【2025年度版】現役北大生に聞いた!北海道大学の国際総合入試とは?

2024年8月19日

今回は、北海道大学の国際総合入試について紹介していきます!北海道大学は札幌に広大なキャンパスがあり、地方都市という立地にありながら自然豊かで憧れを持つIB生も多いと思います。しかし一方で、

『IBを使って北大を受験したいけどスコアが心配…』

『北海道大学の国際総合入試って本当に合格できるの?』

このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は皆さんの不安を解消するため、実際にIB入試を経験した現役北大生へインタビューを行いましたので、ぜひ受験の参考にしてください。

国際総合入試とは?

2018年度から開始された国際総合入試は、IB生にとって有利な入試方法となっています。IB生はDP、もしくはSATなどの成績を用いて受験することができます。また、受験方法も書類選考(IBスコア・SATスコア含む)と口頭試問のみなので、筆記試験に向けての対策が必要ないことも大きな魅力のひとつです。

実施時期 令和6年(2024年)10、11月
入学時期 令和7年(2025年)4月
実施する学部・学科 総合教育部
(2年次から学部学科へ所属)
選考方法 書類審査及び面接・口述試問による選考
募集定員 総合入試文系:5名
総合入試理系:10名
募集要項 募集要項はこちら

北海道大学

入試名称:
国際総合入試

学部学科等の決定について

国際総合入試は帰国子女入試や一般選抜とは異なり、学部学科の決定が1年次の終了時に行われます。1年次はまず文系・理系に分かれ、幅広い学部分野の授業を受けます。それを通して自身がどの学部を専門的に学びたいかということを考え、学部学科の決定を行います。そのため、文系か理系かは決めているけどどの学部に行きたいか迷っている、もしくは行きたい学部があったけどIBの必須科目を満たしていなかった、という方におすすめの制度です!

入試の詳細

実際、北海道大学国際総合入試はどのように進んでいくのでしょうか。

スケジュール

北海道大学国際総合入試の全体的な流れとしては、以下の通りです。

出願要件

北海道大学は出願要件として以下のことを提示しています。ただし、ここではIB生へ向けた要件を抜き出し、要約しています。SATなどの他資格を用いて受験する方は募集要項をご確認ください。

次に掲げるすべての要件に該当すること
(1) 2025年4月1日現在において、出願資格取得後2年以内であること
※2023年4月1日から令和2025年3月31日までの間に出願資格を取得していること
(2) 国際バカロレア資格証書の写し及び最終試験の成績評価証明書を提出できる者
※2025年1月に資格を取得見込みの者は、所属する高等学校が発行する最終成績の予測スコアの証明書を提出すること。出願時にIB資格を取得見込みでない者は出願できない。
(3) IBの履修科目について、以下の通りに指定する

総合入試文系

対象者 指定履修科目
日本語を母語とする者 English A (SL/HL) または English B (SL/HL)
日本語を母語としない者 Japanese A (SL/HL) または Japanese B (HL)
全員 Group 3 (Individuals and societies)の中から1科目 (SL/HL)
または Group 5 (Mathematics)の中から1科目 (SL/HL)
※「applications and interpretation SL」は除く

総合入試理系

対象者 指定履修科目
日本語を母語とする者 English A (SL/HL) または English B (SL/HL)
日本語を母語としない者 Japanese A (SL/HL) または Japanese B (HL)
全員 Group 4 (Sciences)の中から2科目 (SL/HL)
※そのうち1科目はPhysics、Chemistry、Biologyのどれか
及び Group 5 (Mathematics)の「analysis and approaches HL」

また、北海道大学の国際総合入試ではスコアの最低条件は課されてません。しかし、後述のインタビューに応じた現役北大生によると、35点が目処だと考えられています。ただし、それよりも低いスコアの方が一次選考を突破する、高いスコアの方が落とされるという話もあります。スコアは参考程度にし、それ以外の課外活動やEEの執筆などにもバランスよく取り組むことが重要です。

出願書類

北大の国際総合入試では、一次選考に向けての出願書類として志望理由書、自己推薦書、EEの写し、EEの要約を提出する必要があります。EEでの使用言語は定められていませんが、EEの要約は日本語での作成が指定されています。そのため、英語を含む外国語でEEを作成した方は要約する際に日本語に書きなおす必要があるので注意してください。

現役北大生へのインタビュー!

募集要項を何度確認しても、どのような感じなのかイマイチよくわからないこともありますよね。そこで今回はより詳しく国際総合入試について知るために、現在北海道大学へ通っている元IB生の比屋定さんへインタビューを行いました!やはり、実際に受験した人にしかわからないこともあると思いますので、参考にしていただくと嬉しいです。

比屋定さんの紹介

所属大学 北海道大学
受験時の文理選択 理系
所属学部・学科 理学部化学科
出身高校の区分 国内一条校
Final Exam Nov 2022(2022年11月)
IBスコア 35
IBの科目 HL: Japanese A, Math AA, Biology
SL: English B, History, Chemistry
EEのテーマ
(科目:Math AA)
(言語:English)
RSA暗号と楕円曲線暗号にはどのような数学的理論が応用されているのか?また、それらの暗号の安全性をどのように保証しているのか?

Q: 現在、どのようなことを学んでいますか?

A:理学部系の分野全般の基礎について学習しています。有機化学や無機化学だけでなく、数学や物理、生物の範囲まで幅広い学びを行っています。

 進路の選択について

Q: 北海道大学を進学先へ選んだ理由を教えてください

Aいくつか理由はありますが、私が沖縄出身というのもあり、北の大地に強い憧れを持っていたというのが最大の動機です。緑が生い茂る自然豊かな土地と広大なキャンパスという環境に心が惹かれました。

Q: 北海道大学の他に受験した大学はありますか?

A:第一志望は北海道大学でしたが、その他に岡山大学の理学部数学科と鹿児島大学の理学部を受験しました。

IB生活について

Q: IBDPを通して、北海道大学進学に向けて最も力を入れて取り組んだことは?

A私が北海道大学への進学に向けてクリアすべき条件として

Final Examで35点は確実に取る

EEをきちんと書き切り、その中身を隅々まで理解した上で人に説明できる

このふたつを私自身に課していました。特にEEはIBDPのなかで最も時間をかけて取り組みました。結果論ですが、私が北海道大学に合格した最大の理由は面接においてEEをうまくアピール出来たからだと考えています。

入試について

書類審査

Q: 自己推薦書を書くコツはありますか?

A私の場合、自己推薦書では実績を羅列するだけでなく、それを将来の学びでどのように活かすのかに重点を置いて書くように注意しました。一生懸命取り組んだことで、技術だけでなく人間的な学びを得たということを強調して書く必要があります。例えば、活動を通してこのように物事を振り返り、理想に近づくために計画を立て、それを自信に変えて次はこのように挑戦しましたなど、なるべくIBの学習者像と照らし合わせながら書くことを意識しました。

Q: 志望理由書を書く際に工夫したことはなんですか?

A:全体を通して意識したのは、IB生らしい言葉を志望理由書の中で散りばめることです。このように振り返る、こういうふうに自分を評価するなど、学習者像やCASで用いられた用語を文章に組み込みました。また、私は志望理由書の中でCAS活動を通して得た学びをアピールしたかったので、自己管理スキルや探究心の話を書きました。 

面接

Q: 面接はどのような様子でしたか?

A:生徒1人に対して3人の先生がつきました。面接の進行役をする方、EEなどの専門的な話をする方、CASについての話をする方と、それぞれ分野に分かれて聞かれました。

Q: 面接ではどのようなことを聞かれましたか?

Aまず、志望動機としては一般的なものに加えて、アドミッション・ポリシーを仄めかす質問がありました。重点を置かれたのはEEについての質問です。

なぜこのテーマを選んだのか

数式はどのように書いたのか

英語で執筆されているが、専門用語はどのように勉強したか

EEの執筆にあたってどの範囲まで勉強したのか

など、EEの具体的な中身について隅々まで聞かれました。そのため、執筆したEEの内容を理解して説明できることが大切です。面接は緊張しましたが、一つ一つ丁寧に説明すると和気藹々とした雰囲気になり、談笑のような面接をすることができました。
また、CAS活動の内容も重視されていました。CASを通して生徒が何を重視していたのかが見られます。例えば、私は動物団体にボランティアで参加したので、そこでどのような問題を見つけ、これから何に取り組んでいきたいのかを明確に結論づけました。

Q: 面接のコツはありますか?

A:面接に向けて「えっと」と言う癖をなおすことや、自分が考えていることを言語化して率直に話すことができるように練習しました。また、これを聞かれたらこの言葉を入れるということを事前に決めておくことも対策になると思います。面接ではあまり気負わずに、できるだけ素直な受け答えを心がけましょう。

Q: その他に注意点はありますか?

A:面接の最後に1分間ほど英語で自己アピールをする時間が設けられます。そのため、何について話すのかを事前に用意しておくことがおすすめです。

大学生活について

Q: 大学生活に向けて準備した方が良いことはありますか?

A:IB、大学での選択科目によりますが、北海道大学の総合理系では物理学の授業を取る必要があるため、IBで物理を履修していない私にとってはかなりきつかったです。数学については線形代数をHLで学習しているので問題ありませんが、微分積分に関しては共通テストで問われるような計算問題をIBではあまり問われないので、そこで経験値の差を感じます。他の科目はあまり問題ありません。総合理系では化学を履修する必要があり、共通テストの人にとっては初めての分野でしたがIBの化学でカバーできる範囲であったため、アドバンテージになりました。

Q: 学部学科はどのように決定しましたか?

A:北大の授業では学生の志望や成績に合う学部学科はどこなのかを調査する機会がありました。定員の数や志願者の数、自身の成績がどこの位置にいるのかを踏まえた上で、希望する学部学科を3つまで絞ります。志望する学部学科に行くためには、1年生の授業で高成績を取る必要がありました。

北海道大学へ進学希望のIB生へ

Q: 入学前に知りたかった情報を教えてください

A自分からアクションを起こさないと、自分の学びたいことを最大限に学ぶことが難しいと感じました。特に北大の総合理系は志望する学部学科に入るために試験で良い成績を取る必要があります。そのため、学びたいことと成績のリスクのバランスを取るのが難しかったです。

Q: どのような人に北海道大学をおすすめしたいですか?

A:自然が好きでアクティブな人におすすめです!

Q: 北海道大学へ進学したいIB生へ、アドバイスをお願いします!

A:勉強面ではEEの執筆を頑張ることと、面接でそれをアピールできるように準備することが大切です。勉強面以外では、北大進学への熱意を面接官にアピールしましょう!自身の今後や夢を膨らませることは合格にも繋がりますし、IBを乗り越える力になります!

最後に

今回は北海道大学の国際総合入試について解説させていただきました。

国内で受ける大学を悩んでいるIB生の皆さん、北海道大学を候補の一つに入れてはどうでしょうか。興味を持たれた方はぜひ北海道大学、もしくはそれぞれの学部学科のホームページをご覧ください。

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