008人 |
学科の数 | Mathematics学部:23個 Engineering学部:15個 Science学部:17個 Environment学部:9個 Health学部:7個 Arts学部:28個 |
強い学部 | Mathematics、Engineering |
合格の必須条件 (大学学部の場合) |
EEとTOKを差し引いた、42点満点中のスコアとなっています。 a Computer Science:32点以上 Math AA HLで6以上 English AをHLもしくはSLで必須 a Mathematics:30点以上 Math AA HLで6以上 English AをHLもしくはSLで必須 a Mechanical Engineering:32点以上 Math AA 4以上(HL推奨) Physis 4以上(HL推奨) Chemistry 4以上 English A 4以上 インタビューあり a 詳細はこちら |
必要なIELTSスコア | 6.5 overall 6.5 writing, 6.5 speaking, 6.0 reading, 6.0 listening |
卒業率 | 83.8% |
出願締切日 (2025年入学の例) | ほとんどの学部が2025年1月もしくは2月 詳細はこちら |
入学時期 (2025年入学の例) | 2025年9月 |
*情報は変更される場合がございます。出願の際は、ご自身で大学の公式サイトをご確認ください。
出願の流れ
ウォータールー大学に出願をする際は、オンタリオ州の共通出願システムであるOUAC (Ontario Universities’ Application Centre) を利用します。OUACでは、オンタリオ州の各大学につき最大3つのプログラムに、一斉にオンラインで出願ができます。OUACのアカウントは、こちらのリンクから新規登録ができます。
新規登録を終えた後は、提示される手順に従えば簡単に大学に出願をすることができます。簡易的に出願の流れをご説明をすると、①個人情報の入力→②出願する大学とプログラムの選択→③出願費の支払い→④出願となります。①で必要な個人情報は、住所や学歴などです。②で選択するプログラムが増えるごとに、出願費が高くなります。また、Waterloo大学のEngineering学部を希望の場合は、数ある学科の中から一つしか出願ができません。
QUACで出願を終えると、ウォータールー大学からメールで「WatIAMアカウント」作成手順が送られてきます。このアカウントを使用して「Quest」というウォータールー大学専門の出願ポータルにログインをする必要があります。Questでは、成績証明書や英語能力試験やIBの結果など、必要書類を添付します。なお、推薦状の提出は推奨されていません。Questを使って、出願状況の追跡や合否の結果などを確認することが可能です。
Engineering、Math学部、もしくはPharmacy、Optometry、Social Work学科に出願をする方は、Admission Information Form (AIF)に記入をする必要があります。AIFでは志望動機や性格などに関する質問が、文字制限付きで聞かれます。こちらのリンクには、AIFで聞かれる可能性のある質問の例が記載されています。さらに、Engineering学部の場合はオンラインインタビューもあります。
その他の情報
CO-OPプログラム
カナダの数多くの大学が実施している「Coperative Education (CO-OP)」は、大学の勉強と有給での就労期間を組み合わせたプログラムです。例えば、ウォータールー大学では4ヶ月間の大学での勉強と、4ヶ月間のインターンを交互に行う学科もあります。大学を卒業する前に社会経験を積むことができるため、自分に合ったキャリアを探すことができるメリットがあります。後の、現役ウォータールー学生のインタビューで、CO-OPに関する質問をしているのでぜひご確認ください。
奨学金
大学では、留学生のための奨学金が数多く用意されています。出願時に自動的に応募されるものもありますが、給付金がより高い学部別の奨学金は、各自応募をする必要があります。詳細はこちらのリンクからご確認ください。出願時に提出する成績やAIFの内容を元に、合格者が決まります。
もし奨学金に落ちてしまっても、Coopプログラムのインターンで得た給与を学費に回すことができるので、経済的に非常に効率的な大学です。
ファウンデーションコース
IBの条件は満たしていても、英語試験の条件を満たせていない場合は、Bridge to Academic Success in English (BASE)プログラムを通じて大学学部に進学が可能です。希望する学科がBASEを提供しているのか、こちらからご確認ください。
提出した英語能力試験のスコアと、実際の入学要件に基づいて、どのBASEセッションに参加できるかが決まります。
現役ウォータールー生にインタビュー
今回は、実際にウォータールー大学でMathematicsを専攻している井伊さんにインタビューをしました。リアルな情報をお届けしているので、皆さんがウォータールー大学への進学を考える際に参考になれば幸いです。
井伊さんの紹介
所属大学 | University of Waterloo |
---|---|
所属学科 | 学部:Mathematics Faculty 学科:Statistics Major, Computer Science Minor |
出身高校の区分 | 海外のインターナショナルスクール |
Final Exam | May 2022(2022年5月) |
IBスコア | 41点 |
IBの科目 | HL: Physics=6, Mathematics AA=7, Economics=7 SL: Chemistry=7, English A=6, Japanese A=5 TOK+EE=3 points |
EEのテーマ (科目:Japanese) |
『おバカさん』に登場するガストンの無償の愛は、どの様に日垣兄弟と遠藤を影響したのか |
IELTSスコア | 8.5点 |
大学選びについて
Q:どの大学を受験しましたか?
A:出願した学科は、すべてMathematicsもしくはComputer Scienceに関連するものです。
カナダ:University of Waterloo、University of British Columbia、Simon Fraser University、University of Toronto、Queens University
オランダ:University of Groningen
Q:志望大学を選択する際に何を重視していましたか?
A:カナダでは、勉強とインターンシップを組み合わせたCo-opプログラムを実施している大学があります。例えば、私の専攻では4か月間の大学での勉強と、4か月間のインターンシップが交互に行われます。学生のうちから、有給で働ける環境に魅力を感じたため、カナダの大学を主に受験しました。
また、志望大学を選択する際には、プログラムの質も重視していました。大学の公式ページや、Redditを活用して、各大学のカリキュラムの詳細を確認していました。
*Redditは、海外版のYahoo知恵袋のようなものです。
Q:所属大学を選んだ理由はありますか?
A:受験したすべての大学から合格をいただきましたが、Waterloo大学数学部の知名度の高さや、Co-opプログラムが卒業条件であることが、選ぶ際の決め手でした。インターンを5回以上終えなければ、卒業ができないという仕組みに魅力を感じました。
Q:情報収集で一番大変なことはなんでしたか?
A:日本人留学生の人数を把握することです。大学の公式サイトには、留学生全体の人数は記載されていましたが、国籍別の情報は見つかりませんでした。海外の大学で、たまには日本語を話せる機会が欲しかったので、事前に知っておきたかったです。
大学生活について
Q:一番楽しいことと、大変なことを教えてください
A:
楽しい点
Co-opプログラムのインターンシップをする際は、世界中どこでも勤務可能できます。自分が働いてみたい・住んでみたい国で仕事を探せるのが大きな魅力です。さらに、インターン中の空いた時間には、カフェ巡りや町の散策など、自分の好きなことに取り組めます。住む環境が一変するため、新鮮な気持ちで日常生活を送れることが楽しいです。
大変な点
一方で、4か月ごとに新しい仕事を探すのは大変でもあります。履歴書の作成や面接準備などを、大学の勉強と並行して進めなければなりません。また、4か月のインターン後には、以前に習った勉強内容を復習しないと、大学の授業についていけないことがあります。仕事と勉強を常に両立する生活に、負担を感じることもあります。
また、留学中は自炊を心がけているのですが、アジア系の食品の価格が高いことが少し悲しいです。
Q:大学の魅力を2つ教えてください
A:一つ目の魅力は、やはりCo-opプログラムを通じて、卒業までにインターンを6回経験できるという点です。就活前に興味のある業界で働けることは、強みになると思います。二つ目の魅力は、サークルがたくさんあることです。Mathematicsに関連するサークルだけでもたくさんあります。将来就きたい職業や興味のある業界に関係するサークルに入ることができます。
Q:IBを学んでいて良かったなと感じることはありますか?
A:IBの時は勉強量が非常に多く、複数の科目を同時に学ぶ必要がありました。その経験のおかげで、大学に進学してから勉強量の多さに驚くことはありませんでした。IBで培ったタイムマネジメントのスキルは、大学でも役に立っています。勉強カレンダーの作成や、やるべきことのリスト化は、今でも常に行なっています。
またIAやEEなどで、自分で選んだトピックを深くリサーチした経験も、役に立っています。数学のIAでは、単に計算をするだけではなく、計算結果がどのような意味を持つのかを考察する必要がありました。この視点は、大学の試験の解答を考える際に重要になってきます。
受験について
Q:受験プロセスで一番大変だったことはなんですか
A:出願時に最も大変だったのはAIFの記入です。私の出願した学科では、900 Charactersのエッセイを3つくらい書く必要があった記憶があります。
Q:志望動機を書くコツはありますか?
A:同じ高校からWaterlooのMathematics Majorに進学した、日本人の先輩の経験談を参考にしていました。また、出願エッセイ(AIF)に関しては、回答方法をネットで検索したり、高校の数学の先生にアドバイスをもらっていました。添削や代筆をお願いしたことはありません。
Q:受験に関する反省点はありますか?
A:高校時代の課外活動を、もう少し真面目にやっておけば良かったと反省しています。様々な活動を率先してやっておけば、出願時のアピールポイントにつながったのかなと思っています。また、自分の進学したい学科に関する課外活動をあまり行っていなかったため、出願エッセイに書ける内容が少なかったです。「数学を学びたい」というパッションを伝えきれなかった気がします。
Waterloo大学へ進学希望のIB生へ
Q:大学進学前に知りたかった情報を教えてください
A:
場所
私自身、都心にある高校に通っていた経験があるため、Waterloo大学のキャンパス周辺にはあまりすることがなく、少し物足りなさを感じることがあります。週末はショッピングくらいしか楽しみがありません。都会ではない場所だと、生活がつまらなく感じることもあるため、進学先の環境についてもっと調べておくと良いと思います。
事前準備
大学入学前に、事前に基礎的な知識を勉強しておくことで、大学の授業をよりスムーズに理解できると思います。Waterlooの数学科では、1年目にラケット(Racket)というプログラミング言語を学びます。私はこの言語を高校で学んだことがなく、大学の講義で少し遅れをとってしまいました。
コミュニティの規模
Waterloo大学には、日本人学生がほとんどおらず、数学専攻の日本人には3人しか会ったことがありません。日本語で話せる相手があまりいないことを、事前に知っておいて欲しいです。
Q:Waterloo大学へ進学したいIB生にアドバイスをお願いします
A:
IBに関して
IBでは、自分が勉強しやすい環境を見つけることが大切です。私は、家の近くの図書館で勉強をしていました。環境が整えば、勉強をルーティン化しやすくなり、成績アップにつながると思います。
大学に関して
先ほどもありましたが、進学前に基礎を学んでおくと授業の理解度が高まります。大学の初めに焦らずに済みます。また、数学科に出願を考えている方は、Euclid ContestというWaterloo主催の数学大会に参加することをおすすめします。大学の出願時に、この大会に参加したかを回答する項目があります。参加していた方が選考に有利になるかもしれません。
寮に住む場合、部屋を出る時にスリッパがあると便利です。特に共用スペースやシャワーを利用する際に役立ちます。寮生活の小さな快適さが、大学生活の満足度に意外と影響します。
IB生活について
Q:IB生の時は毎日何時間勉強していましたか?
A:Year 12が始まってからは、休みの日は8〜11時間勉強をしていました。試験期間中は毎日平均10時間は勉強していたかもしれません。
Q:おすすめの勉強法はありますか?
A:勉強を始める前に、今日中に終わらす問題をリストアップしていました。優先順位をつけ、そのリストに書かれたものを終わらせるまで席から立たないと決めていました。また、IBの過去問には、Year 12の序盤から取り掛かっていました。
Q:スランプを感じたことはありますか?
A:Economics HLのPaper 1でスランプを感じていました。どれだけ暗記をしても、それをエッセイで説明することができず、行き詰まってしまいました。その度に悲しくなり、モチベーションが下がることもありました。しかし、そんな中でも諦めずに繰り返し練習を続けることで、徐々にコツをつかむことができました。
Q:どのような課外活動を行っていましたか?
A:
1. Service
高校時代には、タイのチョコレート農家を支援するためのグループを立ち上げました。農家の人々が低賃金で働いている現状を少しでも変えたいと思い、彼らのチョコレートを購入してアイスクリームやチョコボールを作り学校内で販売しました。得た利益をすべて農家に寄付しました。このプロジェクトでは、「Financial Management Head」として収支管理や運営を担当していました。
2. Creativity
高校の合唱団に所属していました。
3. Activity
パーソナルトレーナーの指導を受けながらジムでトレーニングをしていました。
最後に
ここまで読んでくださりありがとうございます。この記事が、ウォータールー大学の学業の詳細や、カナダに留学をすることへの具体的なイメージをお伝えできていれば幸いです。この先、海外の大学にIBを使って出願をする方は、ウォータールー大学への出願を検討する際にぜひこの記事を参考にしてみてください。