【IB受験】早稲田大学国際教養学部(SILS)のAO入試体験談!現役学生2名にインタビュー

国際バカロレア(IB)を学んでいる皆さんの中には、国内大学への進学を考えている方も多いのではないでしょうか。早稲田大学 国際教養学部 (SILS)は、国内大学でありながらリベラルアーツを英語で学ぶことができIBで培ったリベラルアーツ教育を深められる点が魅力的です。今回は、そんな早稲田大学 SILSをAO入学試験(4月入学)国外選考で受験・合格し、現在在籍している2人のIB卒業生の受験体験談・インタビューをお届けします。

早稲田大学 SILSについて

SILSとは?

早稲田大学国際教養学部(School of International Liberal Studies: SILS)は、その名の通り、国際性とリベラルアーツ教育を大きな柱としています。原則として全ての授業が英語で行われ、国内大学であっても世界中から集まる学生と共に学ぶことができるのが最大の特徴です。学問分野の垣根を越えて、人文科学、社会科学、自然科学など幅広い領域から自分の興味関心に合わせて主体的に科目を履修できるカリキュラムが組まれています。また、多くの学生が1年間の海外留学を経験し、グローバルな視野と実践的な語学力を養います。

AO入学試験 (4月入学) 国外選考について

SILSでは、多様な学生を受け入れるため、様々な入試制度を設けています。今回メインにご紹介する「AO入学試験(4月入学)国外選考」は、主に海外の教育課程で学んだ生徒を対象とした入試です。「国外選考」という名前ですが、IB Diplomaを取得(または取得見込み)であることも出願資格の一つとされているので、国内の高校に在籍していても出願することが出来ます。選考は、提出された書類(成績証明書、IBスコア、英語能力試験スコア、エッセイなど)に基づいた総合的な審査で行われます。必要に応じてオンラインでの面接が課される場合もありますが、基本的には書類選考が中心となるため、出願書類の準備が合格の鍵を握ります。

インタビュイーのプロフィール

今回お話を伺ったお二人のプロフィールをご紹介します。同じSILSのAO入試(国外選考)で合格しましたが、IBを学んだ環境や選択科目、大学選びの軸はそれぞれ異なっています。

 

Y.Rさん Y.Mさん
所属大学・学部 早稲田大学 国際教養学部 早稲田大学 国際教養学部
受験大学 (併願校) ICU, 上智大学, トロント大学, カリフォルニア大学 (UC系), 南カリフォルニア大学 (USC) UCL, キングス・カレッジ・ロンドン, LSE, エディンバラ大学
出身高校の区分 海外校 (シンガポール) 国内一条校
最終試験 受験時期 11月 5月
IB選択科目・スコア – Japanese A (SL)
– English B (HL)
– Business Management (HL)
– Psychology (SL)
– Sports, exercise adn health science (SL)
– Math: A&A (HL)
スコア: 30点台後半
– Japanese A (SL): 5
– English B (HL): 7
– Environmental System and Society (SL): 7
– Physics (HL): 7
– Chemistry (SL): 7
– Math: A&A (HL): 7
– CAS / TOK: 2合計スコア: 42
これまでの教育歴 小学校4年生からシンガポールに移住。インターナショナルスクールでIGCSEを経てIBDPを履修。 日本の公立小中学校を卒業後、高校から一条校のIBコースに進学。

早稲田大学 国際教養学部 (SILS) の受験体験談: 大学選び編

大学受験の第一歩は、志望校選びから始まります。まず、お二人は数ある選択肢の中からどのようにしてSILSを選んだか見ていきます。

どのように出願する大学を選びましたか?この併願校・入試方法を選んだ理由について教えてください。

Y.Rさん
IBの勉強に集中したかったので、SATのような追加の試験対策が必要なく、「IBのスコアだけで出願が完結する大学」をメインに探しました。また、小学生から続けている野球を大学でも続けたかったので、野球ができる環境があるアメリカやカナダの大学を併願校として選びました。IBはヨーロッパ発祥のプログラムですが、ヨーロッパの大学を受験しなかったのはそれが理由です。

Y.Mさん
海外の大学を併願していましたが、当時は経済やファイナンス分野に興味があったので、その分野に強い大学を選んでいました。ただ、「絶対にこの分野に進みたい」という意志があったわけではなく、大学に入ってから自分のやりたいことを見つけたいという気持ちも強かったです。そのため、日本国内で、かつ英語でリベラルアーツを学べる大学を探し、SILSを第一志望に考えました。

他の選択肢もある中で、最終的に早稲田SILSを選んだ決め手は何でしたか?SILSのどのような点に、魅力を感じましたか?

Y.Rさん
約9年間海外で生活した中で、日本に帰りたいという気持ちが強くなったのが一番の理由です。ただ、中学・高校と全ての授業を英語で受けてきたので、大学の講義をいきなり日本語で受けるのは難しいと感じていました。その点、SILSは日本にいながら英語で授業を受けられますし、就職のことも考えると最適な選択でした。また、ICUや上智大学も検討しましたが、SILSには知り合いが一番多く、入学後のイメージが湧きやすかったのも決め手の一つです。

Y.Mさん
国内の他の大学とも比較しましたが、SILSが最も教育レベルが高いと感じました。また、大学の規模が大きく、多様な学生が集まっている点や、卒業生のネットワークが強い点にも魅力を感じました。そして、海外で暮らした経験がなかったので、「1年間の留学が必須」という制度を使って、海外での生活を経験してみたいと思ったことも大きな理由です。

「日本にいながら英語で学べる」という点は、共通の魅力だったようです。Y.Rさんのように海外生活が長い方にとっては日本の大学で学ぶ上での安心材料となり、Y.Mさんのように国内で学んできた方にとっては海外への扉を開くきっかけとなる。SILSは、多様なバックグラウンドを持つIB生それぞれのニーズに応えられる環境だと言えるでしょう。

早稲田大学 国際教養学部 (SILS) の受験体験談: 受験対策・受験編

SILSのAO入試(国外選考)は書類選考がメインです。合格を勝ち取るために、二人がどのような対策を行ったのか見ていきます。

出願書類について

2026年度時点での情報では、主な出願書類は以下の通りとなっています。年度によって変更される可能性があるため、必ず最新の募集要項を確認してください。

  • オンライン願書
  • 卒業(見込み)証明書
  • 成績証明書
  • 標準化試験のスコア (IBDPのPredicted GradesまたはFinal Gradesなど)
  • 英語能力試験のスコア (TOEFL、IELTSなど)
  • エッセイ
  • 学術的な栄誉や課外活動を証明する書類(任意)
  • パスポートのコピー

出願書類はいつ頃から準備しましたか?

Y.Rさん
本格的に準備を始めたのは、11月の最終試験の約3ヶ月前、7月頃です。高校のモックテストが終わったその日から、受験に関する情報収集を一気に始めました。それまではIBの勉強に集中していました。

Y.Mさん
夏休み頃から、なんとなく書き始めました。エッセイのテーマが2つあったのですが、志望理由に近い方のテーマから着手しました。

出願に必要な英語外部検定試験は、どの試験を選択し、目標スコアをいくつに設定しましたか?行った対策もあれば教えてください。

Y.Rさん
IELTSを選択しました。明確な目標スコアはありませんでしたが、最低でも7.0は取れればいいなと考えていました。IELTSはIBのEnglish Bと問題形式が似ていると感じたので、特別な対策はあまりしませんでした。ただ、ライティングは少し点が取りづらかったので、インターネットやYouTubeで評価のポイントを調べて練習しました。

Y.Mさん
TOEFL iBTを提出しました。SILSのウェブサイトで合格者の平均スコアが100点以上とあったので、そこを目標にしました。IBの勉強以外では、特にスピーキング対策に力を入れました。機械に向かって話す形式に慣れることや、時間内に論理的に話す練習を重点的に行いました。

英語外部検定試験については、選択する試験等によって対策の仕方が変わってくるようです。IBの学習のみで十分対応できる方もいれば、特定の技能(スピーキングなど)を追加で対策する必要がある方もいます。自分の得意・不得意を見極め、早めに目標スコアを取得しておくことが、後々のIBの勉強との両立を楽にする鍵となりそうです。

IBでの経験を志望理由に盛り込みましたか?どのようにSILSでの学びに繋げて説明したか教えてください。

Y.Rさん
IBの勉強内容といった学術的な面は、あまり深く書きませんでした。それよりも、IBの2年間を通じて続けたソフトボールチームのキャプテンとしての経験を主に書きました。CASについても、IBで受験する人は皆それぞれの経験を書くと思ったので、他の受験生との差別化が難しいと考え、あえて触れませんでした。

Y.Mさん
はい、盛り込みました。例えば、MathのIAでビットコインの分析を行った経験を挙げ、「データ分析のような実践的なスキルを身につけた」とアピールしました。CASでは、音楽活動でコンサートを企画・運営した経験から、リーダーシップや創造性をアピールしました。これらのIBでの経験で培ったスキルを、SILSでの経済学や統計学の学びでさらに深めていきたい、という形で繋げて説明しました。

IBの経験の活かし方について、お二人のアプローチは大きく異なりました。どちらが正解というわけではなく、自分自身の経験の中で、最も個性を発揮でき、SILSでの学びに繋がるストーリーを語れるものは何かを考えることが重要です。

エッセイで出題されたテーマと執筆した内容について教えてください。

Y.Rさん
「歴史上の人物があなたの知的発達にどのように影響を与えたか」というテーマでした。私はイギリスの元首相ウィンストン・チャーチルを取り上げました。彼が第二次世界大戦という逆境の中で発揮したリーダーシップと、私が弱小だったソフトボールチームをキャプテンとしてまとめ上げ、大会で結果を残した経験を重ね合わせ、「逆境を乗り越えるリーダーシップ」について論じました。

Y.Mさん
「尊敬する人物」というテーマだったと記憶しています。私は、通っていた高校の数学の先生について書きました。その先生は心から数学を愛している方で、その情熱に私たち生徒が引き込まれ、クラス全体で数学に夢中になった経験を伝えました。そして、人の心を動かす情熱の素晴らしさに触れ、「自分もSILSでそのような情熱を持って学びたい」という意欲を伝えました。

同じ年度の試験であっても異なるテーマが出題されることもあるようです。執筆に充てられる時間も十分には確保出来ないため、日頃からの学びの蓄積をそのままエッセイに反映させることが重要だと言えます。

エッセイはどの程度の期間で書き上げましたか?

Y.Rさん
2週間くらいで書き上げました。7月中旬から始めて、7月中には完成させていました。

Y.Mさん
夏休み頃から書き始めて、9月くらいに完成したと思います。

書類作成に当たり、生成AIは活用しましたか? どのように活用したか教えてください。

Y.Rさん
はい、活用しました。ただし、文章を書いてもらうのではなく、アイデア出しの段階で使いました。自分の頭の中にあるアイデアをどのように組み合わせれば面白い論理展開になるか、といった壁打ち相手のような形で活用しました。執筆自体は、最初から最後まで全て自分で行いました。

IBの最終試験にと並行して受験準備を進める上でのスケジュール管理で工夫した点について教えてください。

Y.Rさん
「計画を立てること」と「睡眠をしっかりとること」を最も大切にしていました。受験のことが気になってIBの勉強に集中できない、という状況を逆手にとって、「IBの勉強を4時間頑張ったら、ご褒美として1時間エッセイを書く時間を与える」というルールを自分の中で作って両立を図りました。

Y.Mさん
SILSの入試は書類選考だけだったので、とにかく早めに準備を進めることを意識しました。特に、負担になりがちな英語外部検定試験のスコアを早い段階で取得しておいたので、夏休み以降は出願書類の作成に集中できました。

早稲田大学 国際教養学部 (SILS) の受験体験談: 最後に振り返って

最後に、受験を乗り越え、実際にSILSで学ぶお二人に、大学生活のリアルな感想や、後輩へのアドバイスを伺いました。

大学選びの時に得ていた情報や描いていた感覚と、実際に入学をしてみて感じることにギャップがあれば教えてください。

Y.Rさん
良い意味でのギャップがありました。入学前は、野球を軸に勉強も頑張る、というイメージでしたが、実際にはそれ以上に、国内外の友人との繋がりが広がったり、自分の可能性や選択肢が想像以上に多いことに気づかされたりしました。周りの学生の意識が非常に高く、1年生からインターンを始めたり、起業を考えていたりする友人もいて、良い刺激を受けています。

Y.Mさん
学生の雰囲気はイメージ通りでしたが、勉強に関しては「すごくやる人」と「あまりやらない人」の差が想像以上に大きいと感じました。大学側から細かく干渉されることはないので、自分でしっかりと目標や方向性を決めて学んでいかないと、何も得られずに卒業してしまうかもしれない、という良い意味での危機感があります。

大学受験の際、IBをやっていて良かったと感じたことはありますか?

Y.Rさん
たくさんあります。特に、大学のレポートを書く際の引用の作法は、IAやEEExtended Essayで徹底的に叩き込まれたので、今すごく役立っています。また、IBを通じて身についた計画性や、英語で論理的な文章を書く力は、大学での学びに不可欠だと感じます。

Y.Mさん
IBでの学びが、そのままエッセイのネタになったので、書く内容に困らなかったのは良かったです。大学に入ってからも、IB時代の経験のおかげで、大量の課題や自己管理にもうまく対応できていると感じます。IBは大変でしたが、あの時頑張っていて本当に良かったと思います。

最後に、これからSILSを目指すIB生の後輩たちへ向けて、「これだけはやっておいた方がいい」というアドバイスをお願いします。また、実際に入学してみて感じるSILSの魅力についても、ぜひお聞かせください。

Y.Rさん
アドバイスは「とにかく優先順位をつけること」です。IB生は本当に時間がないので、限られた時間の中で今何をすべきかを常に明確にすることが大切です。SILSの魅力は、本当に多様な国や文化のバックグラウンドを持つ人たちが集まっているところです。交換留学生も多く、世界トップクラスの大学から来ている学生と友達になれる機会もあります。様々な人と繋がれる環境は、日本で一番だと思います。

Y.Mさん
アドバイスは、「準備は計画的に行うこと」と「IBの最終試験に向けた勉強もしっかりやること」です。IBの勉強は、大学に入ってからも絶対に役に立ちます。SILSの魅力は本当に色々な人がいることです。バックグラウンドだけでなく、興味を持っていることや将来の夢も人それぞれ全く違うので、毎日が新しい発見の連続でとても面白いです。

まとめ

今回は、早稲田大学SILSにAO入試で合格したIB卒業生2名の体験談をお届けしました。書類選考が中心のSILS入試では、IAやCASなどの経験が、あなただけの強力なアピール材料になります。SILSを目指す皆さんは、計画的な準備を心がけ、IBでの経験をSILSでの学びにどう繋げたいかを具体的に示すことを意識してみてください。IBで培った力は、受験だけでなく、その先の大学生活でも必ずあなたの武器になるはずです。応援しています!