【IB受験体験談】ウォーリック大学合格者インタビュー! 国内インターからイギリスに!

今回は、国内の高校からインターナショナルスクールへ転入し、一度はコンピューターサイエンス専攻としてブリストル大学に入学、その後、自分の本当にやりたいことを見つめ直し、数学専攻としてウォーリック大学の合格を掴んだBさんにインタビューしました。
なぜ専攻を変えてまで再受験の道を選んだのか、イギリス大学受験におけるパーソナルステートメントの秘訣、そしてIB生ならではの大学生活のリアルまで、詳しくお話を伺います。

インタビュイーのプロフィール

所属大学・学部 ウォーリック大学 数学科
受験大学・併願校 1年目 (CS専攻): オックスフォード大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、UCL、ブリストル大学
2年目 (数学専攻): インペリアル・カレッジ・ロンドン、ウォーリック大学、エジンバラ大学、ブリストル大学 (数学科)
出身高校の区分 インターナショナルスクール (高校2年次に国内の高校から転入)
IB選択科目・スコア HL: Math (7), Chemistry (6), Biology (6)
SL: Japanese A (7), English A (5), Economics (7)
TOK/EE: 2点
最終スコア: 41点
これまでの教育歴 地域の公立小学校 → 都内私立中学校・高校 (高校2年6月まで) → インターナショナルスクール (11年生として編入)

IB41点で掴んだウォーリック大学合格体験記

なぜ海外大学を選んだ? 都内私立中学校・高校からインターナショナルスクールへの転入

これまでの教育経歴と、インターナショナルスクールへ転入した理由を教えてください。

私は生まれも育ちも東京で、公立小学校を卒業後、中学受験を経て都内の私立中学校・高校に入学しました。もともと海外大学への進学を考えて中学受験を選びました。しかし、海外大学への進学実績の多くは帰国生枠で入学した生徒たちのもので、私のような一般生へのサポートは、東大をはじめとする国内大学受験が中心でした。このままでは理想の進路は実現できないと感じ、高校2年生の時に、より海外大学進学に特化した環境を求めてインターナショナルスクールへ転入することを決意しました。

筆者
なるほど、名門校ならではの気づきですね。自分の目標に合わせて環境を変える決断力、素晴らしいです。一般生からインターへの転入は、英語力的にも大変だったのではないでしょうか?

Bさん
はい、転入当初は英語の授業についていくのがやっとでした。ただ、家族がしてくれたことと、もともと読書が好きで英語の本を読んでいたことが助けになりました。理系科目は言語の壁が比較的低いので、HLでは数学・化学・生物を選択し、スコアを伸ばす戦略を取りました。

イギリスを選んだ理由と大学選びの軸

なぜアメリカではなく、イギリスの大学を進学先として選んだのですか?

当初はアメリカの大学も視野に入れていました。しかし、高校生の時にビジネスコンテストでアメリカを訪れた経験が大きく印象に残っていて、そこで出会った同級生との交流を通して、アメリカ特有の競争的な雰囲気や、少し表面的な人間関係が自分には合わないと感じました。一方で、イギリスには兄や叔母が住んでおり、安心感がありました。学術的な探求を重視するイギリスの大学のカラーが、自分の性格にも合っていると感じ、イギリスの大学に絞ることにしました。

1年目の大学受験(コンピューターサイエンス専攻)について教えてください。

1年目の受験では、コンピューターサイエンス(CS)専攻で出願しました。元々数学が一番好きだったのですが、「手に職をつけたい」という思いからCSを選びました。オックスフォード大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、UCL、そしてブリストル大学に出願し、結果的にブリストル大学から合格をいただきました。正直なところ、第一志望の大学には届かず、悔しい結果ではありました。今思えば、この時の専攻選びが、後の再受験に繋がる大きな転機だったと思います。

なぜ1年で専攻を変更し、再受験しようと決意したのですか?

ブリストル大学でCSを学び始めて、これは違う、と感じるようになりました。特に、1、2年次は必修科目がほとんどで、自分の興味とは異なる分野の授業も多く受けなければなりませんでした。このままの状態で良い成績を収め、目標としていた大学院進学を目指すのは難しいと感じました。それならば、自分が本当に好きで、得意な数学の分野でトップを目指した方が、結果的に自分のためになるのではないかと考え、1年で数学科に転向し、再受験することを決意しました。

筆者
大きな決断でしたね。でも、自分の気持ちに正直に行動できるのはBさんの強みだと感じます。多くの学生が「せっかく入った大学だから」と妥協してしまう中、1年間で見切りをつけて行動に移すのは勇気がいることですよね。これは多くのIB生にとっても重要な視点かもしれません。 

2年目の大学選びでは、どのように情報収集し、大学を決定しましたか?

2年目は、「数学科が強い大学」という明確な軸で大学を探しました。大学全体の総合ランキングも参考にしますが、イギリスの大学は学部ごとの評価が非常に重要です。なので、数学分野のランキングを特に重視しました。また、オープンデーに参加して在学生に話を聞いたり、大学のウェブサイトで教授陣や授業形態、卒業後の就職状況を調べたりもしました。意外と役立ったのが、海外のオンライン掲示板の「Reddit」です。そこでは、受験生や在学生のリアルな声が多く載っていて、公式情報だけでは得られない貴重な情報を得ることができました。

数学への興味はIAから!数学専攻を選んだ決め手

多くの理系科目がある中で、なぜ数学を専攻しようと思ったのですか?

元々、証明問題が解けた時の達成感や、その理論の美しさが好きで、数学は得意科目でした。しかし、専攻として数学を生涯学びたいと確信したのは、IBの課題がきっかけです。12年生の時に書いた数学のIAで、大学で学ぶ「テイラー展開」という手法を用いて飛行機の軌道を予測する研究をしました。初めて学問的な研究に触れ、数学の奥深さと面白さに完全にはまりました。「これを大学でもっと深く学びたい!」と強く感じるようになり、数学科を選ぶ決め手になりました。

筆者
IAがきっかけで自分の専門分野を見つける、というのはIB生ならではの素晴らしい体験ですね!ただ問題を解くだけでなく、自分でテーマを見つけて探求するIAのプロセスが、学問への興味を深める上でいかに重要かが分かります。 

イギリス大学受験対策

HLの高スコアが合否を分ける!イギリス大学特有の評価基準

イギリスの大学に合格するために、IBのスコアで特に重要なことは何ですか?

イギリスの大学、特にトップ校を目指す上で最も重要なのは、HLのスコアです。大学から提示される条件付き合格では、IBの総合点に加えて、「HLの3科目で7, 7, 6点を取ること」といったように、HL科目のスコアが個別に指定されることがほとんどです。これは、3〜4科目を深く学ぶイギリスのA-Levelという教育課程と比較して評価されるためです。SLのスコアももちろん大切ですが、まずはHLで高得点を取ることが合格への鍵となります。

IAの経験を武器に!数学のパーソナルステートメントの作成

パーソナルステートメントはどのように書き進めましたか?

まずは学校の進路カウンセラーに相談し、過去に合格した先輩たちのパーソナルステートメントをいくつか見せてもらいました。そこで、「なぜこの学問を学びたいのか」「そのためにどんな経験をしてきたか」「大学で何をしたいか」という基本的な構成を学びました。いきなり書き始めるのではなく、まずは自分の経験やアピールしたいことを箇条書きで全て書き出し、そこからエピソードを深掘りして構成を組み立ててから、文章に落とし込んでいきました。

パーソナルステートメントでは、どのような経験をアピールしましたか?

やはり一番アピールしたのは、数学のIAでの経験です。ただ「飛行機の軌道予測の研究をしました」と書くのではなく、「その研究のどの部分に特に惹かれたのか」「なぜその数学的な手法が美しいと感じたのか」「この探求心を持って大学の研究にどう貢献したいか」といったように、自分の内面的な動機や考察を具体的に記述することを心がけました。表面的な事実の羅列ではなく、自分の経験を通して何を学び、何を感じたのかを伝えることが、自分らしさを出す上で重要だと思います。

入学後に感じたリアルと後輩へのメッセージ

想像以上に多忙なブリストル大学での学生生活

1年在籍したブリストル大学での生活はどうでしたか?

ブリストルはロンドンから電車で1時間半ほどの場所にあり、ユニクロが出店するくらい都会で、生活に不便はありませんでした。ただ、私の所属していたCS専攻は想像以上にハードでした。他の学部は週15時間程度の授業が一般的なのですが、CS専攻は週27時間も授業があり、月曜から金曜まで朝から夕方までスケジュールが埋まっている状態でした。他の学部の友人がソサエティ活動などを楽しんでいるのを横目に、課題に追われる毎日でしたね。

IB生へのメッセージ

イギリスの大学の成績評価について教えてください。

イギリスの大学の多くは、1年目の成績が最終的な学位評価に含まれないという特徴があります。評価の対象となるのは2年次と3年次の成績です。そのため、1年目は少し心に余裕を持って、新しい環境に慣れたり、様々なことに挑戦したりする時間にすることができます。このシステムは、特に日本から初めて海外の大学に進学する学生にとっては、大きなプレッシャーを感じずに大学生活をスタートできる良い点だと思います。

最後に、これからイギリスの大学を目指すIB生へアドバイスをお願いします。

イギリスの大学は、入学した瞬間から専門的な学びが始まります。IBのように幅広く学ぶのではなく、HLで選択した1科目をさらに深く掘り下げていくイメージです。「この学問を突き詰めたい」という強い情熱がないと、途中でつらくなってしまうかもしれません。私のように、安易な気持ちで専攻を選んで後悔しないためにも、自分が本当に何を学びたいのかを真剣に考えてみてください。もしやりたいことが明確でないなら、アメリカの大学や、教養課程のあるスコットランドの大学などを視野に入れるのも良い選択だと思います。